データでみる東京都の相続事情
東京都は、言わずもがな日本の首都であり、ずば抜けて人口が集中する地です。
令和2年の推計によれば、実に約1400万人が住んでいます(*1)。
人口が多い分、毎年お亡くなりになる方の人数も他県より多く、令和元年度の被相続人数(死亡者数)は120,870人でした。
東京都の被相続人数だけで、全国の被相続人数の1割弱を占めています(全国の被相続人数は約138万1098人、*2、*3)。
そうなると、必然的に相続発生件数も多いと考えられます。
実際に全国の遺産分割事件数で比較してみると、1,522件で東京都がトップです(*4)。
47都道府県の総数12,785件のうち、東京都だけでおよそ12%を占めていますから、東京都は相続問題が起きやすいといえるでしょう。
続いて、どんなことで相続問題が発生しているのか、発生しやすいのか、東京都の特徴を見てみましょう。
*1 「東京都の人口(推計)」の概要(令和2年6月1日現在)
*2 東京国税局 「令和元年分 相続税の申告事績の概要」
*3 厚生労働省「令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況」
*4 令和元年度 司法統計「第44表 遺産分割事件数―終局区分別―家庭裁判所別」
東京都は地価が高い
東京都の大きな特徴として挙げられるのが、基本的に土地の価格が高いことです。
銀座に代表される東京都中央区や、東京・丸の内のある千代田区など、「超高額」で有名な地が数多くあります。
地価が高いというのは、それだけ土地やそこに建つ建物の価値があるということです。
さらに不動産の場合、相続人間で公平に分けることが難しいことから、争いのきっかけになってしまうことが多いです。
このように、地価の高い東京都に土地を持っていたり、あるいは実家があったりする場合には要注意です。相続税対策はもちろんのこと、所有者の方が将来のリスクをよくよく考えておかなくてはなりません。
東京都は富裕層が多い
また、東京都には富裕層が多いのも特徴です。
日本の大企業の本社は東京都に多く集中していますし、トップ経営者や芸能人のようなかなりのお金持ちも、こぞって東京に住んでいます。
このようなイメージだけではなく、富裕層の多さは、統計資料からもうかがえます。
令和元年の東京都の相続税課税割合は、16.3%でした(*2)。
全国平均は平成30年ですが8.5%なので、東京都の数字が高いことが分かると思います(*5)。
課税割合とは、全ての被相続人のうち、相続税の申告書提出があった(=相続税が課税されたと考えられる)人が占める割合です。
相続税は被相続人の遺産総額が3600万円を超えるときにかかるので、課税割合が高い都道府県ほど、富裕層が多いと予想されるのです。
金融資産、特に有価証券の相続に注意
さらに、東京国税局管内の相続財産の金額の構成比を見てみると、約48%を「現金・預貯金等」「有価証券」が占めており、金融資産を抱えている被相続人が多いと考えられます(*2)。
また、一部の資料によると、全国の株式・株式投資信託の23%が東京都に集中しているというデータも報告されています(*6)。
これらのことから、東京都では有価証券をめぐる争いも起きやすいと予想されます。
現金・預貯金も、高額だと争いの種になりやすいですが、比較的相続人間で公平に分けることが可能です。
しかし、有価証券の場合はそうはいきません。
有価証券は、毎日価格が変動する株式をはじめ、その価値がとても不安定です。
株等の扱いにも慣れている方ならよいですが、投資に明るくない相続人の方からすれば、いきなり有価証券を相続させられても困ってしまうのが本音ではないでしょうか。
また、株であれば会社のオーナーや事業をされている方が多いことも想定されますので、相続では事業承継などの問題にも発展します。
このように、現金・預貯金はもちろんのこと、有価証券を持つ方は、ご自身の死後どのように相続あるいは処分するか、特に対策しておいたほうがいいでしょう。
*6 みずほ総合研究所「都道府県別の高齢化と個人金融資産の状況」27頁
東京都は弁護士数が多い
東京都は、人口だけでなく、弁護士の数がとても多いです。
その数はなんと20,920人。
全国の弁護士のおよそ48%が東京都に集中しているのです(2021年1月1日現在、*7)。
しかし、多い分、どの弁護士に相談すればよいか迷ってしまいます。
比較しようにも、膨大な数の弁護士がいるので、口コミやホームページを見ては頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
数多の弁護士の先生には、それぞれ得意分野があります。
その中でも、当サイトでは、相続に強い東京都の弁護士を厳選してご紹介しています。
ぜひ、弁護士選びのご参考にしてください。
※なお、弁護士は、自身が所属する都道府県で「弁護士会」という弁護士団体に在籍します。東京都は東京弁護士会・第一東京弁護士会・第二東京弁護士会の3つに分かれていますが、これは大正時代の名残で、現在は3つの弁護士会の間に専門分野や実績等に違いはないので、相談の際に気にする必要はありません。