遺留分侵害額請求とは?手続き・期限・必要書類を解説!

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贈与や遺言によって、相続人が遺産を受け取れないことがあります。しかし、それでは生活できない人もいますし、第三者に全部の遺産が渡っては納得できないことも多いでしょう。そのため、一定の相続人には最低限の取り分として「遺留分」があります。
この最低限の取り分が侵害された場合に取り戻す手続を「遺留分侵害額請求(いりゅうぶんしんがいがくせいきゅう)」と言います。

令和元年(2019年)6月30日までは「遺留分減殺請求」という名前でした。

今回は、遺留分侵害額請求の方法、自分で請求するときの通知書の書式や注意点もご紹介します。

1.遺留分侵害額請求とは

法定相続人に最低限の遺産取得分である遺留分が認められると言っても、何もしなくても当然に遺留分の支払いを受けられるというわけではありません。

遺留分権利者が実際に遺留分の返還を受けるには、遺留分の請求をする必要があります。
この請求のことを「遺留分侵害額請求」と言います。
口頭での請求も有効ですが、通常は書面による通知を行います。

遺留分侵害額請求の具体的な手続き方法については、後に詳しくご説明します。

2.遺留分侵害額請求の時効

遺留分侵害額請求には「時効」という期限があり、時効をすぎると請求できなくなってしまいます。

具体的には

  • 相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間
  • 相続開始から十年を経過したとき

どちらかの期間が経過したら、遺留分は時効により請求できなくなります(民法1048条)。
そのため、遺留分を取り戻したいと思ったらできるだけ早めに手続きしましょう。

3.遺留分侵害額請求書の書式

3-1.遺留分侵害額請求書のサンプル

遺留分侵害額の請求には、特に法律で決まった方法があるわけではありません。
しかし、遺留分侵害額請求権は期間内に請求しておかないと権利が消滅してしまいますから、期間内に請求したという確実な証拠を残すために、必ず内容証明郵便で請求しましょう
そこで、まずは自分で遺留分侵害額請求をするときの請求書の例をご紹介します。

遺留分侵害額請求書

冠省、被相続人山田一郎の相続につき、ご通知差し上げます。

被相続人は、その遺言書(平成◯◯年◯月◯日)において、全遺産を貴殿に遺贈するとしております。 しかし、この遺贈は私の遺留分を侵害するものです。

したがって、私は貴殿に対し、本書面をもって遺留分侵害額金◯◯◯万円の支払いを請求いたします。
本書面到達後◯週間以内に、下記口座宛て振込む方法にてお支払いください。

◯◯銀行◯◯支店 普通預金 口座番号:◯◯◯◯◯ 名義人:山田太郎

以上

令和◯年◯月◯日

住所:東京都千代田区○○町1-2-3
通知人:山田太郎

住所:東京都練馬区○○町3-4-5
被通知人:山田花子

3-2.遺留分侵害額請求書作成のポイント

遺留分侵害額請求権は金銭債権ですので、債権の内容が特定できる程度の記載をしておくことが必要と考えるべきでしょう。

具体的には、最低限、次の内容が記載されていることが必要です。

  1. 債権者
  2. 債務者
  3. 債権の発生原因
  4. 債権額

上の書式例で説明すると、次のとおりです。

①債権者:山田太郎(遺留分権利者)
②債務者:山田花子(受遺者)
③債権の発生原因:被相続人山田一郎の遺贈による遺留分侵害
④債権額:2000万円

この内容が記載されていれば、必要かつ十分です。
上の書式例の支払期限、振込先口座の記載は必須のものではありません。ただ、通知だけで支払ってもらえる場合には、口座などが記載されていたほうが便利でしょう。

4.遺留分侵害額請求の方法

請求書を作成したら、それを内容証明郵便で送ります。しかし、送っただけで遺留分が帰ってくるわけではないので、請求書の送付から先のステップや、費用について順番にご説明します。

4-1.内容証明郵便で遺留分侵害額請求をする

内容証明郵便の送り方

内容証明郵便とは、郵便局と差出人の手元に相手に送ったものと同じ内容の控えが残る郵便のことです。郵便局によって日付も記入されますし、配達証明をつければ相手に送達された日も証明できます。
内容証明郵便を使えば、いつどのように遺留分侵害額請求をしたのかが証明できるということです。

また、内容証明郵便は取り扱っている郵便局からも発送できますが、インターネットから24時間いつでも発送できる電子内容証明郵便サービスというものもあります。
【郵便局HP】電子内容証明郵便サービス

内容証明郵便の費用

内容証明郵便で遺留分侵害額請求をする場合、かかる費用は1000円~2000円程度で、文書の枚数によって値段が変わります。
電子内容証明郵便サービスを利用する際も、1000円~2000円程度です。

4-2.遺留分侵害額請求の交渉

内容証明郵便で遺留分侵害額請求をしても終わりではありません。その後は相手と交渉して、具体的な遺留分の返還方法を話し合い、実際に遺留分を取り戻さなければいけません。
お互いが合意をして話し合いの決着がついたら遺留分の返還を受けることができます。このとき、後の争いを避けるために合意書を作るようにしましょう。

相手が話し合いに応じなかったり、話し合いをしても合意ができなかったり、そもそも無視されたりした場合には、遺留分侵害額の請求調停などをする必要があります。

4-3.遺留分侵害額請求を弁護士に依頼する場合の費用

遺留分侵害額請求は弁護士に依頼することができます。
その際の費用(弁護士報酬)としては、内容証明郵便を作成するための手数料として3~5万円程度、さらに、相手方との交渉にかかる着手金、報酬金があります。着手金、報酬金は遺留分侵害額請求の金額(請求額)によって異なります。

請求に相手が応じず、次にご説明する調停・訴訟に発展した場合には、その内容に応じて弁護士報酬が発生します。

5.遺留分侵害額請求調停と遺留分侵害額請求訴訟

当人同士の話し合いでは遺留分の返還について合意できない場合には、家庭裁判所で遺留分侵害額の請求調停をするのが一般的です。

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遺留分侵害額の請求調停とは、家庭裁判所の調停委員に間に入ってもらうことによって、遺留分の返還やその方法について話し合う手続きのことです。
当事者が直接顔を合わせて話し合いをする必要がないので、お互いが冷静になって話を進めやすいです。

また、遺留分侵害額の請求調停でもまとまらない場合は、訴訟しか残されていません。

遺留分減殺調停と遺留分侵害額請求訴訟の詳細についてはこちらの記事で解説しています。

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まとめ

遺留分を取り戻すための「遺留分侵害額請求」ついて解説してきました。
遺留分が認められる場合でも、何もしなければ遺留分の返還を受けることができず、実際に支払いを受けるためには遺留分侵害額請求をする必要があります。

ただし、遺留分侵害額請求には期限があります。
また、遺留分を取り戻したいときは、まず内容証明郵便で相手に遺留分侵害額請求書を送り、相手と遺留分の返還についての交渉をしましょう。
話し合いができなければ、家庭裁判所で遺留分侵害額の請求調停をします。調停でも解決ができない場合には、遺留分減殺訴訟をするしかありません。

遺留分侵害額請求の手続きを有利にすすめるには、遺産相続問題に強い弁護士に手続きを依頼すべきです。
今遺産問題に悩んでいて、遺留分を取り戻したいと考えている場合には、期限の問題もあるので、早めに遺産相続に強い弁護士に相談に行って手続きをしてもらいましょう。

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