埼玉県の特徴
東京へのアクセスがよいことから、都市部のベッドタウンとして発展著しい埼玉県。人口は700万人を超えており、全都道府県中、5番目に人口の多い県でもあります。
総面積は約3,798㎢と、全国では39位の広さで、食べ物では、深谷ネギや狭山茶、草加せんべいなどが有名です。
小江戸と言われる川越市は観光客で賑わい、自然豊かな秩父エリアでは、ハイキングも楽しむことができます。
主な産業には、輸送用機械や化学工、食料品などがあり、自動販売機で紙幣を読み取る「紙幣識別ユニット」や、スポーツ車などを含め特殊車両などの出荷額では、全国1位となっています。
相続で問題となる埼玉県の不動産事情
相続では、不動産を巡る争いが多くなります。不動産は、現金や預貯金と違い、相続とはいえ分割が難しいからです。
そこで、最初に埼玉県の不動産事情をご紹介します。
高額な地域:都心部の近くや通学通勤圏内
【出典】令和5年度地価調査結果の概要
ご覧の通り、東京へのアクセスがより便利な地域や都市部は、地価の上昇傾向が見て取れます。
住宅地の地価が上昇する市町村は、都心に近接する地域から周辺地域に広がって、春日部市、松伏町、吉川市なども上昇に転じ、2023年には35市町に及んでいます。
特に県庁所在地であるさいたま市は、県内で最も開発が進んでいるため、地価も高額になっています。
さいたま市は、東京へのアクセスのよさだけでなく、大宮駅が新幹線の停車駅となっているため、商業施設やビジネスの拠点としても発展し続けています。
さらに、浦和高校をはじめとする進学校も多く、教育に力を入れる家庭が周辺に家を購入する傾向もあります。
また、川口市がある南部地域や所沢市のある西部地域」は、埼玉県内でも東京に近く、通学・通勤圏内となります。
ビジネスエリアとしてだけでなく、住宅エリアとしても発展しているため、地価の上昇率も高くなっています。
低額な地域:郊外の農村部など
反対に、郊外の農業地として利用されている「北部地域」では、人口減少が進んでおり地価の下落がみられています。
埼玉県の農業は、ネギなどが日本一の収穫量となっているほど主要な産業です。
ですが、観光などビジネス地としての発展は難しく、住宅地としても都市部の方が利便性が高いため、発展が進みにくい現状があります。
東京などで働く人が埼玉県に自宅を購入するケースも多いので、結果的にアクセスがよい地域のみ人口流入が進んでしまい、このような地価の地域差が非常に大きくなっていると考えられています。
埼玉県の相続問題と弁護士事情
埼玉県の相続事情
令和3年度の埼玉県の相続の発生は「75,164」件で、全国47都道府県のうち、東京、大阪、神奈川に次ぎ4番目に多い県となっています。
また、令和4年の司法統計(※)によると、さいたま家庭裁判所が扱った遺産分事件の総数は「644件」となっており、こちらも全国で、東京家庭裁判所、横浜家庭裁判所に次ぐ件数となっています。
裁判所に持ち込まれた遺産分割事件が多いということは、それだけトラブルが発生した相続も多いということになります。
埼玉県の相続トラブル
都市部は高額な遺産に要注意
これまで見てきた埼玉県の特徴をふまえると、特に都心部近くでは不動産を所有していると、相続税が高額になるおそれがあり、相続税対策が重要になります。
遺産額や相続税が高額になればなるほど、親族間でトラブルになる可能性も高まるためです。
しかし、不動産を所有していない方や、遺産が高額にならない方にも相続争いは無縁ではありません。司法統計では、「遺産分割事件のうち認容・調停成立件数」では、総数6,857件のうち、遺産総額が1,000万円以下が2296件と3割強、5,000万円以下が2935件と、4割強となっているからです。
郊外は空き家の処分に困る可能性も
ご両親が埼玉県の郊外や農村部にお住まいの方は、相続の際に、空き家問題が発生する可能性があります。土地や空き家を積極的に相続したい相続人がおらず、処分に困るという問題が生じるのです。
空き家の数自体は県南部のほうが多い傾向にあります。しかし、空き家率としては県北部や西部などの郊外が高くなっています。
実家の空き家問題が気になる方は、トラブルが起きた場合のことも見据えて、できるだけ早いうちから弁護士に相談されることをおすすめします。
最近では、相続が発生する前から弁護士に依頼する人も増加しています。
【参考外部サイト】「県内空き家の現状」|彩の国埼玉県
埼玉県内の弁護士数は人口比でみると少なめ
埼玉弁護士会には、2023年10月時点で961名の弁護士が、次の通り在籍しています(※1)。
日本弁護士連合会登録の弁護士数は、2023年10月時点での44,800名(※2)であり、埼玉弁護士会在籍の弁護士は、全国の弁護士数の2%にあたります。
しかし、全国での弁護士1人あたりの人口は、「2,752人」である一方で、埼玉県の弁護士1人あたりの人口は、「約7,680人」となるため、人口の割に弁護士が少ないことが分かります。
実際には、東京の弁護士の多くが埼玉県にまで対応地域を拡大させているため、東京の弁護士に依頼する埼玉県民も多いです。
結果的に、埼玉県と東京都の弁護士が競合しています。
さいたま市浦和区 | 341名 |
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さいたま市大宮区 | 210名 |
川口市 | 38名 |
久喜市 | 11名 |
熊谷市 | 76名 |
秩父市 | 5名 |
川越市 | 110名 |
所沢市 | 49名 |
飯能市 | 3名 |
越谷市 | 118名 |
合計 | 961名 |
※1 「弁護士検索」|埼玉弁護士会
※2 「日弁連の会員」|日本弁護士連合会
早いうちから「相続問題に強い埼玉県の弁護士」を探そう
もちろん、東京の弁護士に依頼するメリットもあります。
勤務地が東京で、仕事終わりに相談にいきたいと考えている方などは場合によってはそのほうが便利に感じるでしょう。
確かに、勤務先の近くで弁護士を探すのも一つの方法ですが、実際に依頼をすると、弁護士のもとを訪ねなくてはならない機会が多くなります。
とはいえ、人口に対して弁護士の数が不足気味な埼玉県では、もしもの場合に依頼したくてもできない場合があります。
さらに、「相続に強い弁護士」となると数が限られてしまい、より依頼が難しくなってしまうことも考えられます。
そのため、相続トラブルが発生したら、できるだけ早いうちに、相続問題に強い埼玉県の弁護士を探しておくこといいでしょう。
相続トラブルを「未然に防ぐ」大切さ
相続トラブルが起きてから、いち早く対応しスムーズに解決することはもちろん大切です。
しかし、トラブルが起きないように、前もって弁護士を見つけて依頼しておくことをお勧めします。遺言書の書き方を相談しておくことで、大きなトラブルを未然に防ぐことができるからです。
スムーズな遺産相続は、生前から準備すべきです。
多くの土地を所有している場合や、相続トラブルに対して不安を感じる場合は、今すぐにでも相続に強い信頼できる弁護士を探して相談してください。