相続放棄の必要書類一覧|相続人のパターン別に必要書類を徹底解説
相続放棄は、申述書に、必要書類を添付して行います。相続放棄に必要な書類を、被相続人と相続人との関係別(配偶者/子・孫…[続きを読む]
相続放棄をすると、借金を相続することがない代わりに、プラスの財産も相続することができません。できるだけ費用を抑えたいと、誰もが考えます。
ただし、相続放棄の手続きは、その相続につき1回しかできません。相続放棄に失敗してしまうと、借金などのマイナスの財産を背負わなければならなくなります。
費用は安く抑えたいが、相続放棄は確実にしたい。そんな方に向けて、ご自分で相続放棄を行う場合や、司法書士や弁護士といった専門家に依頼する場合の費用の相場、費用相場を超えるケースなどについて解説してます。
目次
相続放棄の手続きを自分でやる場合、司法書士や弁護士に依頼する場合で、それぞれ費用の相場が異なります。
自分で相続放棄をする場合に発生する費用は、以下に挙げるような実費のみです。
費用は、申述人1人当たり、2,000円~5,000円程度です。ただし、必要な戸籍・除籍謄本の数が多い場合には、それ以上かかる場合もあります。
項目 | 費用 |
---|---|
相続放棄申述書に貼る印紙代 | 800円/相続人1人 |
郵便切手 | 350~500円程度(家庭裁判所により異なる) |
被相続人の住民票除票または戸籍附票 | 300円/1通 |
申述人(相続放棄する人)の戸籍謄本 | 450円/1通 |
被相続人の戸籍謄本、 除籍謄本・改製原戸籍謄本 |
戸籍:450円/1通 除籍・改製原戸籍:750円/1通 |
住民票や戸籍謄本の手数料は、一般的な金額を記載しましたが、自治体により異なることがあります。
また、切手代は、家庭裁判所によって異なります。東京家庭裁判所であれば、376円分が必要です(2023年10月現在)。
ご自分で相続放棄をすると、発生する費用は実費のみであり、当然ながら弁護士や司法書士などに依頼するよりも費用は安くなります。
「被相続人の戸籍謄本、除籍謄本・改製原戸籍謄本」がどれだけ必要になるかは、申述人(相続放棄する人)が、被相続人の配偶者・子供・親・兄弟姉妹のいずれに該当するかによって異なります。
もっともシンプルなケースは、申述人が被相続人の配偶者や子供の場合で、被相続人と申述人が同じ戸籍に記載されていれば、「申述人の戸籍謄本」だけを取得するだけで足ります。一方で、申述人が被相続人の親や兄弟姉妹で、被相続人が何度も結婚・離婚・転籍を繰り返していれば、10枚以上も必要になることもあります。
相続放棄を依頼できる専門家には、司法書士と弁護士があります。司法書士のほうが、依頼できることが限られる分、費用はリーズナブルです。
何をどこまで依頼するかによって、費用は変わりますが、申述人1人当たり、2万円から5万円程度のところが多いようです。複数人まとめて依頼するときは、割引される事務所が多いです。
事務所によっては、自分で書いた相続放棄申述書のチェックだけを5,000円くらいでしてくれるところもあります。
戸籍謄本などの必要書類を取得する費用が込みの場合と、別途1通あたり1000円程度の費用がかかる場合があります。
相続放棄の期限3ヶ月を過ぎての依頼の場合は、難易度があがるため、通常よりも費用が1~3万円程度アップします。
弁護士には依頼できることが多いですが、その分、費用も高くなります。
申述人1人当たり、5万円から10万円程度の相場のところが多いようです。司法書士と比較して、依頼内容を細かく選べるプランは少ないですが、その代わり丸ごとお任せできる事務所が多いです。
ただ、価格にこだわって、2万円くらいで依頼できる弁護士事務所もあります。逆に、10万円を超える弁護士事務所もあります。
司法書士と同様に、相続放棄の期限3ヶ月を過ぎての依頼の場合は、通常よりも費用がアップします。
相続放棄における司法書士と弁護士の違いを簡単にまとめると、次のような結果になります。
項目 | 司法書士 | 弁護士 |
---|---|---|
相続放棄の相談 | ○ | ○ |
戸籍の収集 | ○ | ○ |
相続放棄申述書の作成 | ○ | ○ |
相続放棄手続きの代理 | × | ○ |
相続放棄について相談にのり、戸籍を収集し、相続放棄申述書を作成するところまでは、司法書士も弁護士も同じです。
つまり、弁護士は依頼者を代理して相続放棄の手続きをすることができますが、司法書士には依頼者を代理することができません。
被相続人の子供である兄弟姉妹がまとめて相続放棄をするケースもあるでしょう。そうした場合には、依頼する事務所によって、費用が安く抑えられることがあります。こうした事務所を探すのも、相続放棄の費用を抑える方法の一つです。
また、こうした場合には、誰が専門家に相続放棄の費用を払うのかが問題となることがあります。弁護士などの専門家は、依頼者に報酬を請求するのが原則です。専門家に費用を支払う代表者を決めておけば、混乱を避けることができます。
相続人間で費用をどのように負担するかは、相続人同士で決めてかまいません。
ただし、以下のケースでは、相続放棄を専門家に依頼すると、相場より費用がかかります。
相続放棄は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」に家庭裁判所に申述して行わなければなりません(民法915条1項)。この3ヶ月は熟慮期間と呼ばれています。
しかし、熟慮期間内に相続放棄を行うことができなかった「特別な事情」があれば、相続放棄が認められることがあります。熟慮期間を経過後に相続放棄を認めてもらうには、「事情説明書」を家庭裁判所に提出し、特別な事情と認められるような理由を説明する必要があります。
熟慮期間を超えて相続放棄を行う場合には、この「事情説明書」の作成をはじめ、専門家の知識が必要になります。ただし、このようなケースでは、追加費用が発生します。
借金などの債務が多く、限定承認ではなく相続放棄を選択するには、相続財産に含まれる借金などの債務がプラスの財産よりも多いことが確実であることを要します。
相続財産の調査を専門家に依頼すると、追加で費用が発生します。
相続放棄をしても相続財産を現に占有していると、他の相続人や相続財産清算人に引き渡すまで、その相続財産について保存義務を負うことになります。
被相続人の借金が多額であったなどの理由から相続人が全員相続放棄をすると、引き渡しをすべき相続人はいなくなってしまいます。また、被相続人に貸付を行っていた債権者が回収を諦めてしまえば、相続財産清算人の選任申立ては行われないことになります。
このような事情から、相続放棄を行っても、相続財産清算人の選任申し立てが必要になることがあります。こうしたケースでは、相続財産清算人選任申立ての費用が別途発生します。
相続放棄の手続きを弁護士や司法書士に依頼したいが、その費用が払えない場合は、「法テラス」へ相談することができます。
法テラス(日本司法支援センター)とは、国が運営する法律問題解決のための相談窓口のことです。「民事法律扶助制度」によって、無料で法律相談を受けたることや、弁護士・司法書士の費用を立て替えてもらうことができます。
ただし、利用するためには、収入と資産の金額が一定以下といった要件があります。
また、立て替えてもらった費用は、生活保護を受けているなどの特別な事情があれば、事件が終わるまで事件が終わるまで支払いを猶予してもらうこともできますが、最低毎月5,000円ずつ返済をしなければなりません。
【外部サイト】日本司法支援センター 法テラス
ここまで、相続放棄の費用相場について解説しました。
相続放棄の手続きをご自分行えば、費用を抑えることができます。ただし、相続放棄であっても、ある程度の必要書類を収集し、申述書は、ご自分で記載しなければなりません。
このような手続き一切を任せてしまえるのが弁護士です。また、相続に強い弁護士に依頼すれば、熟慮期間を経過しても、相続放棄することができる可能性があります。
手続きが煩わしい方や、熟慮期間間近や熟慮期間を経過しても相続放棄をしたいと考えている方は、一度相続に強い弁護士に相談することをお勧めします。