遺産分割協議書とは?何に使うのか?活用方法を解説
遺産分割協議書がないと、主な相続手続きはできないままとなります。この記事では「遺産分割協議書とは何か、何のために必要…[続きを読む]
遺産分割協議書を作成する際に、被相続人の預金の分割方法についてどのように書けばよいか、お悩みの方も多いのではないでしょうか。
そこで、本記事では、次の項目について解説します。
遺産分割協議書自体については、次の記事を参考にしてください。
基本的に、遺産分割協議書で明確に書かなくてはいけないのは以下の項目です。
加えて、預金の場合は、以下の項目も必要になります。
しかし、ゆうちょ銀行の貯金を遺産分割協議書に記載する場合には、「記号・番号」を記載することで被相続人の口座を特定できるため、金融機関の「支店名」、「口座番号」などを記載する必要がありません。記号・番号は、通帳の最初のページに記載されています。
具体的な記載例は、次の通りとなります。
1.次の預貯金は、相続人甲が取得する。
〇〇銀行〇〇支店 口座名義人 〇〇〇〇 普通預金 口座番号******
ゆうちょ銀行 通常貯金 記号 ○○ 番号 ○○○○○○
なお、それぞれの記載例の下にあるボタンを押していただくことで、word・PDF形式で遺産分割協議書のサンプルをダウンロードすることができます。しかし、ここで取り上げるのはあくまで記載例であり、サンプル通りに記載する必要はありません。
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遺産分割協議書に預金の情報を記載する際に、被相続人の口座の具体的な金額は記載しても記載しなくても構いません。
遺産分割協議書に預金残高を記載するメリットは、相続により誰がいくら取得したのかが一目でわかることにあります。
そのため、遺産のほとんどが預貯金で、被相続人が利用していた口座が1つだけといった場合には、遺産を明記するメリットはあるでしょう。
一方で、被相続人が複数の口座を利用していたケースや、遺産に占める預貯金の割合が少ないケースでは、残高を記載するメリットはありません。
遺産分割協議書に間違った預金残高を記載すると、銀行での手続きを進められないことがあります。
そのため、預金残高を記載する場合には、銀行に相続が発生したことを伝えて口座が凍結された後の残高証明書を確認して、正確に記載しなくてはなりません。
定期預金の利息など、遺産からさらに収益が生まれる可能性があります。
このように、ある物から副次的に得られる収益を法律用語で「果実」といいます。
相続開始後から遺産分割までの間に生じた果実については、遺産から切り離され、相続人が相続分に応じて当然に取得するものであるとされています(最高裁平成17年9月8日判決)。
ただし、「果実も遺産分割の対象になる」という合意を共同相続人全員で行った場合には、遺産分割の対象にすることも可能です。
いずれにせよ、相続後生じ得る果実は誰が取得するかなど、相続人間で果実の扱いについての合意をしておきましょう。
預金の金利などは金額も小さいため、預金全体とあわせて遺産分割してしまうことが通常です。
次に、実際に遺産分割協議書にどのような記載をすればいいか、ケースごとにご紹介していきます。
はじめに、被相続人の預金を共同相続人の1人がすべて相続する場合の記載例です。
1.相続人甲は、以下の遺産を取得する。
預貯金
〇〇銀行〇〇支店
口座名義人 〇〇〇〇
普通預金 口座番号******
残高〇〇円および相続開始後に生じた利息とその他の果実
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次に、相続人間で、相続人ごとの割合で預金を分ける際の記載例です。
ここでは、いったん代表相続人がまとめて手続きを行い、他の相続人にそれぞれ振り込む場合の書き方をご紹介します。
1.以下の遺産について、相続人甲が3分の2、乙が3分の1の割合で、それぞれ取得する。
甲は代表相続人として、以下の遺産の解約及び払い戻し又は名義変更の手続きを行い、乙の取得分について、別途乙の指定する口座に振り込んで引き渡す。その振込に必要な手数料は、乙の負担とする。
預貯金
〇〇銀行〇〇支店
普通預金 口座番号******
口座名義人 〇〇〇〇
(残高 〇〇万円)
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預金額や割合によっては、分割したときに端数が生じることがあります。
端数については、当事者で合意ができれば誰が取得しても構いません。
特に遺産分割協議書に記載する必要もありませんが、念のため記載する場合は以下の書き方を参考にしてください。
「なお、分割時に端数が生じた場合は、相続人○○が取得するものとする。」
預金を複数の相続人で、金額によって分ける場合には、以下の記載例を参考にしてください。
1.相続人甲は、以下の遺産を取得する。
預貯金
〇〇銀行〇〇支店
口座名義人 〇〇〇〇
普通預金 口座番号******
〇〇円および相続開始後に生じた利息とその他の果実
2.相続人乙は、以下の遺産を取得する。
預貯金
〇〇銀行〇〇支店
口座名義人 〇〇〇〇
普通預金 口座番号******
〇〇円
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割合で分割する場合のように、次の通り、手続きをする代表相続人や引き渡し規定を入れてもいいでしょう。
相続人間で相続不動産だけでなく預金も、「代償分割」することがあります。
たとえば、被相続人の口座が複数あるときに、代表相続人がすべての口座の相続手続きを行い、複数の相続人に分配するのは大変手間がかかってしまうことがあります。
そこで、このような手続きの煩わしさを解消するため、一人がすべての預金を相続する代わりに、預金を取得した相続人が、他の相続人に代償金を支払うという方法をとると、手間が省けます。これが代償分割です。
代償分割をするときも、その旨を記載しましょう。
1.甲は、以下の遺産を取得する。
預貯金
〇〇銀行〇〇支店
口座名義人 〇〇〇〇
普通預金 口座番号******
□□銀行△△支店
口座名義人 〇〇〇〇
普通預金 口座番号******
2.甲は、預金を取得する代償金として、乙に〇〇万円を支払う。
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遺産分割協議をして協議書を作成し終わったら、いよいよ預金の相続手続きに移ることができます。
預金の相続手続きについては、以下の記事でご紹介しています。
銀行に提出した遺産分割協議書は、提出先の銀行が確認し、コピーした後、1週間程度で返却されることが一般的です。
したがって、被相続人が複数の銀行に口座を持っていたとしても、使い回しすることが可能で、遺産分割協議書を銀行ごとに作成する必要はありません。
ただし、銀行には、遺産分割協議書の原本を提出する必要があり、コピーでは受け付けてもらえないでしょう。
遺産分割協議書は、一度作成してしまえば有効期限はありません。銀行に提出する遺産分割協議書についても同じです。
ただし、相続手続きには、期限が付されているものも多く、早めに遺産分割を済ませておくに越したことはありません。
遺産分割協議書の作成のみを依頼したい場合には、報酬が比較的低額となる行政書士がいいでしょう。
不動産を相続する際には、司法書士に相続登記と一緒に依頼してしまうと手間が省けます。
また、同じ理由から相続税申告が必要な場合には、税理士に依頼するといいでしょう。
最後に、遺産分割協議で揉めそうな場合には、弁護士にご依頼ください。