遺留分と遺言、生前贈与の関係は?

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1.公正証書遺言と遺留分はどちらが優先されるのか?

時々このような質問をされることがありますが、これは当然ですが「遺留分」が優先されます。

そもそも公正証書遺言というと、自筆証書遺言や秘密証書遺言よりも効力が強いというイメージがあるため、このような質問が出るのだと思いますが、公正証書遺言は相続発生時に家庭裁判所での「検認」という手続きが不要なだけで、公正証書遺言の効力自体は自筆証書遺言や秘密証書遺言と全く同じです。
公正証書遺言であろうが秘密証書遺言であろうが遺言状はすべて同じ遺言というわけです。

もちろん、原本を公証役場で保管してくれるため、偽造、変造、隠蔽などのリスクはなくなりますが、遺言書の効力自体は、他の遺言書となんら変わりません。ですから、公正証書遺言だからといって遺留分をかき消すような強い効力はありませんので誤解の無いようご注意ください。

たとえ公正証書遺言に「○○の遺留分は認めない」と書いてあったとしても効力はありません。
遺留分は遺留分権利者の生活面を保護するためのものですので、遺留分権利者本人が「いらない」と言わない限りは遺留分は有効なのです。
ですから疑問の答えとしては、比べるまでもなく遺留分が優先です。

なお遺留分権利者が家庭裁判所に申し出て許可を受けることで、遺留分を予め放棄することが可能です。ただし、相続放棄ではないため、相続人としての地位はありますから、借金の相続を回避するためには別途相続発生後に相続放棄が必要となります。

【参考】遺留分の放棄とは?その手続き方法、相続放棄との違い

2.生前贈与と遺留分の関係は?

遺留分があるとした場合、どの財産に対して遺留分を請求するかが問題になります。

例えば遺留分を侵害している長男が、相続だけではなく生前贈与などでも財産を受け取っているような場合、次男はどの財産から減殺を受けるかを指定したり、または被相続人がその順序について遺言書によって指定することはできるのでしょうか?

仮にこれを許すとすると、あえて古い生前贈与から遺留分減殺請求をされると、過去のすべての生前贈与に範囲が及んで非常に複雑になり贈与した財産の安定性が欠けることになりますので、民法の規定では時間軸の上で新しいものから順番に減殺していくことになっており(民法1033条、1035条)、生前贈与がある場合は1年以内に生前贈与したものに限り遺留分の対象となります(民法1030条)。

まず、民法第1033条では、相続または遺贈で取得したものから減殺することとしています。それでも足りなければ生前贈与された財産に遡る形となります。遺留分減殺は財産を一度受け取った人から財産を奪うものですから、まずは、相続/遺贈で受け取った財産から減殺しようというわけです。生前贈与された財産はすでにその人の財産の一部となって利用されている可能性が高く、それを最初から減殺請求の対象にしてしまうと、苦痛を与えてしまう可能性があるからです。

次に、生前贈与財産を減殺の対象とする場合、民法1035条では、新しく贈与されたものから順番に減殺することとなっています。新しい/古いを判断する時間の基準は「贈与契約の成立時」です。
そして、民法1030条では、遺留分の対象とする生前贈与の範囲を相続発生から1年以内と定めています。

3.遺留分減殺の財産を指定したり割合を変更できるか?

遺留分減殺請求の対象となる人が複数人いる場合、あるいは対象財産が複数ある場合、誰からいくら、どんな財産を取り戻せるのかが問題になります。

例えばAという遺留分権利者に300万円の遺留分侵害が発生したとします。この際Bに対して評価額の1,000万円の自宅と600万円の預貯金、合わせて1,600万円、Cに対して800万円の遺贈があった場合、遺留分の減殺もこの遺贈された財産金額の割合に合わせて行います。すなわち、BとCの遺贈財産金額の割合は1600万:800万円=2:1ですので、Bから200万円、Cから100万円をAに対して返還します。遺留分権利者がこの割合を変えることはできません。

ただし、この遺留分の減殺割合については、被相続人であれば遺言書で別途指定することが可能です(民法1034条)。そのため、300万円全額をBに与えた預貯金から減殺すると指定することができます。

ただし、遺言による減殺方法の指定によって、仮にBやCの遺留分を侵害するとさらにややこしくなるため、減殺割合を指定する場合は、他の相続人の遺留分にも気をつける必要があります。

また、そもそも遺留分減殺が発生することを見越して遺言書を書くことはあまり好ましいものではありません。上記の例でいえば、遺留分減殺の財産を指定するのではなく、最初からAに預貯金300万円を遺贈させれば良いのです。

遺留分の心配があれば弁護士にご相談を

遺言書を書いたとしても、遺留分があると相続のトラブルが非常に起きやすくなっています。特定の相続人だけ相続財産金額が低かったりゼロである場合は、通常、トラブルとなり、家族間の仲も悪くなります。相続発生1年前に多額の生前贈与をした場合も大きな問題となるでしょう。

これから遺言書を書こうとしている方、もしくは、相続が発生して遺言書の指定に偏りがあり遺留分が発生している方は、大バトルになる前に、必ず最寄りの遺留分に強い弁護士に相談をすることをおすすめします。

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