遺産分割審判にも不服|即時抗告の手続きと抗告状・理由書の書き方
遺産分割は、まず、相続人間の話し合いから始めますが、まとまらない場合について、調停や審判が法定されています。 では、…[続きを読む]
遺産分割協議が終わったものの、内容を誤解していたり、やっぱり不満が残っているとき、遺産分割のやり直しはできるのでしょうか?
この記事では、遺産分割をやり直せる場合と、やり直せない場合、注意点などについて解説します。
遺産分割協議はやり直せることがあります。
やり直しができる場合とは、主に相続人全員が合意するか、遺産分割協議が無効や取消しとなるときの2つです。
遺産分割協議が終わり、遺産分割協議書を作成したあとでも、相続人全員の合意があれば遺産分割協議をやり直すことができます。
このとき、贈与税がかかってしまう場合があるので注意してください。
詳しくは2-1と姉妹サイトで解説しています。
全員の合意がなくても、遺産分割協議が無効になったり、取り消すことができる場合も稀にあります。
民法に錯誤というものがあります(民法95条)。
錯誤とは、簡単に言えば勘違いのことで、それによって契約や遺産分割協議をしてしまったとき、無効だと主張できるものです。
ただ、錯誤による無効が認められる条件はとても難しく、なかなか認められませんし、一般の人が判断できるものではありません。
そのため、もし遺産分割協議に大きな勘違いがあってやり直したいと思う場合は、まず弁護士に相談してアドバイスを受けるようにしましょう。
また、遺産分割協議は相続人全員で行うこととされているため、一部の相続人のみでこっそり遺産分割協議を成立させてしまったり、後から他に相続人がいたことが発覚した場合も、無効になります。
騙されて遺産分割協議をしてしまったり、「この内容で遺産分割しろ」などと脅されて行った場合には、詐欺や強迫により遺産分割協議を取り消すことができます(民法96条)。
錯誤ほど難しいものではありませんが法律判断になりますし、詐欺や強迫をしてくるような相手では争いが激化してしまうおそれもあります。
そのため、やはり弁護士にアドバイスを受けたり、直接交渉したもらうほうがいいでしょう。
先に少し述べましたが、合意で遺産分割協議をやり直すと贈与税などがかかってしまうことがあります。
最初の遺産分割協議で遺産分割すると、それぞれの相続人が協議に基づいて相続財産を取得することになります。
そのため、やり直しの遺産分割は、相続ではなく相続人同士の贈与とされ、贈与税がかかってしまうのです。
詳しくは下記ページで解説しています。
【姉妹サイト】遺産分割のやり直しで贈与税・不動産取得税が発生!
相続があったとき、不動産については相続登記をします。
ただ、既に最初の遺産分割協議で相続登記を済ませてしまっている場合には、一度先の登記を抹消し、新たな遺産分割協議に基づいて登記をする必要があります。
なお、相続発生後にまだ登記をしていない場合には、そのまま新しい協議に基づいた相続登記をすることができます。
遺産分割協議後に新たに遺産が見つかったときはどうすればいいのでしょうか。
この場合、一般的には新たな遺産についてのみ遺産分割協議をすることになります。
しかし、せっかく終わったと思っていたのにまた協議しなければならないというのは負担になる相続人も多いでしょう。
そのため、当初の遺産分割協議で、新たに遺産が見つかったときにどのように分けるかを決めておくと、新たな遺産が見つかったときも手間が省けます。
例えば、
などのように記載することができます。
ただ、デメリットとして、誰かが新たな遺産を全て相続すると決めてしまうと、新たな遺産の価値が高いものだったときに争いとなりやすい点があります。
もちろん、相続人全員の合意があれば遺産全体について改めて遺産分割協議をすることもできます。
これまで遺産分割協議のやり直しについて解説してきましたが、実は遺産分割調停と遺産分割審判については、不満があってもやり直しはできません。
調停では不満があれば調停不成立となり、自動的に審判手続へ移行します。
また、審判に不満があるときは、即時抗告という手続がありますが、申し立ての時間制限がありますし、最初からやり直せるわけではありません。
これまで解説してきたように、一定の場合には遺産分割をやり直すことができます。
ただ、相続人全員の合意以外でのやり直し(無効や取消しなど)は条件が厳しく、やり直しができるかどうかは難しい法律判断になります。
もし遺産分割協議に不満などがあり、やり直したいと思う場合には、ぜひ一度弁護士に相談してアドバイスをもらうことをおすすめします。