相続放棄の必要書類を相続人のパターン別に徹底解説
相続放棄に必要な書類を、相続人のパターン別(配偶者/子・孫/親・祖父母/兄弟姉妹)に詳しく解説します。 1.相続放棄…[続きを読む]
相続放棄をすると財産をまったくもらえませんが、費用はかかります。その費用は、相続放棄をする人が自分で負担する必要があります。そのため、相続放棄の費用は少しでも抑えたいものですよね。
ただ、相続放棄は、今後の人生に大きな影響を与える、とても重要な手続きです。相続放棄に失敗してしまうと、借金などのマイナスの財産を背負わなければならなくなります。
費用は安く抑えたいけど、相続放棄は確実にしたい。そんな方に向けて、
それぞれの、相続放棄の費用相場や、メリット&デメリットについて解説していきます。
目次
相続放棄の手続きを自分でやる場合、司法書士や弁護士に依頼する場合で、それぞれ相場が異なります。
相続放棄を自分でやる場合は、家庭裁判所での手数料や、戸籍謄本などの手数料など、かかる費用は実費のみです。
具体的には下表のような内容で、申述人1人当たり、だいたい、2,000円~5,000円くらいです。
(必要な戸籍・除籍謄本の数が多い場合には、もっとかかる場合もあります。)
項目 | 費用 |
---|---|
相続放棄申述書に貼る印紙代 | 800円 |
郵便切手 | 350~500円くらい(家庭裁判所により異なる) |
被相続人の住民票除票または戸籍附票 | 300円 |
申述人(相続放棄する人)の戸籍謄本 | 450円 |
被相続人の戸籍謄本、 除籍謄本・改製原戸籍謄本 |
戸籍:450円 除籍・改製原戸籍:750円 |
こちらは、費用が最も安いケースです。
郵便切手は、家庭裁判所によって異なります。東京家庭裁判所であれば、376円です(2022年9月現在)。
「被相続人の戸籍謄本、除籍謄本・改製原戸籍謄本」は、申述人(相続放棄する人)が、被相続人の配偶者・子供・親・兄弟姉妹のどれに該当するかによって異なります。
もっともシンプルなケースでは、申述人が配偶者や子供で、被相続人と申述人が同じ戸籍に記載されていれば、「申述人の戸籍謄本」だけでOKな場合もあります。一方で、申述人が親や兄弟姉妹で、被相続人が何度も結婚・離婚・転籍を繰り返したケースでは、10枚以上も必要になることもあります。
住民票や戸籍謄本の手数料は、基本的な金額を記載しましたが、自治体により異なる場合もあります。
相続放棄を依頼できる専門家には、司法書士と弁護士がありますが、司法書士のほうが、依頼できることが限られる分、費用はリーズナブルです。
次のように何をどこまで依頼するかによって、費用は変わってきますが、申述人1人当たり、だいたい、2万円から5万円くらいまでのところが多いようです。複数人まとめて依頼するときは、割引される場合が多いです。
事務所によっては、自分で書いた相続放棄申述書のチェックだけを5,000円くらいでしてくれるところもあります。
戸籍謄本などの必要書類を取得する費用が込みの場合と、別途1通あたり1000円程度の費用がかかる場合があります。
相続放棄の期限3ヶ月を過ぎての依頼の場合は、難易度があがるため、通常よりも費用が1~3万円程度アップします。
弁護士には依頼できることが多いですが、その分、費用も高くなります。
申述人1人当たり、だいたい、5万円から7万円くらいまでのところが多いようです。司法書士と比較して、依頼内容を細かく選べるプランは少ないですが、その代わり「丸ごとお任せください」というスタンスの事務所が多いです。
ただ、価格にこだわって、2万円くらいで依頼できる弁護士事務所もあります。逆に、10万円を超える弁護士事務所もあります。
司法書士と同様に、相続放棄の期限3ヶ月を過ぎての依頼の場合は、通常よりも費用がアップします。
ここまで、料金だけ見てくると、自分で相続放棄の手続きをしたほうが、圧倒的に費用が安いことがわかります。それなら、自分でやったほうが良いと思われるかもしれませんが、必ずしもそうは言いきれません。コストをかけてでも、専門家に依頼するメリットはあります。
それぞれのメリット/デメリットを紹介していきます。
自分で相続放棄の手続きをするメリットは、なんといっても、費用が安く、実費しかかからないことです。専門家に依頼したら、数万円はかかるところ、自分でやれば、数千円ですみます。
自分でやるデメリットはいくつかあります。
1つ目のデメリット「自分で財産調査」ですが、相続放棄をするからには、プラスの財産よりも、借金などのマイナスの財産のほうが多いということをはっきりさせる必要があります。相続放棄をしてから、やはり、たくさんの財産があったから相続放棄を取り消したい、というのは認められません。ただ、慣れない財産調査を自分でするのは、かなり手間取るものです。
2つ目のデメリット「期限に間に合わない可能性」について、故人の葬儀や仕事で忙しかったりすると、どうしても準備が遅れがちになります。被相続人の戸籍謄本を取得したら、それだけでは足りず、いろいろな自治体をまわって何枚も取得が必要になることもあります。仕事で忙しかったので期限を過ぎてしまったという理由は認められません。
3つ目のデメリット「ミスで相続放棄を却下」は、もっともおそれるべきことです。家庭裁判所に相続放棄申述書を提出して、書類に記述ミスがあったり、必要書類が足りていない場合は、基本的には、家庭裁判所から連絡がありますので、それに応じて、修正したり追加で書類を提出すれば良いのですが、それを怠ってしまうと、却下される可能性もあります。その場合、最申請は難しくなります。
相続放棄が認められなければ、被相続人の借金を背負うことになります。
司法書士・弁護士などの専門家に依頼するメリットは、自分でやるデメリットの裏返しです。
これ以外にも、相続放棄の期限を過ぎてしまっても、専門家であれば、過去の事例や判例を参照して、裁判所に納得してもらえるような特別な事情を記載することで、相続放棄を受理してもらえる可能性が高まります。
専門家に依頼するデメリットは、費用が高くなることです。
とはいえ、相続放棄を自分でやって失敗してしまうことを考えたら、数万円程度の依頼費用はそこまで高いとはいえないかもしれません。すでに紹介したように、2万円程度から対応している司法書士・弁護士もいますので、探してみると良いでしょう。
司法書士と弁護士の違いは、簡単に表にまとめると、次のようなものです。
項目 | 司法書士 | 弁護士 |
---|---|---|
相続放棄の相談 | ○ | ○ |
戸籍の収集 | ○ | ○ |
相続放棄申述書の作成 | ○ | ○ |
相続放棄手続きの代理 | × | ○ |
相続放棄について相談にのり、戸籍を収集し、相続放棄申述書を作成するところまでは、司法書士も弁護士も同じです。
違うのは、司法書士は依頼者の代わりに(代理で)相続放棄の手続きをできませんが、弁護士はできるということです。
司法書士に依頼した場合には、依頼者は自分で家庭裁判所に相続放棄申述書を提出することになります。
提出後、家庭裁判所から相続放棄照会書や回答書が送付されてきますが、それらは依頼者(申述人)の自宅に送付されてきます。その回答書に記入して返送するのも依頼者です。
相続放棄が却下されたときの通知も依頼者に対して送付されますので、不服申立期限(2週間以内)までに、依頼者が自ら抗告申立書を用意して提出する必要があります。
一方、弁護士に依頼した場合には、弁護士が代理で家庭裁判所に相続放棄申述書を提出します。その後、相続放棄照会書や回答書は弁護士に送付されますので、弁護士が代理で回答します。その他の家庭裁判所とのやりとりもすべて、弁護士が代わりに行います。依頼者は弁護士に完全にお任せできるのです。
また、弁護士に依頼するメリットとして、弁護士は完全な代理権がありますので、相続放棄の手続き以外の対応も可能です。
被相続人に借金があり、債権者から督促されているような状況でも、弁護士が間に入ることで、督促がストップしますので、精神的なストレスから開放されます。
ここまでを踏まえて、相続放棄を自分でしても良い人、専門家に依頼したほうが良い人を簡単に紹介します。
次のようなケースであれば、自分で相続放棄手続きをしても問題ないでしょう。
次のような方は、司法書士に依頼すると良いでしょう。
次のような場合は、弁護士に依頼すると良いでしょう。
自分で相続放棄の手続をするのは不安なので、弁護士や司法書士に依頼したいが、その費用が払えない場合は、「法テラス」へ相談するのが良いでしょう。
法テラス(日本司法支援センター)とは、国が運営する法律問題解決のための相談窓口のことです。「民事法律扶助制度」というものがあり、無料で法律相談を受けたり、弁護士・司法書士の費用を立て替えてもらったりできます。
ただし、利用するためには、収入と資産の金額が一定以下である必要があります。
また、立て替えてもらった費用は、最低毎月5,000円ずつ返済をします。ただし、生活保護を受けているなど特別な事情があれば、事件が終わるまで事件が終わるまで、支払いを猶予してもらうこともできます。
【外部サイト】日本司法支援センター 法テラス
相続放棄の手続きを自分でやる場合は、裁判所や戸籍取得の手数料しかかからず、費用相場は、2,000円から5,000円くらいです。
相続放棄の手続きを司法書士に依頼する場合、申述人1人当たり、だいたい、2万円から5万円くらいまでのところが多いです。
5,000円くらいで、自分で書いた相続放棄申述書のチェックだけをしてくれるところもあります。
司法書士には代理権がありませんので、裁判所への書類提出や、その後の裁判所とのやりとりは、自分で行う必要があります。
相続放棄の手続きを弁護士に依頼する場合、申述人1人当たり、だいたい、5万円から7万円くらいまでのところが多いです。
弁護士であれば代理権がありますので、相続放棄の手続きのすべてを完全にお任せできます。また、債権者対応を任せられます。