和歌山県の特徴
和歌山県は、日本最大の半島である「紀伊半島」の西側に位置する、近畿地方の県の1つです。
県の東側は、三重県・大阪府・奈良県に隣接しており、大阪市内中心地から和歌山市内までは、電車でわずか1時間ほどの距離です、 西側は、瀬戸内海を隔てて兵庫県・徳島県に隣接しています。県南部は、標高1,000メートル級の山々が連なる紀伊山地を有しており、太古より山岳信仰が盛んで、高野山では平安時代に空海(弘法大師)が真言宗の聖地を開いています。山内の寺院や建造物、修験道は、2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」としてユネスコの世界遺産に登録されました。
「果樹王国」と呼ばれるほど果物の栽培が盛んで、本州の最南端に位置し温暖な気候であることが起因しています。 中でも全国一位の生産量を誇るのは、みかん・はっさく・柿・梅など、二位のものは伊予かん・ネーブルオレンジ・スモモなどで、柑橘類が多くなっています。
また、和歌山県沖には黒潮があるため漁業も盛んで、那智勝浦町にある勝浦漁港は、日本でも有数のマグロの漁業基地となっています。 那智勝浦町は温泉地としても有名で、他に西牟婁郡白浜町も、温泉やアドベンチャーワールドといったテーマパークも観光の目玉となっています。
和歌山市には大阪方面からの日帰りレジャー客が多いので、日帰り温泉や果樹園などが豊富にあります。 和歌山県は、こういった温泉やレジャー施設の他にも、前述の「紀伊山地の霊場と参詣道」への社寺参拝には世界中から観光客が集まり、大きな観光資源となっています。
こんな和歌山県の相続について考えてみましょう。
和歌山県の相続事情
令和3年度に和歌山県では、12,930件の相続が発生し、同年和歌山家庭裁判所では、115件の遺産分割事件*を扱っています。
一方で、全国では、1,439,856件の相続が発生し、全国の家庭裁判所では、13,447件の遺産分割事件*を扱っており、和歌山県では、相続が発生しても、家庭裁判所に訴えるまで争いになる割合は、全国の平均を下回っていることが分かります。
だからと言って、和歌山県民にも、相続争いは無縁ではありません。遺産に不動産が含まれていると、相続の際に、争いにの火種になりやすいからです。
そこで、次項では、和歌山県の不動産事情について考えてみましょう。
*【出典】「司法統計年報 3家事編」62頁 第 44 表 遺産分割事件数―終局区分別―家庭裁判所別|裁判所
和歌山県の不動産事情
和歌山県では持ち家率が高い一方空き家率も高い
2018年の和歌山県の持家率は73.0%で全国8位(*1))と上位にある一方で、別荘などの「二次的住宅」を除いた空き家比率は、18.8%(*2)と全国1位というデータがあります。
空き家が増える原因はいくつかありますが、持家率が高いことからわかることは、新しく世帯を持つと新築指向が強い、高齢化によって長く親が住んだ家を処分しきれない、税金対策のために取り壊さずにそのままにしておく、といった理由が考えられます。
*1【出典】「平成 30 年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計結 果の概要」|総務省統計局
*2【出典】「平成 30 年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計結果の概要 」|総務省統計局
和歌山県の地価事情
次に、和歌山県の地価の状況を見てみましょう。
以下は、和歌山県と全国の地価の対前年平均変動率を比較した表です。
住宅地 | 商業地 | 工業地 | 全用途 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2022年 | 2023年 | 2022年 | 2023年 | 2022年 | 2023年 | 2022年 | 2023年 | |
和歌山県 | -1.1 | -0.8 | -0.9 | -0.5 | -0.9 | -0.2 | -1.3 | -0.7 |
全国 | 0.1 | 0.7 | 0.5 | 1.5 | 1.7 | 2.6 | 0.3 | 1.0 |
【出典】第4表 都道府県別・用途別対前年平均変動率|国土交通省
住宅地の対前年平均変動率は、-0.8%で、1991年から33年も連続して下落していますが、下落率は、2年連続で縮小しています。
商業地についても、1992年から32年連続して下落していますが、こちらも、2年連続で、下落率は縮小しています。和歌山県の地価は、全国の地価に比べ、まだまだ弱含みと言えるでしょう。
和歌山県で最も地価が高いのは、県庁所在地である和歌山市です。 和歌山市内で最も地価が高いのは、友田町5丁目ですが、ここは和歌山駅前の近鉄百貨店和歌山店周辺となっています。
富裕層が住む高級マンションや住宅街なども和歌山駅の東側や南側に多くあり、匠町、東鍛冶屋町、小人町、西長町、毛革屋丁、湊通丁北などが、富裕層のなかでも更に上位クラスの住宅が多くあるとされています。
和歌山駅から少し離れても、東高松、新高町も幼稚園や学校、病院などが多く生活に便利な施設が充実しているため、古くから富裕層が住宅街を築いています。
遺産に不動産が含まれていると、その価値の大半を占めてしまうケースがあります。 相続というと裕福な層による遺産分割などの問題が浮かびますが、富裕層でなくとも、不動産をどう分割するか、誰が相続するか、また処分の仕方などで相続人間でもめ事になることもあります。 相続問題は、決して他人事ではないのです。
相続問題が起こり、被相続人の間で話し合いがこじれてしまえば、裁判所に遺産相続調停の申し立てをしなければなりません。
そこで、次に、和歌山県の弁護士事情を見てみましょう。
和歌山県の弁護士事情
和歌山県弁護士会には、2023年12月現在、以下の通り、149名の弁護士が所属しています。
和歌山市 | 129 |
---|---|
橋本市 | 3 |
御坊市 | 3 |
田辺市 | 10 |
新宮市 | 3 |
上富田町 | 1 |
合計 | 149 |
ご覧の通り、8割を超える弁護士が、和歌山市で活動しています。
弁護士がいない市町村もあるため、和歌山県弁護士会では、橋本市に紀北法律センター、那智勝浦町に紀南法律センター、御坊市に御坊・日高常設法律相談所、牟婁郡串本町に串本法律相談センターを設けています。 他にも、和歌山県弁護士会では無料の電話相談なども行っています。
弁護士にも得手不得手があり、その土地ならではの問題や、地価に詳しい方が、解決しやすい場合もあります。
相続に関する事案は、相続問題に精通する弁護士に、早期に相談することで解決できる確率が上がります。 電話相談や、実際に弁護士と対面して、自分の状況にあった弁護士を探してみるのがよいでしょう。
和歌山県の裁判所
最後に、以下が和歌山県の裁判所一覧となります。
和歌山地方裁判所 | 和歌山県和歌山市二番丁1番地 |
---|---|
和歌山家庭裁判所 | |
和歌山簡易裁判所 | |
湯浅簡易裁判所 | 和歌山県有田郡湯浅町湯浅1794-31 |
和歌山家庭裁判所妙寺出張所 | 和歌山県伊都郡かつらぎ町妙寺111 |
妙寺簡易裁判所 | |
橋本簡易裁判所 | 和歌山県橋本市東家5丁目2番4号 |
和歌山地方裁判所御坊支部 | 和歌山県御坊市湯川町財部515-2 |
和歌山家庭裁判所御坊支部 | |
御坊簡易裁判所 | |
和歌山地方裁判所田辺支部 | 和歌山県田辺市新屋敷町5 |
和歌山家庭裁判所田辺支部 | |
田辺簡易裁判所 | |
串本簡易裁判所 | 和歌山県東牟婁郡串本町串本1531-1 |
和歌山地方裁判所新宮支部 | 和歌山県新宮市千穂3丁目7番13号 |
和歌山家庭裁判所新宮支部 | |
新宮簡易裁判所 |