岡山県は、中国地方の南東部に位置し、人口は約189万人です(令和2年1月1日現在*1)。
古くから、中国・四国地方の交通の要として発展してきました。
また、瀬戸内海に面しているため温暖な気候で、「晴れの国」とも呼ばれ、桃やぶどうなど果物の名産地になっています。
観光では、昔ながらの街並みが残る倉敷美観地区や、日本三大名園の一つである岡山後楽園が有名で、大勢の観光客が訪れ、賑わいを見せています。
そんな岡山県ですが、相続事情はどのようになっているのでしょうか。
*1 岡山県HP 岡山県の人口
データでみる岡山県の相続
令和元年度、岡山県で相続税申告書の提出にかかった被相続人数は「1,596人」、課税割合は「7.3%」でした(*2)。
全国的にみれば多くなく、特に課税割合は全国平均が8.3%なので(*3)、むしろ低い水準とも思われます。
しかし、どちらも中国地方で比較すると、広島県に次いで2番目の数字です。
したがって、中国地方の中でいうと、相続税が発生しやすい傾向にあると考えられます。
平成27年の税制改正で相続税課税対象が倍増
相続税は、亡くなった方全員に対して課税されるわけではなく、少なくとも被相続人の遺産総額が3,600万円を超えるときに課税されます(基礎控除3,000万円+600万円×相続人の数)。
実は、以前はこの基準が今よりも高かったのですが、平成27年度に3,600万円まで引き下げられました。
その税制改正の影響は大きく、相続税課税対象になった被相続人は、平成27年以降倍増しています。
近年、相続税はもはや富裕層だけの問題ではなく、より多くの家庭で検討しなければならなくなってきているといえるでしょう。
*2 【広島国税局】令和元年度分 相続税の申告事績の概要 PDF
*3 【国税庁】令和元年度分 相続税の申告事績の概要 PDF
遺産金額は金融資産が半分以上を占める
次に、相続財産の金額の構成比をみてみると、現金・預貯金等と有価証券が合わせて54.3%で、金融資産が半分以上を占めています(*2)。
現金や預貯金の相続であればまだ公平に分けやすいのですが、例えば非公開株式などはそもそも価値が明確ではなく、相続人間で分割することが困難です。
公開株式や投資信託だとしても、投資に明るくない相続人からすれば、いきなり相続しても処分に困ってしまうでしょう。
また、株主として会社のオーナーや経営者になっていることもあり、事業承継の問題も発生します。
ですから、被相続人がどんな金融資産を所有しているかを事前に洗い出し、誰がどのように相続するか、早いうちから合意しておくことが重要になるのです。
不動産の問題も多い
引き続き相続財産の金額の構成比に注目すると、土地は28.8%、家屋は4.9%と、不動産が30%を超え、こちらも多くを占めています。
不動産も、相続では特に争いの種になりやすいです。
年や周辺環境の変化によって価値が変動しやすく、また不要な場合にも簡単に第三者に手放せるものではないからです。
令和2年の発表によると、岡山県の地価は、岡山市・早島町において上昇、倉敷市・総社市において横ばい、その他の市町村では下落しています。
地価が高いのは岡山市、倉敷市
岡山市は地価が高く、とりわけ岡山駅のある北区は高額になっています。
1㎡あたり、150万円を超す地点もあります(*4)。
駅周辺は商業地として栄えているほか、ターミナル駅として交通の便も岡山県では一番良いためと考えられます。
また、倉敷市も、倉敷駅周辺の阿智などの地域では30万円以上(/㎡)に上るところもあり、高水準です(*5)。
倉敷市には美観地区がありますから、観光地としても人気なのでしょう。
*4 岡山県 令和2年の地価調査の概要 PDF
*5 倉敷市 令和2年の地価調査 PDF
また、岡山市と並んで地価が上昇傾向にある早島町は、県南部中央に位置し、岡山市・倉敷市と隣接しており、両市のベッドタウンとしての人気が高いのです。
街の喧騒から離れた静かな自然あふれる地で生活したい、かつ交通の便もいい地域に住みたいという家庭が、早島町に家を構える傾向があるようです。
相続問題は早いうちから弁護士に相談しよう
相続問題は、いざ相続が発生してから行動するのでは遅いこともあります。
相続税申告などの期限が迫るなか、相続人だけの話し合いでは、なかなか遺産分割の方法について合意に至らないケースも多くありません。
できるだけ被相続人がご健在のうちから、親族みんなで話し合っておくことが望ましいのです。
もしも、被相続人が亡くなられてしまった後でも、弁護士への相談は早いに越したことはありません。
対応が遅くなればなるほど、とることのできる選択肢も狭まるなど、どんどん苦しい状況になってしまう可能性があります。
相続問題は、できるだけ早くから弁護士に相談するようにしましょう。
岡山県の弁護士事情
それでは、岡山県の弁護士事情はどのようになっているのでしょうか。
日弁連の発表によると、岡山弁護士会の会員数は408名となっています(2019年3月31日現在、*6)。
全国で見ると14番目の多さで、弁護士が集中する東京都や大阪に比べれば必ずしも多いとはいえませんが、まずまずの多さといえるでしょう。
特に岡山市部に集中
とはいえ、408名の弁護士が県内各地に均一に分散しているわけではありません。
岡山弁護士会は倉敷・津山・新見の各支部に分かれており、会員のうち多くが岡山支部に在籍しているようです。
ですから、岡山市にお住まいの家庭であれば、自宅近くに弁護士を見つけることも難しくありませんが、それ以外の市町村だと、選択肢が狭まることも予想されます。
自宅近くにご自身に理想にかなう弁護士先生が見つからないという場合は、岡山市まで出てきて探されるのが賢明でしょう。
当サイトでは、相続問題に強い岡山県の弁護士を厳選してご紹介しています。
ぜひ、ご参考にしてください。