相続手続きが簡単になる?戸籍書類は証明書1枚に

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戸籍新制度

2016年7月5日に法務省は、遺産相続手続きを簡素化するために、新たな戸籍証明書を発行することを発表しました。これにより相続手続きで今まで煩雑になっていた戸籍関連書類の提出が簡単になります。

今まで戸籍関連書類の発行に当たってどのような問題が起きていたのか、また、戸籍手続きの簡素化によって、どのように相続手続きが簡単になるのかを解説します。

1.現行の相続手続きと戸籍手続きの問題点

2016年7月時点における現行の相続手続きの概要と、現行制度の問題点についても指摘しておきます。

1-1.相続手続きは大きく3つのステップからなる

現行の相続手続きを大まかにステップ分けすると、3つの段階に分けることができます。

(1)相続関連書類を収集する
(2)遺産分割を実施する
(3)相続税を申告・納付する

それぞれを簡単に説明すると、まず相続手続きをするために必要な準備をします。それが「相続関連書類の収集」です。これは被相続人と相続人の戸籍関連情報を集める段階で、相続人の特定をします。

続いて、相続人同士で「遺産分割の実施」をします。誰がどの相続財産を相続するか決め、金融機関や登記所などにその決定事項を提出します。その結果、相続財産の処分ができるようになります。

最後に「相続税の申告・納付」をします。これは相続分割で決めた相続分や、相続税率によって決まります。抜けや忘れを失くして、正しく税務署に申告します。

1-2.問題点は「大量の戸籍関連書類が必要」なこと

現行の相続手続きでは、いくつかの問題点があります。新制度で扱う問題点は「(2)相続分割を実施する」で行われる段階のものです。

現行制度では金融機関や登記所に「大量の戸籍関連書類の原本」を提出しなければなりません。具体的に言うと、「被相続人の出生から死亡までの戸籍関連書類」や、「相続人全員の戸籍関連書類」などです。「戸籍関連書類」と書きましたが、これは現在の戸籍謄本一枚だけでは足りずに、通常、結婚・離婚前の戸籍謄本あるいは除籍謄本等、複数の書類が必要になるからです。これらの書類を提出する理由は、その人が確かに相続人であることを証明するため、また、他に相続人がいないことを証明するためです。

【参照】戸籍謄本・抄本?除籍謄本・抄本?相続で必要な戸籍関連書類とは

戸籍関連書類の原本は手続きが終われば返却してもらえることが多いため基本的にはそれぞれ1通あれば良いのですが、相続税申告に間に合わせるために、相続登記や銀行預金引出しの手続きが並行している場合、複数部必要になることもあります。もし、1通あれば良いと思っていたのにやはりもう一部必要だったらまた書類を各市町村から取り寄せなければなりませんし、逆に、複数部用意していたのに実際には必要なかったら経費が無駄になってしまいます。各種手続きのために、相続人には経済的・社会的コストが発生していますし、各区市町村の窓口でも確認のための社会的コストが発生しているのです。

2.新制度「法定相続情報証明制度(仮称)」の戸籍手続きとは?

2016年7月5日に発表された新制度は「ニッポン1億総活躍プラン」に盛り込まれた内容の1つです。2017年5月を目途に制度の開始を予定しています。

2-1.新制度では、書類一式に代わる戸籍証明書を受け取れる

2017年5月から実施される予定の「法定相続情報証明制度(仮称)」は、大量の戸籍関連書類に代わって「1通の証明書」で手続きできるようにする制度です。

戸籍新制度

具体的に言うと、まず全ての戸籍関連書類を手に入れた相続人は、登記所にその書類と「相続関係説明図」を提出します。相続関係説明図とは、被相続人・相続人の関係を示すもので、それぞれの関係を図で示し本籍・住所・生年月日・氏名を記載します。
その提出を受けた登記所は、その相続情報を記載した証明書を相続人に交付します。あとは、相続人は証明書を金融機関や登記所に提出することで、口座解凍や名義変更ができるようになります。

したがって、新制度が適用されれば、今まで大量の戸籍関連書類が必要であった相続人は、証明書1通あればことが足りるように変わるのです。

また、不動産の相続登記について、今までは面倒なので被相続人から相続人への所有権移転登記をしないケースも多く、所有者不明の土地・建物の存在が問題になっていましたが、新制度によって、これら不動産の相続登記を促す狙いもあります。

3.新制度導入後にも残る課題「戸籍集め作業」

新制度によって相続手続きの一部は簡素化されますが、なおも課題は残っています。例えば「戸籍集め作業」があります。

戸籍集め作業とは、相続手続きを行うために必要な戸籍関連書類一式を集める作業のことです。具体的には、戸籍が登録されている役所に行き、一つ一つ戸籍関連書類を集めていきます。戸籍はそれぞれの市区町村で管理していますので、該当の区市町村の窓口に別々に申請して取り寄せなければなりません

郵送でも可能ですが、事前に連絡して必要書類を確認し、交付請求書と請求者の証明書、返信用封筒、手数料となる定額小為替または普通為替、委任状等を入れて郵送するという作業になります。

この戸籍集めは、相続手続きで最も手間と時間がかかる作業と言われています。そのため、導入後も相続人の負担が軽減されない可能性もあると懸念が残っています。

4.相続での戸籍手続きの簡素化のまとめ

2017年5月に「戸籍手続きの簡素化」の実施予定となっています。戸籍手続きが簡素化されることで、相続人には一定の負担が亡くなると考えられます。なお、これはあくまで現段階でのイメージであり、今後パブリックコメントが実施されることになっていますので、変更される可能性はあります。より手続きが簡素化されることを期待したいものです。

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