遺留分侵害額請求を拒否された場合どうすればいい?

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「弟から遺留分侵害額請求を受けたけど拒否した」、「遺留分侵害額請求の内容証明郵便を送ったけど、受け取り拒否された」
といった話を聞くことがあります。
せっかく遺留分があると思って請求をしても、ただ「お断りします」で済まされては困ってしまいますよね。

令和元年(2019年)7月1日に施行された改正民法で、「遺留分減殺請求」は「遺留分侵害額請求」となりました。基本的な考え方は同じです。

では、遺留分侵害額請求は無視してもいいものなのでしょうか?遺留分侵害額請求を拒否された場合、どうすればいいのでしょうか?
この記事では、遺留分侵害額請求を拒否されたり無視されたりした場合の対応について解説します。

1.遺留分侵害額請求は拒否できない

そもそも、遺留分侵害額請求は法的に拒否できません。遺留分として定められた額を正当に請求された場合、拒否という選択肢自体存在しません。

そのため、遺留分が侵害されている場合、必ずしも裁判などで請求する必要はありません。
最初は内容証明などの書面で請求することが一般的です。

2.相手方が応じてくれない場合の対処法

法律上拒否できないとは言っても、実際に遺留分を取り戻せなければ意味がありません。
では、実際に請求しても相手が応じてくれない場合、どのような対処法があるのでしょうか?

2-1.調停を申し立てる

内容証明郵便などによる遺留分侵害額請求に応じてくれない場合、まずは家庭裁判所に調停の申立てを行うことになります。
調停は、調停委員が間に入った話し合いです。この話し合いがまとまると、調停調書というものが作られ、これに従わない場合は強制執行もできるため、遺留分を取り戻すことができます。

遺留分侵害額請求の調停以降の手続については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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2-2.訴訟を提起

調停でもまとまらなかった場合には、訴訟をすることになります。
なお、原則として、調停をせずに訴訟をすることはできません(家事事件手続法244条、257条1項)。

訴訟はまさに最終手段で、大変な労力と時間がかかる上、個人で行うのはとても難しいものです。訴訟までしなければならないような場合には、弁護士に相談しましょう。
また、話し合いなどとても出来ないほどこじれているような場合には、弁護士に相談して、調停をせずに訴訟ができることもあります。

3.遺留分侵害額請求を拒否されたときの注意点

ここまで、遺留分侵害額請求を拒否された場合の対処法などを見てきましたが、遺留分侵害額請求権が時効によって消滅していたり、実は自分には遺留分がなかった、実は遺留分の計算が間違っていた、などのようにいくつかの注意点があります。
自分がこれらに当てはまらないかを確認しておきましょう。

3-1.遺留分侵害額請求権の時効消滅

遺留分侵害額請求はいつまでもできるわけではなく、有効期間があります。それが「時効」です。
次の2つのいずれか早い期間がすぎると、遺留分減殺請求権は時効によって消滅してしまいます(民法1042条)。

  • 相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間
  • 相続開始の時から十年

つまり、これらのどちらかの期間がすぎていると、遺留分減殺請求をしても正当に断られてしまうということです。

もっとも、民法には「時効の中断」というものもあります。
時効は意外と難しい期間の計算がありますので、不安なときはぜひ一度弁護士にご相談ください。

3-2.請求者にそもそも遺留分がない場合

請求者に遺留分がない場合には、遺留分侵害額請求をしてももちろん何の効果も生じません。このような遺留分がない者からの請求は無効です。

遺留分が認められない者としては以下のようなパターンがあります。

請求者が被相続人の兄弟姉妹である場合

請求者が被相続人の兄弟姉妹である場合には、遺留分は認められません。

民法1042条 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。
一 直系尊属のみが相続人である場合 三分の一
二 前号に掲げる場合以外の場合 二分の一

相続放棄している場合

相続放棄をすると、はじめから相続人にならなかったものとされます。そのため、相続放棄をした場合、もちろん遺留分も認められません。

民法939条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

請求者が相続欠格者である場合

民法891条では、相続について悪事を働いた相続人を「相続欠格」として相続人から排除しており、被相続人の殺害や遺言書の偽造など、5つの場合分けで相続欠格者が定められています。

詳しくはこちらの記事で解説しています。

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請求者が被相続人から相続廃除された場合

被相続人に対して虐待や重大な侮辱をしたり、著しい非行があるような相続人については、相続人から廃除する申し立てができます(民法892条)。
この申し立てで廃除された場合、相続人ではなくなります。もちろん、遺留分もありません。

4.まとめ

遺留分侵害額請求を拒否されたときの対処法や、遺留分侵害額請求権の時効などについて見てきました。
基本的には、自分が相続人でない場合は少数で、相手がただ無視したり拒否したりしていることが多いでしょう。

そのため、内容証明などで遺留分侵害額請求をしても相手方が応じてくれない場合には、まずは弁護士に相談し、調停など今後の方針について教えてもらいましょう。
調停の手続やサポートはもちろん、時効の判断なども行ってくれますので、不安も解消され、とても心強いです。

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