相続弁護士相談解決事例② 遺言書はないが故人と約束がある

平和解決

よくある相続トラブルと解決事例シリーズです。第2回目は「遺言書はないけれど、故人から遺産を相続できると約束をした」ケースです。相続トラブルの中でも遺言書関連のトラブルは尽きません。

事例「遺産分割時に妹が故人の遺志を主張」

遺産分割時に遺言書はないけれど、故人との約束を主張して相続トラブルになった事例を見てみます。最後には相続弁護士の介入によって分割ができるようになりました。

相続開始時点の状況

被相続人は定年まで会社に勤め、その後、老衰で亡くなりました。相続人は被相続人の配偶者と息子、娘の合計3人です。
被相続人と配偶者は同居をしており、息子と娘は上京しています。また、娘は結婚もしており、子供もいる状況です。

相続財産は預貯金や生命保険金など約4,000万円です。つまり、配偶者が2,000万円を受け取り、息子と娘が1,000万円ずつ受け取る予定でした。
なお、遺言書は残っていないことが明らかになっていました。

妹の、故人との約束の主張内容

遺産相続時に、妹は故人(被相続人である父親)と「預貯金は娘に与える」と約束していたことを主張します。しかし、その事実は娘と故人との間で交わされたもので、遺言書は残っていませんでした。それでも妹は「お父さんと約束した」旨の一点張りで、話を聞き入れませんでした。

他の相続人の口約束への反論内容

妹の意見に対して、配偶者と兄は「遺言書がないと認められない」と反論をしています。また、配偶者ですら知らされていなかった事実で、妹が遺産欲しさに嘘を言っているのではないかとも思われていました。これによって、遺産分割協議がまとまらなくなってしまいました。

相続弁護士の介入で円満解決

遺産分割協議がまとまらないことから、息子は相続弁護士に相談をしました。相続弁護士は相談内容を確認して、まず妹さんに「遺言書の必要性」や「遺言書がない場合の法手続き」について説明をしました

相続弁護士の粘り強い説明によって、妹さんもだんだんと冷静になっていき話を聞きいれてくれるようになりました。これによって、ようやく協議ができるようになり、遺産分割協議書の作成に至ることが出来たのです。

相続弁護士が粘り強く説明をしてくれたことによる円満解決の事例です。第三者が説得することで、当事者間の争いを少ないものにできるでしょう。

まとめ

仮に、故人と約束を交わしていたとしても、それが遺言書として残っていなければ客観的に証明できません。その結果、例え遺産分割で主張を繰り返しても、その意見は尊重されません。したがって、故人と遺産分割に関する約束をするのであれば、必ず遺言書を作成してもらいましょう。

ただし、遺言書があるからといってトラブルが完全になくなるわけではないことにご注意ください。明らかに自分が有利で他の相続人が不利な内容であれば、故人を言いくるめて遺言書を書かせたのではないかと疑われることもあります。各家庭によって事情は異なりますが、故人と約束するにしても常識の範囲を心掛けたいものです。

遺言書の有無による相続手続きの違い

今回のケースは「遺言書の有無による相続トラブル」です。そこで遺言書の有無によって相続手続きにどのような違いが出るかも解説します。

遺言書とは?

遺言書とは故人が相続財産を誰に、どのように相続させるかを記した書類のことを言います。「自筆証書遺言」「公証証書遺言」「秘密証書遺言」の3つがあります。どの遺言書も同じ意味合いを持ち、故人の遺志で相続財産を分割できます。

遺言書があると、遺産分割協議で相続争いを起こさずに済むケースが多いです。また遺言書がなければ、相続人同士で自由に遺産分割を決められます。

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遺言書がある場合の手続き

いずれかの遺言書がある場合には、まず遺言書の「検認」を受けることになります。検認とは遺言書が本物であることを証明する手続きのことです。そして、この内容に間違いがなければ、遺言書に従って遺産分割を行います。

なお、遺言書がある場合には「検認」を受けていないと、金融機関からお金を引き出したりできません。遺言書がある場合には、故人が亡くなってからできるだけ早く、家庭裁判所に提出をする必要があります。

遺言書がない場合の手続き

遺言書がない場合には、相続人の話し合いによって相続財産を分割することになります。話し合いは相続人全員がそろっている必要があり、相続する財産等を決定していきます。そして相続人全員が遺産分割に合意をし、その上で遺産分割協議書を作成していきます。

なお、遺産分割協議で話し合いがまとまらなければ、調停、審理、法廷へと場所を変えていかねばなりません。この場合には、時間も費用も多分にかかることになるでしょう。

遺言書で相続トラブルが起きたら弁護士へ!

遺言書はないけれど、故人の遺志を主張するケースについて紹介しました。遺産分割時に遺言書がないケースは多いです。そして、この場合に「故人と約束した」と主張する相続人も珍しくありません。その結果、話し合いがまとまらなくなってしまいます。

こうした場合には相続弁護士に依頼をして、相続トラブルを解決してもらいましょう。弁護士であれば正しい法律の下に、意見を客観的に伝えてくれるため、感情的になっている相続人も冷静さを取り戻せるに違いありません。

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監修
弁護士相談Cafe編集部
弁護士ライター、起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)、行政書士資格者を中心メンバーとして、今までに、相続に関する記事を250以上作成(2022年1月時点)。
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