遺産相続に強い弁護士とは?9つの選び方のポイント

相続は、誰でも遭遇する法律問題となります。

場合によっては、自分だけでは解決が難しく、専門家である弁護士の助けが必要となることもあります。
ただし、弁護士にも様々な人がおり、どのような弁護士に依頼するかで、結果は大きく変わります。

相続問題を相談・依頼するなら、相続問題に強く、ご自分と相性のいい弁護士を探すことが重要です
そこで今回は、相続トラブルを相談するときの弁護士の選び方のポイントを解説します。

1.弁護士に相続の実績・経験・知識が豊富か?

まずは、依頼する弁護士が相続問題を得意としていることが重要です。

弁護士は法律全般を取り扱うため、業務の範囲は広大で、相続はその一分野にすぎません。中には、相続問題をあまり得意としない弁護士も存在するのです。

そこで、弁護士を探す際には、相続問題に積極的に取り組んでおり、実績が多い事務所を選ぶことをお勧めします。
年間にどのくらい相続問題の取り扱いがあるか、弁護士の経験年数はどのくらいかなどをチェックします。今までに相続関係の書籍を執筆したことがあれば、さらに良いでしょう

最近では、多くの弁護士がホームページを作っているので、どのような分野を得意としているか分かります。

ホームページ上で、相続に関する記述内容が充実していれば、相続に力を入れている事務所である可能性が高いでしょう。

2.弁護士に熱意はあるか?

弁護士を選ぶ際のポイントとして、実績や経験だけではなく、問題解決に常に熱意を持って取り組み、研究を怠らない姿勢も重要です。

まずはホームページなどをチェックして、弁護士の基本的な考え方(ポリシ-)や姿勢を確認します。信頼できそうだと思ったら、一度法律相談を受けてみて、実際に話をしてみましょう。初回の相談を無料にしている事務所も、数多く存在しており、利用するとよいでしょう。

事務所内にたくさんの法律関係の書籍や最新の法律雑誌が置いてあれば、勉強家の弁護士だという意見もあります。しかし、最近では、専門書籍も電子版で入手でき、既存の書籍もスキャナーでデータ化する弁護士も多く、書籍の数で判断することはできない状況です。

したがって、弁護士に会った際に、実際に熱意を感じられるかどうかがポイントです。

3.弁護士に話しやすく、質問しやすいか?

その弁護士が依頼者自身にとって話しやすい人であることも重要です。

相続問題では、依頼後何度も弁護士と面談をして、今後の方針や対策などを相談していくことになります。
分からないことがあれば、その都度弁護士に質問をして、疑問を解消しなければなりません。

そこで、話しやすく、質問をしやすい弁護士を選ぶことが必要になります。

かつては、「依頼した以上は弁護士に任せて素人は黙っていろ」という態度の先生も珍しくありませんでした。こうした弁護士では、自分の望んでいない方向にどんどん案件がすすめられて、最終的に納得できない結果になってしまうおそれもあります。
事実、遺産分割協議が終わってから「こんなはずではなかった」と、弁護士とのトラブルになるケースは珍しくないのです。

もちろん、話しやすいかどうかは、人間としての相性も大いに関係します。
話しやすい雰囲気があり、こちらが質問をしても丁寧に答えてくれる弁護士を選びましょう。

4.弁護士が丁寧に説明してくれるか?

弁護士の説明が丁寧でわかりやすいことは、極めて重要です。

相続でのトラブルには、法律上の複雑な争点が絡むことも多々あります
弁護士の説明が難しすぎて、内容が頭に入ってこなければ、ストレスが溜まるだけでなく、自分で判断することができません。
分からないからと弁護士に任せきりにしていると、自分が思ってもみなかった方向に話が進んでいた、ということもあり得ます。
弁護士が良かれと思ってやったことでも、必ずしも自分の希望どおりとは限りません。

弁護士の中には、難しい法律用語を連発するだけで、素人に分かりやすく説明できない人もいるので、注意が必要です。

状況に応じた説明をしてくれる

また、相続問題は必ずしも自分に有利に進むとは限りません。
いかに能力が高い弁護士でも、覆せない状況はあるのです。

不利な状況にあるときであっても、その内容やリスクをしっかり説明してくれる弁護士を選ぶことが重要です。

最初の相談の際に、弁護士の説明が丁寧で、プラスとマイナス両方の側面をわかりやすく指摘してくれるかをチェックしましょう。

5.弁護士費用は明確か?

相続問題を依頼するときは、弁護士費用も重要です。
弁護士費用の種類は、主に着手金と報酬金になります。

着手金とは、案件を依頼する当初にかかる費用です。依頼料のようなもので、基本的に返金されることはありません。

報酬金とは、案件が解決した場合に、解決内容に応じてかかる費用です。通常、獲得できた経済的利益の額が大きくなると、報酬金の金額が高くなります。

弁護士費用はオープン価格なので、弁護士事務所がそれぞれ自由に決めることができます。
相続問題の場合は、通例、遺産の額を基準として報酬を定めており、遺産の額に応じて弁護士費用も変わります。

各事務所に弁護士費用の算定基準を置くことが義務づけられています。そこで、相談の際に、弁護士費用の算定基準を見せてもらい、全体像を説明してもらいましょう。また、あなたが依頼する場合の具体的な見積もりをしてもらうことも必要です。
初期費用だけではなく、解決までに全体でいくらかかるのか、追加費用がかかる場合やその条件なども確認しましょう。

また、各相続手続きにおける費用相場を知っておくことも、重要になります。依頼を考えている弁護士の費用と、費用相場とを比べて、あまり高いようであれば、検討が必要でしょう。ただし、安ければいいというものでもありません。「安かろう悪かろう」では、却って高くついてしまいます。

弁護士の費用相場について気になる方は、是非、次の関連記事をご一読ください。

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6.事務所は通える距離か?相談時間は柔軟か?

弁護士事務所の所在地や、相談時間もポイントです。
どんなに有名で実績の高い弁護士でも、相談に行くことが難しければ、意味がありません。

事務所の場所

ご自宅や仕事場から通うのに負担がない距離に事務所があることが、弁護士選びの基本になります。

ただし、遺産分割の場合には、紛争が起こっている地域の弁護士に依頼することがあります。

たとえば、他の共同相続人は東京に住んでおり、ご自分が岡山にお住まいの場合には、遺産分割調停を提起する裁判所が原則として東京になります。

この場合に、岡山の弁護士に依頼すると、調停期日毎に弁護士の出張日当(2万円から5万円程度)と交通費がかかってしまううえに、弁護士が出張に当てられる日程にも限りがあり、期日の設定が難しくなります。
このため、東京の弁護士に依頼する方が手続きがスムーズに進み、費用も節約できるケースがあります。

相談時間

弁護士を選ぶとき、相談時間に柔軟性があることも大切です。

仕事や子育てなどの理由で、平日の昼間の相談が難しい場合には、夜間や土日祝の相談などに応じている事務所を探すことが大切です。

7.弁護士のフットワークは軽いか?

弁護士のフットワークの軽さも重要です。
依頼者が必要とあれば、身軽に調査や交渉などを行ってらえる弁護士に依頼すると信頼感が増すうえに、交渉で有利に働くことがあります。

また、依頼者が問い合わせをしたときに、素早く返信をしてくれると、安心感にもつながります。

中には、メールを送ってもほとんど返信がなかったり、返信が遅かったりする弁護士もいます。
電話をかけても、いつも事務員が出るだけで、ほとんど折り返しの連絡がないこともあります。
仕方がないのでFAXで連絡を入れても、見てくれているのかどうかすらわかりません。

このような弁護士に依頼すると、本当にご自分の希望が伝わっているのかどうか不安になるでしょう。

最初の法律相談の予約がスムーズに入るかどうか、事務所に電話をかけたりメールを送ったりしたときにレスポンスが良いかをチェックしましょう。

8.弁護士が他業種と連携しているか?

相続問題で、重要なのが他業種との連携です。

相続は、様々な士業の仕事が絡まり合っていることが多くなります。たとえば遺産の中に不動産があれば、相続登記のための司法書士や、価額査定のための不動産業者が必要になることがあります。相続税の支払いが予想される場合には、節税方法や相続税申告などについて税理士に相談できると便利です。

このような他業種の専門家を、一からすべて自分で探すのは大変な作業になってしまいます。

弁護士は、これら司法書士、税理士、不動産業者などと一緒に仕事をする機会が多く、依頼者が希望すれば紹介してもらえるでしょう。

また、最初から他士業と密に連携していることを強みとしている法律事務所もあります

9.その弁護士が自分に合うと感じられるか?

最後に、相続問題を依頼する弁護士を選ぶポイントとして忘れられがちなことが、フィーリング(相性)です。

弁護士も依頼者も人間です。合う合わないがあります。
相手を嫌だと思ったら、相談が苦痛となり、コミュニケーション不足が原因で交渉に不利に働くこともあります

こうした事態に陥らないように、相談時に相性が悪いと感じたのであれば、他をあたるべきです。
ご自分と相性がいいと感じる弁護士を探しましょう。

途中から弁護士と相性が悪いと思ったら

相性の良し悪しは、その弁護士と付き合い始めて時間を経てからでないと判断できないこともあります。

正式に依頼をし、事件処理が進行している途中で、「この先生とは合わないな」と思い始めたならば、弁護士を替えることは躊躇を覚えるかもしれません。

しかし、信頼関係に問題を抱えたままでは、大切な相続問題の帰趨に悪影響を及ぼします。
ためらわずに解任し、次の弁護士を探すことをお勧めします。

なお、支払済みの着手金は、弁護士が進めた事務処理に応じて清算されます。その内容について、しっかりとと話し合うことが必要です。

遺産相続に強い弁護士の選び方まとめ

今回は、遺産相続問題に強い弁護士の選び方のポイントを解説しました。
改めてポイントをまとめると次のようになります。

  • 相続問題の経験・知識が豊富
  • 熱意がある
  • 話しやすく、リスクも含めて説明してくれる
  • 費用が明確
  • フットワークが軽く、相談時間等も柔軟
  • 他士業と連携している
  • 何より、自分とフィーリングが合う

当サイトでは、都道府県別に遺産相続に強い弁護士を厳選して掲載しております。事務所ごとに紹介・挨拶文もあり、「自分と合いそうだな」と思う事務所を探すことができます

弁護士選びに迷われている方は、ぜひ一度お試しください。

当サイトは、口コミやランキング、評判に迷わされることなく、相続問題に強い弁護士を探すあなたを応援いたします。
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  4. 遺留分を侵害されている
  5. 相続関連の色々な手続きが上手くいかず、困っている

相続発生前後を問わず、相続に関連する問題に対して、弁護士があなたの味方になります。 まずは気軽に相談されることをオススメいたします。

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監修
弁護士相談Cafe編集部
弁護士ライター、起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)、行政書士資格者を中心メンバーとして、今までに、相続に関する記事を250以上作成(2022年1月時点)。
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