遺産相続トラブル事例と解決方法 遺言・遺産編

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財産

遺産相続トラブルを防ぐためには、遺言書を書いて被相続人が自分の意思を示すことが一番効果的な方法です。

しかしながら、その遺言書の形式が間違っていたり、有効性を疑われたたりすると、逆にトラブルの種になることもあります。
また、遺言書に記載した財産が明確でなかったり、漏れている財産があると、後からその財産が見つかったりして大きなトラブルに発展します。

実際にどんなトラブル事例があるのか、そして未然に防ぐためにはどうすれば良いかを解説します。

1.遺言書の有効性を巡ってトラブルになる事例

1-1.遺言書トラブルはなぜ起こるのか?

遺言書がある場合、その有効性を巡ってトラブルになることがあります。この問題は、特に自筆証書遺言の場合に多く発生します。
自筆証書遺言がある場合、被相続人の死亡後に相続人のうち誰かが発見することが多いです。そうすると、遺言によって不利益を受ける相続人が、遺言書が偽物ではないかと言い出して争いになることが多いです。特に、遺言書を発見した相続人に有利な内容になっていると、他の相続人による疑念がさらに高まりやすいです。
遺言書の有効性が争われてトラブルになると、遺産分割協議に入ることすらできないので、遺産相続問題が長引くことが多いです。

1-2.遺言書の有効性を巡るトラブル事例

具体的な事例を見てみましょう。
父親が亡くなった後、父親と同居していた長男が遺言書を見つけましたが、その内容には遺産の大部分を長男に相続させることが記載されていました。
そこで、他の兄弟は、その遺言書が偽物ではないか、または長男が書き換えたり、無理矢理父親に書かせたりしたものではないかと疑って、トラブルになりました。

結局、兄弟は長男に対し、遺言無効確認訴訟を起こし、その手続きだけで1年近くかかりました。筆跡鑑定などのために多額の費用をかけた上、最終的には遺言書が有効であると判断されたので、遺言書が有効であることを前提に遺産分割が行われました。
すべての問題が解決するまでに1年半以上がかかり、長男と他の兄弟は、もともと仲が良かったにもかかわらず、完全な絶縁状態になってしまいました。

1-3.遺言書関連のトラブルが起こってしまったらどうすべきか?

このように、遺言書の有効性をめぐってトラブルになってしまった場合、当事者同士で話し合いをしても解決できないことが多いです。そこで、本件でも行われたように、遺言無効確認訴訟を起こして裁判所で解決してもらうしかないでしょう。
裁判になったら、筆跡鑑定をしたり父親の生前の状態や生活状況などを確認したりして、遺言書の有効性を裁判官が判断します。遺言書が有効と判断されればその内容に従って遺産分割が行われますし、無効と判断されたら、遺言書はないものとして相続人らが遺産分割協議を行って相続方法を決める必要があります。
これらの手続きを弁護士に依頼することも可能です。

1-4.トラブル予防のための事前対処方法

遺言書の有効性を巡るトラブルを避けるためには、遺言書の作成方法について、公正証書遺言を利用することをお勧めします。公正証書遺言とは公証人が作る公文書である公正証書の形によって遺言をする方法です。公正証書遺言なら、公証人が遺言者の身分確認をした上で、適式な手続きに従って作成してくれますし、できあがった公正証書は公証役場で厳重に管理されるので、偽造や変造のおそれはほとんどありません。
よって、遺言書の無効が争われる可能性もかなり低くなります。
本件でも、父親は自筆証書遺言ではなく公正証書遺言を作成していたら、弟たちは長男による遺言書偽造を疑わず、相続トラブルを避けられた可能性が高いです。

2.遺産分割協議後、隠し財産が発見されてトラブルになる事例

2-1.隠し財産トラブルはなぜ起こるのか?

いったんは遺産分割協議をしても、その後隠し財産が発見されてトラブルになることがあります。遺産分割協議をする際、すべての遺産を対象として話し合いをして合意することが大前提ですが、中には遺産の一部が隠されたまま遺産分割協議がすすめられてしまうことがあります。
このような場合、遺産分割協議後に隠し財産がばれて、遺産分割協議をやり直すべきだと言われてトラブルになることが多いです。

2-2.隠し財産が発見されてトラブルになった事例

具体的な事例を見てみましょう。
父親亡くなった事例で、父親と同居していた長男が父親の財産を管理していましたが、長男は、父親名義の預貯金の一部を隠したまま遺産分割協議をしました。そのときは、他の相続人らも気づかずに遺産分割協議が済んでしまいましたが、その後、実は他にも預貯金があったことがばれてしまいました。当然他の兄弟は「遺産分割のやり直しをすべきだ」と主張しましたが、長男は「いったん決まったのだからもうやり直しはしない」と突っぱねて、トラブルになりました。

結局、他の兄弟は遺産分割の無効を確認するための訴訟を起こしてその裁判で遺産分割協議が無効であることが確定し、遺産分割はすべてやり直しになってしまいました。
すべての相続手続きが済むまで、3年以上の月日がかかってしまい、長男とその他の兄弟は一生絶縁状態になりました。

2-3.トラブルが起こってしまったらどうすべきか?

このように、遺産分割協議の際に隠し財産があってトラブルになった場合、本来であれば、長男が遺産分割協議のやり直しに合意して素直に遺産分割協議をやり直すべきです。
遺産分割協議の際、遺産に漏れがある可能性はあります。この場合、原則として遺産分割協議は有効となり、新しく発見された遺産についてのみ分割方法を決め直すことになります。この場合でも、相続人全員が遺産分割のやり直しに合意した場合には、やり直しをすることができます。

ただし、相続人の誰かが遺産を隠していた場合や、見つかった遺産の評価がかなり高額であった場合などには、以前にした遺産分割協議が無効になって、やり直しが必要になります。
本件でも、長男が遺産隠しをしていたのですから、遺産分割協議は無効になり、やり直しが必要です。そこで、長男ははじめからその事実を認めて争わず、遺産分割協議をやり直せば良かったのです。
長男が認めない場合には、遺産分割協議の無効確認訴訟を起こしてまずは遺産分割協議の無効を確認してもらい、それを前提に新たに遺産分割協議をやり直す必要があります。

2-4.トラブル予防のための対処方法

遺産分割の際に、遺産隠しが行われることによるトラブルを避けるためには、やはり被相続人が生前に遺言書を作成しておくことが効果的です。
被相続人が、はじめからすべての遺産の内容を明らかにした上で、それぞれ誰に相続させるかについて遺言書ではっきり指定しておけば、そもそも相続人が遺産隠しをすることはできません。遺産分割協議も不要になり、本件のように、3年にも及ぶ無益な争いが繰り広げられることも、兄弟が絶縁状態になることもなかったはずです。
遺言書を作成するためには、後に有効性が争われないためにも公正証書遺言の形にしておくべきですし、遺留分にも配慮する必要があります。このような問題に適切に対処するため、遺言書の作成は弁護士に相談してその力を借りると良いでしょう。

本件でも、父親が亡くなる前に弁護士に相談をして、相続人らの遺留分にも配慮した内容で公正証書遺言を作成しておけば、トラブルを予防出来たと言えます。
遺言書がなかった場合には、相続人らが遺産分割協議をする際に、他の相続人が財産隠しをすることができないようにしっかりと遺産内容の調査を行うことが重要です。
そして、万一漏れがあったときの対処方法として、遺産分割協議の際に、その後新たに遺産が発見された場合の取得者や取得割合などを取り決めておくことも可能です。これらは、遺言が残されていなかった場合にトラブル予防のため、相続人らができる工夫ですので、参考にしてみてください。

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