相続手続きに必要な書類|戸籍謄本、除籍謄本…内容から取り方まで
相続手続きには、数多くの書類が必要です。戸籍謄本や除籍謄本、住民票の除票、印鑑証明書などについて内容から取り方まで、…[続きを読む]
親族の方が亡くなって、いざ相続をしよう!と思った時に必ず必要となる「相続人調査」。
その名の通り、相続人の調査をすることを意味するのですが、具体的にどのような手続きが必要なのでしょうか。
「相続人が誰なのか分かっているから、相続人調査なんてしなくても大丈夫」
「相続人調査って聞いたことあるけど、何をすればいいの?」
このように思う方必見!
今回は、相続人調査を行う理由からその手続き・手続き上のポイントまで、相続人調査に関するあれこれを解説していきます。
目次
相続人調査とはいったいどのようなもので、なぜ調査をしなければならないのでしょうか?
早速見ていきましょう。
相続人調査とは、「相続において誰が相続人になるか」を調べることを言います。
被相続人(亡くなった人)が生まれてから死亡するまでの家族関係を洗い出すことで、相続人を調査し、確定させます。
調査を行うことで、被相続人が密かに認知した子どもの存在や養子縁組をしていたことなどが発覚する場合があるので、相続人を確定させるうえで非常に重要な手続きになります。
では、なぜ相続人調査が必要なのでしょうか。
遺産分割協議とは、被相続人の財産を誰が、どのくらい相続するのかを相続人で話し合って決めることをいいます。
たいていは相続人が複数いますので、遺産分割協議で遺産の分配を行うことが一般的です。
この遺産分割協議では、相続人全員の参加が必須条件となっています。そのため、苦労して遺産分割協議をまとめても、相続人が1人でも参加していなければ無効になってしまいます。
このように、遺産分割協議を行うためには「相続人が誰か」という事を明らかにする必要があるのです。
また、相続人調査をしないと、通常は相続登記や銀行等の名義変更の手続きができません。
例えば、銀行で預貯金の名義変更を行う場合は、戸籍関連の書類提出を求められます(場合によって異なりますが、少なくとも相続人全員の戸籍謄本と、被相続人の出生から死亡までの戸籍書類が必要です)。
では、どのようにして相続人を調査するのでしょうか。
ここでは、相続人調査の手順とポイントを解説していきます。
相続人調査は、概ね以下のような流れで行われます。
戸籍を取る際には、死亡から出生まで連続した戸籍を集める必要があります。
戸籍が連続していない(時間的空白がある)と、その間に相続人が増えたとしても確認できないからです。
通常、出生から死亡まで1つの戸籍にいることはありません。婚姻・離婚、本籍地の移動、養子等の理由で、戸籍は移動するからです。
移動する前の戸籍と次の戸籍の日付が連続しているかどうか確認することが、時間的空白のない戸籍収集の手段です。
もし、前後する戸籍で日付が連続していない場合については、間に収集できていない戸籍があるということになります。
まず最初に、被相続人の死亡時の本籍地を知る必要があります。この死亡時の本籍地から戸籍の収集が始まります。
とは言え、本籍地を調べるのは難しくありません。
亡くなったときの住所地の役所で、「住民票の除票」をもらえば、そこに本籍地を記載してもらうことができます。
死亡時の本籍地が分かったら、その市区町村の役所に戸籍謄本を申請します。
遠方で直接行けない場合は郵送での申請も可能です。
通常は、役所の窓口で「相続に必要なので、亡くなった方の出生までの戸籍関連書類を全てください」と言えば案内してもらえるはずです。
本籍地が移動している場合はそれも教えてもらえるはずですが、わからない場合は下でご説明する方法をとってください。
死亡時の戸籍謄本(除籍謄本)が手に入ったら、その戸籍に来る前の戸籍が書いてある欄から、一つ前の本籍を探します。
そして、一つ前の本籍地の役所で同様に戸籍謄本を申請します。合併している場合は合併後の役所に申請しましょう。
この①申請→②一つ前の本籍を確認という作業を繰り返し、出生まで戸籍を遡ります。
戸籍の収集方法、相続で必要な戸籍の種類についてはこちらの記事をお読みください。
戸籍を収集したら、相続人が誰になるかを確認していきましょう。
この際、婚姻や離婚、養子縁組などの身分事項を確認します。
付き合いのある家族・親族だけが相続人とは限りませんので、例えば離婚した元配偶者との子供や、認知した子供がいないか、よく確認しましょう。
具体的にどのような人が相続人になるか、相続人の範囲や順位はこちらの記事で図解しています。
ここまでが、戸籍収集と相続人の調査の基本的な流れです。
簡単そうに見えますが、実際には法改正で戸籍の形式が変わっていたり、婚姻、転籍等もあり、全ての戸籍を集めるだけでもかなりの時間と手間が必要になります。
もしご自分で相続人調査をするのが難しい、時間がないという方は、弁護士に相談してみましょう。
以下では、相続人調査を弁護士に依頼することにどのようなメリットがあるのか、費用相場はいくらかについて解説します。
メリットとしては、主に以下の2点です。
冒頭でご説明したとおり、相続人全員を確認していないと、遺産分割協議が無効になったり、登記や名義変更の手続が出来ないという弊害があります。
ご自分で戸籍を収集したとしても、本当にこれで全てなのか、戸籍の読み方は正しいのか、この人は相続人…?といった不安や疑問が生じてくることもあります。
こうした調査も弁護士の業務のひとつですので、適切に戸籍を収集し、そこから誰が相続人になるかを教えてくれますし、自分だけで調査した場合の不安はなくなるでしょう。
実感しやすいものとしては、やはり調査にご自分の時間と労力をかけずにすむことです。
繰り返しになりますが、慣れずに行う相続人調査にはかなりの時間と労力が必要です。
郵送で申請するとしても、死亡から出生までの戸籍を集めるとなると、戸籍の通数は多く、何度も何度も様々な役所に申請することになります。仕事を休まなければならないこともあるでしょう。
また、古い戸籍は手書きのものもあり、戸籍の記載事項を読み取るのが困難で、連続している戸籍なのか見落としてしまう可能性があります。
このように、収集した戸籍の読み取りも知識のない人では大変な時間がかかります。
そのため、時間と手間が省けることは大きなメリットになります。
弁護士とはいえ、相続について全般を依頼する必要はありません。
相続人調査だけを依頼し、それ以降スムーズに相続手続きが完了すれば、それに越したことはないでしょう。
ただ、様々な相続手続きの中で少し不安な場合や、遺産分割や遺留分など何らかのトラブルが発生した場合など、弁護士に相談したいシーンが生じる可能性もあります。
こうしたときに、相性が良い弁護士に相続人調査を依頼してあれば、その後の相談もスムーズにできますし、心理的なハードルも低いはずです。
弁護士に依頼する費用は、一般的には報酬の5万〜10万円程度に、戸籍取り寄せ料や手数料などの実費を加えた金額となります。
しかし、この金額は一般的な相場であり、事務所によって金額が異なるので事前に確認することをお勧めします。
相続人調査は遺産分割をする上で重要なものであり、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を集める必要があります。
複雑な手続きも多いので、自力での相続人調査・戸籍収集が難しい場合には専門家に依頼することをお勧めします。