【図解】法定相続人の範囲と相続分|相続できる人が一目で分かる
親族の中で相続人になれる範囲や優先順位、その人がもらえる相続分は民法で決まっています。「結局誰がどれくらい相続できる…[続きを読む]
相続について調べていると必ず一度は目にする「被相続人」という言葉ですが、その意味をよく理解できていない方もいると思います。
相続は難しい用語も多く、理解するのは非常に大変です。
そこで今回は、「被相続人」という言葉の定義やその特徴、相続人との関係について説明します。
目次
被相続人とは、「相続される人」つまり財産を残して亡くなった方のことをいいます。
少しでも財産がある人は皆、亡くなったら被相続人になります。
例えば、Aさんが亡くなり、夫Bさんと子供Cさんが遺されたとします。
このとき、死亡し自らの財産を相続されるAさんが「被相続人」にあたります。なお、BさんとCさんは「相続人」です。
では、相続人と被相続人はどのような関係にあるのでしょうか。
まず、被相続人の財産の中で相続人の相続の対象となる財産について説明します。
相続人は、被相続人の一切の権利義務を相続することができます。
簡単に言えば、プラスの財産もマイナスの財産も全て相続するということです。
例えばプラスの財産は、現金、預貯金、家などの不動産、車や宝石などの動産などで、珍しいものだと著作権なども含まれます。
また、マイナスの財産としては、代表的なものはいわゆる借金ですが、未払いの医療費のような債務、税金なども対象となります。
ここで注意しなければならないのは、一身専属権(その人個人しか持つことのできない権利)は相続の対象にならないということです。
代表的なものとしては、会社員としての立場のような「雇用契約における地位」、無償で物を借りて使用するような「使用貸借契約の借り主としての地位」などがあります。
ただし、一身専属権であっても場合によっては相続できる可能性がありますので、一身専属権を相続したい場合には弁護士に相談することをお勧めします。
被相続人の財産は相続人が相続します。
誰がどのくらい相続できるのかということは民法に定められており、民法で定められた相続人のことを「法定相続人」といいます。
詳しくは以下の記事をご参照ください。
遺産相続においては、相続財産を受け取ることができない人も存在します。
相続財産を受け取ることができない人としては、そもそも相続できない人や相続欠格のある人が挙げられます。
そもそも相続できない人の例は以下のとおりです。
相続欠格については、以下の記事をご参照ください。
相続は、相続人の間での遺産をめぐる紛争といった弊害を防止するために設けられている公的な制度です。
そのため、誰がどのくらいの相続をするのか、またどのように相続財産を分配するのかといったことに関しては民法で定められています。
もっとも、相続財産は被相続人が生前に有していた権利義務であり、その財産を築いてきたのも被相続人です。
したがって、亡くなった後も、被相続人の意志や考えは相続の場においてはできる限り尊重されるべきであると考えられているのです。
ここでは、被相続人の意思が効力を発揮する3つの場合について説明していきます。
遺言とは、被相続人の死後に効力を持つ意思表示のことです。
被相続人が生前に遺言を作成しており、その遺言が法律の要件を満たす有効なものであれば、その内容について法的な効力が生じます。
この遺言が、被相続人の意思が効力を発揮する代表例です。
誰にどれだけ相続させるかといった指定や、遺産分割方法の指定もできます。
遺贈とは遺言によって自らの財産を与える処分行為のことです。
遺贈では、相続人以外の人や法人に対しても財産を譲渡することができます。
死因贈与とは、「自分が死亡したら自分の財産を〇〇に譲ります」というように、自分の死亡を条件とした贈与契約を結ぶことを言います。
生前にこのような契約を結ぶことで死後にも自分の意志を反映させることができます。
相続人の廃除とは、遺言等によって相続人の地位を奪うことです。
ただし、相続人の廃除が認められるためには「虐待」「重大な侮辱」「著しい非行」といった客観的かつ厳格な条件があります。
では、被相続人が亡くなった場合、どのような手続きを取ればよいのでしょうか。
被相続人が有効な遺言を残して亡くなった場合には、原則として遺言の内容の通りに遺産分割をする必要があります。
遺言なく亡くなってしまった場合には、ある一定の手続きを取り遺産分割を行う必要があります。
遺産相続の手続きについての詳しい説明は、以下の記事をご参照ください。
今回は、被相続人の定義及び相続人との関係について解説しました。
「被相続人」という言葉はあまり身近な言葉ではないかもしれませんが、相続について考えるうえでは基本となる言葉です。
被相続人と相続人、それぞれどのような立場で、何ができるのかをしっかり理解し、相続に臨みましょう。