1.大阪府では相続の件数が多い
大阪府では、相続の件数はどのくらいあるのでしょうか?
大阪府は、東京都ほどではありませんが、歴史的に商業地域として栄えてきた地域であり、人口も多いです。そこで、死亡する人の数も多く、相続の件数も全国の中で多い方です。
大阪家庭裁判所での平成27年における遺産分割調停の件数は、900件近くになっています。全国では13,000件程度ですので、全国の遺産分割調停の7%くらいは大阪で起こっていることになります。
また、大阪では相続税の申告数も多いです。具体的には、平成26年度の相続税申告件数が4,058件となっており、納付税額は846億円です。件数で見ると東京の約4割ですが、全国的に見て高い水準にあります。

2.大阪府で地価が高い場所
大阪府は、全国的に見ても、比較的地価の高い地域です。ただ、大阪府の中でも地価が高いのは、都心や都心に近いエリアに集中しています。
大阪市内では、地価が高いことによって遺産の総額が高額になり、相続税の申告件数が多くなることにつながっていると考えられます。
大阪府で地価が高いエリアとしては、大阪市の中でも中央区と北区です。
中央区では、死亡者に対する相続税課税件数の割合である課税割合や相続1件における納付税額も飛び抜けて高く、東京都よりも高い数値となっています。
また、大阪市内の天王寺区や阿倍野区も課税割合が10%を超えており、地価が高いことが推測されます。
大阪市全体の平均公示価格は、1平方メートルあたり59万1,703円です。これは、地価第2位である吹田市に比べて3倍近い数字になっており、全国でも14位です。
このように、大阪府では、特に大阪市内の都心エリアにおいて地価が高くなっているので、これらの地域に不動産を所有している場合には、将来相続問題が起こる可能性が高いと言っても良いでしょう。
3.大阪府は富裕層が多い
大阪府は、富裕層の数はどのくらいいるのでしょうか?
大阪は、歴史のある商人の町であり、もともと地元に住んでいる地主も多いです。
また、商売で成功を収めて多額の資産を築いた人などもいます。
さらに、大阪は日本全国へのアクセスが良く便利なので、他県出身で成功を収めた人でも大阪に居住しているケースなどもあります。
大阪府には、大阪市の中心部にアクセスの良い近郊地域の住宅地も多いです。茨城市や枚方市、豊中市や箕面市などにも大阪市に通勤する家庭を中心とした住宅地が広がっていますし、昔からの地主の家系もたくさんあります。
たとえば、大阪府内の八尾市などにも地主がいますが、これらの地主は、1つ1つの土地価格がさほど高くなくても、所有する不動産の数が多いので、遺産総額がかなり高額になってくるケースが見られます。
このようなことからして、大阪府は、全国的にも比較的富裕層が多い地域であると言えるでしょう。
特に、現在は地価が非常に高くなっている大阪市内に昔から土地をたくさん所有している家族などでは、将来の相続トラブルが予想されるので注意が必要です。
早いうちから弁護士に相談して遺言を残すなどして、相続が争続にならないように備えておく必要があるでしょうし、生前贈与を活用するなどして、相続税の節税対策もしておくべきです。
4.大阪府は弁護士の数も多い
相続トラブルに備えるためには、信頼できる弁護士を探す必要があります。
弁護士であれば、トラブル予防に効果的な遺言書作成の方法をアドバイスしてくれたり遺言書作成を手伝ってくれたり、遺言執行者に就任して遺言書の内容を確実に実現してくれたりするので、相談しておくと安心です。
遺産分割トラブルが起こってしまった場合でも、遺産分割協議の代理人や遺産分割調停の代理人となって、紛争相手と話し合ってくれるので心強いです。
それでは、大阪では弁護士は探しやすいのでしょうか?
この点、大阪府は、全国的に見ても弁護士が多い地域です。
日本の弁護士の全体数は35,045人ですが、東京に一極集中しており、東京には約16,000人います。大阪府はこれに次いで弁護士の多い地域であり、4,133人の弁護士が大阪府で開業しています(平成26年度調査)
【出典】内閣官房:法曹人口について
このようなことからすると、大阪では弁護士探しに困ることはないと言えるでしょう。
ただし、逆に、「どの弁護士が相続に強いか」ということで悩んだり迷ったりする可能性は充分に考えられます。
東京ほどの玉石混淆状態ではないにしても、大阪でも多くの弁護士がいて過当競争状態になっていると言えるでしょうから、良い弁護士もそうでない弁護士もいます。
そこで、相続問題を依頼するには、相続問題に強い弁護士を探す必要があります。
大阪にはたくさんの弁護士がいる分、相続問題に強い弁護士や相続問題に力を入れている弁護士はたくさんいます。
各弁護士事務所のホームページの内容などをチェックして、相続関係の事件取扱件数や実績などによって、相続問題に強いかどうかを見極めましょう。
相続問題を依頼する場合、相続税や不動産登記などの問題が発生するので、税理士や司法書士と提携関係のある弁護士に依頼すると、ワンストップサービスを受けられるので便利です。
大阪には、市内・市外を問わず、地主が多い特徴がありますが、大阪市内や近郊の市街地、農地など、たくさんの土地や高額な土地を所有している家庭では、土地(不動産)関係に強い弁護士を探すのも1つの方法です。
今はまだ具体的に相続問題が起こっていない場合でも、遺産の中に不動産が含まれている場合には将来遺産トラブルが起こる可能性が高いので、遺言書作成を含めて一度相続問題に強い弁護士に相談に行ってみると良いでしょう。