データでみる兵庫県の相続
兵庫県の相続税の申告書の提出にかかった被相続人の人数は5,306人です(*1)。
さらに、課税割合も9.2%と高い水準になっています。
課税割合は、全死亡者数のうち、相続税の課税対象者が占める割合です。
相続税は、相続財産が3,600万円を超えるときに発生します。
これが高めであるということは、兵庫県には比較的富裕層が多いことが予想されます。
さらに、兵庫県は関西地方でも相続トラブルが多いほうだといえます。
令和元年度の司法統計によると、神戸家庭裁判所で発生した遺産分割事件数は557件でした(*2)。
大阪高等裁判所管轄内だと、大阪府に次いで2番目の多さで、京都府や奈良県などの周辺府県を上回っています。
このように、兵庫県の相続では、相続税が発生しやすく相続トラブルも多いようです。
*1 相続税申告事績(兵庫県)PDF
*2 遺産分割事件数―終局区分別―家庭裁判所別 PDF
兵庫県の地価と不動産相続
次に、兵庫県の地価分布を見てみます。
地価上昇傾向にあるのは主に4地域
まず、近年の地価変動についてです。
令和2年度の兵庫県の地価調査によると、主に次の4地域で連年、地価が上昇していることがわかりました(*3)。
- 神戸地域では8年連続上昇
- 阪神南地域では8年連続上昇
- 阪神北地域では6年連続上昇
- 東播磨地域では4年連続上昇
逆にいえば、他の地域では地価は下落傾向か、横ばいになっています。
特に西播磨地域や丹波地域では29年連続下落傾向にあるようです。
このように、兵庫県では地価変動にも地域差があることがうかがえます。
最も高額な住宅地は神戸市に集中
最も平均地価(住宅地)が高額な地域は、やはり神戸市に集中しています。
神戸市の中でも、特に東灘区や灘区、中央区が高いです。
高級住宅街のある東灘区は平均地価が約34万円/㎡、灘区は約29万円/㎡、県庁所在地の中央区は約32万円/㎡です。
その他、阪神南地域の尼崎市・西宮市・芦屋市、阪神北地域の伊丹市・宝塚市なども軒並み平均地価が高くなっています。
特に芦屋市には「東洋一の別荘地」をコンセプトとする高級住宅街・六麓荘町もあり、全国的にも知名度の高い都市です。
芦屋市は、外国人の居住に適合するように街を作り、国際文化の向上や経済復興に寄与するよう、「芦屋国際文化住宅都市建設法」という独自の法律も定められています(*4)。
高級住宅街はこういったある種の用途制限がかけられることも珍しくありません。
兵庫県の高級住宅地を所有している家庭で将来の遺産相続が予定される場合には、相続税も高額になる可能性が高いほか、相続後の管理についても特に注意が必要です。
相続トラブルに備えて地元の相続問題に長けている弁護士に相談する必要性が相当高いといえるでしょう。
地価の低い地域の不動産相続ほど注意が必要
一方、先述した通り地価が下がり続けている西播磨地域や丹波地域などは、平均地価も低くなっています。
地価が低い地域だと、買い手がなかなか見つからないことが予想されますから、このような地域が相続遺産に含まれていると、その処分に困るおそれがあります。
土地や家屋はそのまま放置してしまうと、劣化などで周辺住民・環境に害を及ぼし、損害賠償請求を受けることもあります。
需要の低い地域ほど、どうやって遺産分割するか予め考えておくことが必要なのです。
兵庫県の富裕層
次に、兵庫県の富裕層はどのような地域にどれくらいいるのか、見てみましょう。
兵庫県は、先にも述べたように地域による特色がかなり強い県であり、地価や居住している人の属性も土地柄によって全く異なります。
平成29年度市町民経済計算(令和2年更新)によると、やはり地価が高い地域ほど富裕層が多く集まっていることがわかります。
神戸市の市町民所得(分配)が約4兆8,200億円、阪神南地域が約3兆3,100億円、阪神北地域が約2兆800億円、東播磨地域が約2兆400億円と、この4地域で県全体(約16兆3,200億円)の約75%を占めています(*5)。
兵庫県の相続弁護士事情
兵庫県は、実は全国的にみて弁護士が多い地域です。
2019年度3月31日時点で、兵庫県には964人の弁護士が在籍しており、法律事務所も499ヶ所あります(*6)。
弁護士数としては、東京都・大阪府・神奈川県・愛知県・福岡県に続いて全国6位の多さです。
神戸本部に弁護士が集中している
しかし、964人の弁護士が均等に全地域に散らばっているわけではありません。
神戸本部に所属するのが586名(平成30年7月10日時点)と、圧倒的に神戸に集中しています。
神戸以外だと、阪神支部・伊丹支部・明石支部・姫路支部・豊岡支部に分かれていますが、特に豊岡支部になると、登録されている弁護士数は9人です。
多くの弁護士は対応地域が広い
もちろん、もしも相続問題がもつれてしまった場合、何度も弁護士のもとに通わなければいけなかったり、あるいは弁護士に出張代を支払わなければいけなかったりすることもあるので、近いに越したことはありません。
また、遺産に土地が含まれる場合、地元の弁護士であるほど、よくその不動産事情に精通しているはずです。
とはいえ、何も必ずご自身のお住まいの地域で弁護士を探さなければいけないわけではありません。
ほとんどの弁護士事務所では、対応地域を県レベルで設定していますし、場合によって兵庫県ではなく大阪府など、他府県の弁護士に依頼することもできます。
選択肢は多く持っていたほうがよいでしょう。
相続問題に強い弁護士に依頼しましょう
相続問題は、遺産の行方や親族の仲までも左右する、重大な問題ですから、相続に強い信頼できる弁護士に依頼するのが最優先です。
当サイトでは、相続に強い弁護士を厳選してご紹介しています。
弁護士選びのポイント
高額な土地やたくさんの土地を所有していて相続税が発生する可能性が高い家庭などの場合には、不動産登記や相続税申告の必要も発生してくることが予想されるので、司法書士や税理士などと提携している弁護士を選ぶことがおすすめです。
このような隣接士業と提携している弁護士に依頼すると、自分でいちいち司法書士や税理士を探す必要がなく、ワンストップサービスを受けられるのでスムーズに相続手続をすすめることができて、手間が省けるからです。
その他にも、事務所の立地や料金体系、弁護士の実績などを見ながら、任せたいと思える弁護士を探してみてください。
今はまだ具体的に相続問題が起こっていない段階でも、将来の相続に備えて、一度相続問題に強い弁護士に相談に行ってみることをおすすめします。