茨城県には、県庁所在地の水戸市のほか、日本有数の鉱工業都市である日立市、日本百名山の筑波山があるつくば市などがあります。また、2005年につくばエクスプレスが開業し、つくば~秋葉原間を最速45分で繋いでいます。
同じ「北関東」として、何かと群馬県・栃木県と比較されることも多いですが、茨城県の相続の特徴はどのようになっているのでしょうか。
データでみる茨城県の相続
令和元年度の茨城県の相続税課税割合は6.0%で、全国平均の8.3%を下回っています(*1)。
相続税は、被相続人の遺産総額が3,600万円を超えるときに課されるため(基礎控除:3,000万円+600万円×相続人の数)、相続税課税割合が低いということは、3,600万円を超える遺産を持つ被相続人が比較的少ないということです。
しかし、「うちはお金持ちではないから相続トラブルは発生しないだろう」というのは大きな間違いです。
相続問題は、一般的な家庭でこそ起こりやすいのです。
各相続人が遺産を少しでも多く相続したがったり、公平性を強く求めたりして、相続人間で意見が衝突する可能性が高まるのかもしれません。
実際、水戸家庭裁判所に申し立てられた遺産分割事件の数は、令和元年度で244件です(*2)。隣の宇都宮家庭裁判所では205件ですので、やや多いことがわかります。
大都市圏を除くと200件を超える地域は少ないため、茨城県では比較的相続が揉めやすい傾向にあると言えるでしょう。
*1 関東信越国税局「令和元年分における相続税の申告事績の概要」PDF
*2 裁判所 令和元年度司法統計 「第44表 遺産分割事件数―終局区分別―家庭裁判所別」PDF
茨城県の土地価格
相続の中でも、特にこじれやすいのが不動産の問題です。
不動産は、お金と違って簡単には分けることができません。
誰か一人が不動産を相続すると、その分他の相続人はどのくらい他の遺産を相続してもいいのかといって、対立するおそれがあります。
仮に不動産を相続した人から代償金を支払うとしても、その金額の決定も容易ではありません。
かといって共有名義で相続すると、後々売却したくなったときに全員の同意が必要となり、更なる争いの種を生んでしまうため、おすすめはできません。
加えて、最初から売却して現金化しようにも、買い手が見つからなければ、遺産分割が難航してしまいます。
このように、不動産をめぐる争いは、複雑化しやすいのが特徴です。
地価が高いのは守谷市、つくば市、水戸市など
当然ですが、土地の基準地価が高ければ高いほど、需要があるということで、逆もまた然りです。
茨城県で地価が高いのは、守谷市・つくば市・水戸市などが挙げられます(*3)。
とはいえ、これらの地域の土地が全国的に非常に高いというわけではなく、相続人が茨城県から離れているところに住んでいる場合、不動産を相続するのを嫌がる可能性があります。
将来的に誰が土地や家を相続するか、予め話し合ったり、あるいは被相続人からお願いしたりしておくことが必要なのです。
前述の通り、不動産が絡むと特に話がこじれやすいので、対策の際には、法律のプロである弁護士にまず相談してみるのがおすすめです。
*3 茨城県「令和2年地価公示 市町村別・用途別の平均変動率・平均価格」PDF
茨城県の弁護士事情
茨城県には、302人の弁護士がいます(2021年1月1日現在、*4)。
栃木県よりは多く群馬県よりは少ないといったところで、まずまずの人数といえるでしょう。
しかし、茨城県全土に均等に分散して在籍しているわけではありません。
茨城県弁護士会は水戸支部・土浦支部・下妻支部の3つの支部を設置していますが、そのうち約45%が水戸支部、さらに約45%が土浦支部で、下妻支部には約10%の会員(弁護士)しかいません(*4)。
したがって、お住まいの地域によっては弁護士を見つけるのが難しい場合もあるのです。
その場合には、探すエリアを拡大するのがおすすめです。
当サイトでは、相続に強い、茨城県の弁護士を厳選してご紹介しています。
足が悪い等、来所が困難な事情がある場合には、出張サービスを行っている法律事務所もあります。
ぜひ、弁護士選びの際のご参考にしてください。
*4 日弁連「弁護士会別弁護士数」PDF
*5 日弁連 茨城県弁護士会の状況