データでみる広島県の相続
広島県というと、中国地方の中心的なイメージを持っている方もいらっしゃると思います。
実際、広島県には中国地方を管轄する広島高等裁判所があります。
また、広島県の人口は約279万2千人です(令和3年1月1日現在、*1)。
数字だけ見てもあまりしっくりこないかもしれませんが、全国で比較すると多いほうで、もちろん中国地方では一番の人口です。
さらに、令和元年度の司法統計によると、広島高等裁判所管内で発生した遺産分割事件総数841件のうち、広島家庭裁判所で取り扱ったのは314件でした(*2)。実に約4割を占めます。
この数字は、広島県が少なくとも中国地方の中で見ると、人口の多さも相まって、相続問題が起こりやすいことを示唆しています。
*1 広島県 推計人口の推移
*2 裁判所 令和元年司法統計「第44表 遺産分割事件数―終局区分別―家庭裁判所別」PDF
相続税が身近な問題に
遺産相続が発生したとき、相続財産の評価額が相続税の基礎控除を超える場合にのみ相続税が発生します。この基礎控除は、平成27年度施行の相続法改正によって大幅に引き下げられました。
それがきっかけで、広島県でも、全被相続人数のうち相続税が課税された被相続人数の割合=「課税割合」は、4.4%(平成26年度)から8.3%(平成27年度)に急増しています。
つまり、平成27年度以降、相続税が課税される基準がぐっと下がり、より身近な問題になったのです。
なお、令和元年度の課税割合は8.4%で、ここ数年は同程度の水準を推移しています。
これは全国平均と比較してみても標準的な数字ですから、実は、広島県には富裕層が一定数いるということになります。
ご自身のご家庭で発生する相続に相続税が課される可能性も十分にあり、相続争い以外に相続税についても考えておく必要があるでしょう。
*3 広島国税局 「令和元年分 相続税の申告事績の概要」PDF
広島県の地価
いざ相続が発生して、遺産分割協議で揉めやすいのが不動産絡みの問題です。
不動産は周辺環境の状態や時流にあわせたニーズによっても、土地の価格が変動します。
広島県で地価が高いのは、やはり広島市です。
特に中区や南区、西区は高額で、これらの地域には高級住宅街が広がっていますし、中には1㎡あたり200万円近い地域もあります(*4)。
被相続人が高額な地に遺産を有していると、多額の相続税が課税されたり、あるいはその処分をめぐって相続人間で争うなどの不安があります。
もちろん、このような地域に不動産を持つ人は一部で、多くの人は広島郊外に住まわれているでしょう。広島郊外にも高額な地域は多くありますし、そもそも所有している土地の広さによって評価額も変わってきます。
一方、地価が低い場所であっても、相続問題は起こります。
むしろ、そのほうが争いに発展しやすいといえるかもしれません。
地価が低いと、仮に相続人が不動産相続を嫌がったとしても買い手が見つからず、かといって放置するわけにもいかないので、八方ふさがりになってしまうおそれがあるためです。
どんな場所であろうとも、被相続人の所有する不動産は争いの種になる危険がありますので、よく生前対策を練っておく必要があります。
*4 広島県 基準地価(令和2年)PDF
広島県の相続弁護士事情
遺産の整理、遺言書をはじめとする生前対策や、実際の遺産分割協議についてなど、相続問題に困ったらプロである弁護士に相談するのが一番です。
それでは、広島県の相続弁護士事情はどのようになっているのでしょうか。
広島県には、広島弁護士会があり、2020年2月1日時点での弁護士登録数は609人です(*5)。
中国地方では最多ですが、20,000人以上の弁護士がいる東京都等と比べてしまうと、なかなか多いとまではいえないかもしれません。
また、「広島県の弁護士」と一口にいっても、実際には広島市に集中しているので、他の都市や町に居住している場合には、自分の居住地域の周囲で弁護士を探すのが大変になる可能性があります。
その場合は、広島市までエリアを拡大してでも、「相続に強い弁護士」を探すことをおすすめします。
弁護士にもそれぞれ得意分野があり、相続問題に力を入れている弁護士であれば、複雑な事案でも柔軟に対応できる可能性が高いです。
当サイトでは相続に強い広島県の弁護士を厳選してご紹介しています。
ぜひ、弁護士探しのご参考にしてください。
*5 日弁連 弁護士会別会員数