遺留分侵害額請求をされたらどうすればいい?法律上の問題と対応方法

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遺留分 請求されたら

親が遺言書を残しており、遺言書のとおりに遺産分割をして一安心…と思っていたところに、突然他の相続人から「遺留分侵害額請求」を受けてしまった…。

こうした事例はしばしば見受けられます。

この「遺留分侵害額請求」とは何なのでしょうか。
また、このような遺留分侵害額請求に応じて金銭を支払う必要はあるのでしょうか。

遺留分侵害額請求の問題について正しい判断を行うためには、法律上の正しい知識を備えておく必要があります。
この記事では、遺留分侵害額請求をされた場合の法律と対応方法について解説します。

1.遺留分侵害額請求とは?

まず、遺留分侵害額請求がどのような請求なのかについて解説します。

1-1.遺留分について

遺留分とは、各相続人が、相続財産の中から最低限相続できることが保障されている金額をいいます。

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たとえば、一人の相続人に対して、全部の相続財産を相続させるということが遺言で決められていたとします。
この場合、他の相続人は全く相続財産を相続できないということになります。

しかし、他の相続人が遺留分を有している場合、その相続人にとっては、自分が受け取る権利を持っていたはずの遺留分相当額を相続できないという事態が発生していることになります。
これが「遺留分が侵害されている」状態です。

遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを、全部の相続財産を相続した者に対して請求することができます(民法1046条1項)。
これを「遺留分侵害額請求」といいます。

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1-2.正当な遺留分侵害額請求は拒否できない

遺留分は、一定の相続人に認められた法律上の権利です。
したがって、正当に遺留分侵害額請求を受けた場合には、遺留分侵害額相当の金銭を支払う義務があります。

そのため、正当な遺留分侵害額請求を受けた場合には、無視したり放置したりせずに正しく対応することが重要です。

2.遺留分侵害額請求が正当であるかどうかのチェックポイント

では、遺留分侵害額請求が正当であるかどうかについては、どのようにして確認すればいいのでしょうか。
以下では遺留分を請求されたときのチェックポイントを解説します。

2-1.遺留分を有するのは、配偶者・子・直系尊属のうち相続人である者

まず、請求者が遺留分を有する者であるかどうかについて確認します。

遺留分を有するのは、「兄弟姉妹以外の相続人」です(民法1042条1項)。
つまり、配偶者、子、直系尊属のうち、相続人である者が遺留分を有することになります。

配偶者、子、直系尊属であっても、相続人にあたらない場合には、遺留分はありません。
たとえば、以下の者は相続人に当たらないため、遺留分を有しません。

  • 子がいる場合の直系尊属
  • 相続放棄をしている者
  • 相続人の欠格事由(民法891条)に該当する者
  • 推定相続人の廃除(民法892条)を受けた者

2-2.遺留分侵害額請求権の消滅時効は1年間

遺留分を有する者による遺留分侵害額請求を受けた場合であっても、遺留分侵害額請求権の消滅時効が完成している場合には、消滅時効を援用する(既に権利がないと主張する)ことで支払わなくていい場合があります。

遺留分侵害額請求の消滅時効期間は、「遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間」です(民法1048条前段)。
この期間が経過していれば、消滅時効が完成していることになります。

遺留分侵害額請求を受けた際には、消滅時効の援用ができるかどうかを確認するようにしましょう。

なお、相続開始から10年でも時効になります(民法1048条後段)。

2-3.本当に遺留分の侵害があるか(遺留分の計算)

遺留分侵害額請求が正当なものであるかを判断するには、請求額どおりの遺留分の侵害が本当にあるのかを計算して確認する必要があります。

遺留分の計算は、相続財産の評価額、遺留分の割合、特別受益の有無など、民法のルールに厳密に従って行う必要があります。

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そのため、計算が複雑になることも多く、正しい計算を行うためには法律の専門知識が不可欠です。
よって、正しく計算できているかどうかわからないという場合には、弁護士に依頼して遺留分侵害額を代わりに計算してもらうのが最も安心でしょう。

3.民法改正による遺留分のルール変更

2019年7月1日付で施行された改正民法により、遺留分侵害額請求に関するルールが変更されました。
以下ではその変更点について解説します。

また、相続が発生した時期が法改正の前か後かによって取り扱いが異なります
以下では、法改正前後でどのように取り扱いが異なるかについても併せて解説します。

3-1.遺留分に関するルールの変更点

2019年7月1日の改正民法施行より前は、遺留分侵害額請求権は「遺留分減殺(げんさい)請求権」と呼ばれていました。

遺留分減殺請求権の内容は、基本的には遺留分侵害額請求権と同じです。
しかし1点だけ異なる点があります。

遺留分減殺請求権の場合には、遺留分の返還は原則として「現物」でした。
つまり、請求された人は、遺贈や贈与で取得した財産のうち遺留分に相当する割合を、家なら家、株式なら株式と、「現物で」返還する必要がありました。

しかし、現物での返還が必須となると対象物が不本意に分割されてしまったり、分割の難しい不動産では共有になってしまったりする場合があります。

これにより、対象物の使い勝手が非常に悪くなってしまったり、かえって紛争の火種になってしまったりするという問題が発生していました。
(例外的に価額弁償といって金銭での返還が行われる場合もありました)

こうした問題を受けて、2019年7月1日の改正民法施行以降の遺留分侵害額請求権では、遺留分侵害額に相当する「金銭」の支払いをもって精算するというルールに変更されました。
法改正前に価額弁償で行っていた返還を原則とすることで、従来の問題点を解消するのが狙いです。

3-2.相続の発生時点によって適用されるルールが異なる

法改正前後のどちらのルールが適用されるかは、相続が発生したタイミングによって決まります。

2019年6月30日以前に相続が発生した場合は、法改正前のルールが適用されます。
つまり、遺留分を侵害された者は「遺留分減殺請求」を行うことになり、精算は原則として「現物の返還」により行われます。

これに対して、2019年7月1日以降に相続が発生した場合には、法改正後のルールが適用されます。
つまり、遺留分を侵害された者は「遺留分侵害額請求」を行うことになり、精算はすべて「金銭での返還」により行われます。

4.遺留分侵害額請求への対応方法

以上に解説したところを踏まえて、遺留分侵害額請求に対してどのように対応すべきかについて解説します。

4-1.正当な請求には、自主的な支払いも含めて適切に対応する

まず、遺留分侵害額請求が正当なものであるかどうかについて、この記事で解説したところを踏まえて確認する必要があります。
そのうえで、正当な請求である場合には、自主的に請求に応じることも含めて適切に対応すべきです。

もし無視したり放置したりしてしまうと、最終的には裁判所における調停や訴訟などの法的な手続きに移行する可能性が高く、経済的にも時間的にも負担がかかってしまいます。

また、請求を受けた日の翌日から法定利率による遅延損害金が発生するため、放置すればするほど支払額が大きくなってしまうことにも注意が必要です。

正当な遺留分侵害額請求を受けた場合には、必要に応じて弁護士などの専門家の助言を得ながら、円満に解決することが望ましいでしょう。

4-2.遺留分を払えないとき|請求者と交渉・裁判所に期限の許与を請求

正当な遺留分侵害額請求を受けた場合でも、請求者に対して支払う金銭をすぐには準備できないという場合もあるでしょう。
その場合は、まず請求者に対して支払いを待ってもらえないか交渉しましょう。

請求者が交渉に応じてくれない場合であっても、請求を受けた者は、裁判所に対して請求することにより、遺留分侵害額相当の金銭の支払いの全部または一部について相当の期限を許与してもらうことができます(民法1047条5項)。

請求者との交渉や、裁判所への期限の許与の請求については、弁護士などの専門家にノウハウがあります。
したがって、支払いの余力がなく困っている場合には、弁護士などの専門家に相談することも有効です。

5.まとめ

ここまでご説明してきたように、遺留分侵害額請求が正当なものであるのかを正しく判断するためには、複雑な計算などを経る必要があります。

実際に遺留分侵害額請求を受けた場合に、請求に納得できなかったり、正当な請求であるか判断できなかったり、また支払う余力がなかったりと、自分一人では解決できない問題に直面することもあるでしょう。

そのような場合には、弁護士に相談することがおすすめです。

弁護士は、法律上の専門知識と経験を豊富に有しています。
また、遺留分侵害額の計算方法についても習熟しており、依頼者の具体的な状況を聞いて、正しい遺留分侵害額の計算を代わりに行ってくれます。

さらに、万が一他の相続人との間で、相続や遺留分に関する紛争が発生してしまった場合であっても、弁護士に相談をしていれば、依頼者にとって最も有利な解決策を提案してくれます。

遺留分侵害額請求で困っている場合には、ぜひ一度弁護士に相談してみてください。

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