死亡後、銀行口座が凍結されたら?故人の貯金・預金引き出しの手続き

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死亡後、銀行口座が凍結されたら?故人の貯金・預金引き出しの手続き

1.死亡届の後、故人の銀行口座・通帳はどうなるの?

相続が発生して、死亡届を出した後、死亡した人の銀行口座はどうなるのでしょうか?
銀行や信用金庫などの金融機関で、故人の預金の手続きはどうすればいいのでしょうか?
これについては誤解をしている人が多いようですので、わかりやすく解説します。

人によっては経験があるかもしれませんが、亡くなられた方のキャッシュカードを持ってATMに行くと、暗証番号さえ知っていれば普通にお金を下ろすことができてしまいます

「あれ?役所に死亡届も出しているのに、このまま死亡した人の銀行口座を使っていてもいいのかな?」そんな素朴な疑問が沸いてくるかと思います。

しかし、死亡した人の銀行口座はそのまま使ってはいけません
ご家族の方が故人の預貯金がある銀行に連絡をし、銀行口座の凍結という手続をしなければなりません。
銀行口座の凍結とは、簡単に言うと「故人の預貯金を引き出せないようにすること」です。

2.なぜ銀行口座を凍結しなければならないの?

なぜ故人の銀行口座を凍結しなければならないのでしょうか。
たとえば、親の口座の名義を子供の名義に変えてそのまま利用してはダメなのでしょうか。

この決まりには「相続」が大きく関係しています。
銀行口座に入っているお金は、故人の遺産、すなわち「相続財産」です。遺産分割の対象であり、また、相続税の課税対象でもあります。
仮に銀行口座を凍結しないと、どこまでが相続財産なのかの線引きが不透明になります
さらに、死亡後は一部の親族が勝手に現金を引き出して持ち逃げすることもあります。
そのため、まずは銀行口座を凍結し、誰からもお金が引き出せないような状態にする必要があるのです。

2-1.法的に預貯金も遺産分割の対象になる

法的にも、預貯金は遺産分割の対象となるとされています。

昔は預貯金は遺産分割の対象にならないとされていましたが、最近の最高裁判例により、預貯金は当然には分割されず、遺産分割の対象になるとされました(最高裁大法廷決定平成28年12月19日)。詳しくは下記記事をお読みください。

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遺産相続が起こったとき、遺産の中に預貯金が含まれていることは多いです。現金や投資信託などが含まれている場合もあります…

実情を見ても、相続人が故人の銀行口座から預金を自由におろせてしまうと、「誰かが多くおろしすぎた」とか、「長男は生前贈与してもらいながら、預金までもらうなんてずるい」とか、あとあと大きなトラブルになりかねません。
銀行などの各金融機関も、死亡した人の預金を勝手に払い出すと他の相続人からクレームをつけられる恐れがあります。

そのため金融機関では、口座の名義人が死亡したという連絡を受けたら、相続人が望む/望まないに関わらず預金がある口座は強制的に凍結し、遺産分割協議が確定するまでは、一切の払い出しを原則停止します
その後、遺産分割が終了し、遺産分割協議書等の書類が相続人から提出されてはじめて、口座凍結を解除して支払いに応じるという運用をしています。
必要な書類は金融機関によって多少違うこともありますので、確認するようにしてください。

3.葬儀費用を故人の相続財産から出したいのですが・・・

たとえば葬儀費用を死亡した人の口座から支払いたい場合は、まず一つの方法として、法定相続人全員に了承をもらった上で、銀行に死亡の連絡をする前に葬儀費用相当額を下ろしてしまう方法があります(金融機関によってはその旨事前に相談すれば対応してくれる場合もあります)。

ちなみに、葬儀費用を一部の相続人が負担した場合は、その分を遺産分割において調整できますし、葬儀費用は相続税の課税評価額を計算するうえでマイナスの資産として控除することも可能です。ですので、誰かが葬儀費用を立て替えることができるのであれば、それに越したことはありません。

なお、口座凍結前に預金を引き出す場合は必ずすべての法定相続人の了承をとっておかないと、持ち逃げと思われる恐れがありますので十分注意しましょう。

一番良いのは、もし死期が近いことがわかっているのであれば、ご本人が自分の葬式費用を事前に別に用意しておくことです。生前に葬儀社に見積もり依頼をし金額をある程度把握しておきましょう。身内の間で葬式費用を出せる人がいれば良いのですが、いない場合は、生前に本人から身内に対して葬儀費用分を預けておくことも考えられます。
預った人の使い込みが心配であれば、まだ主流ではありませんが、葬儀費用を第三者に預けておくこともできます(葬儀費用預託)。お近くの葬儀社や金融機関に相談してみてください。

4.どうしても凍結期間中に解除したい場合の銀行での必要書類

被相続人の銀行口座が凍結されたあとになって、医療機関から治療費や入院費など多額の支払いを求められる場合があります。そのような場合にどうしても凍結された口座からお金を下ろしたい場合は、「払い出し」という手続きをすることで、凍結後も現金を引き出すことができます。
ただし、払い出しには多くの必要書類が必要になるためとても大変です。
主に提出を求められる書類としては以下の通りです。

【払い出しに必要書類について】
〇被相続人の除籍謄本又は戸籍謄本
〇法定相続人全員の戸籍謄本
〇法定相続人全員の印鑑証明書
〇法定相続人全員の同意を確認できる書類(金融機関によって違います)
〇被相続人の実印
〇被相続人の銀行印、通帳、キャッシュカードなど
〇払い出しをする人の身分証明書

凍結中の預金残高は、遺産分割が確定するまでの間についてはすべての法定相続人の共有財産という扱いになっています。たとえ自分が法定相続人だからといって一人で銀行に行っても払い出しをしてもらえません。
まずはこれらの必要書類をすべて集めなければ、原則1円たりともお金は下ろせないのです。

4-1.払い出し業務は弁護士でも対応可能

このように、凍結された口座からお金を下ろすのは、とても面倒な手続きです。ただ、遺産相続の手続きを弁護士に依頼していれば、払い出しが必要になった際に金融機関へのこれらの必要書類の手続きを代行してくれますので安心です。

5.死亡したことを銀行に連絡しないとどうなる?

被相続人が死亡したあと銀行に連絡をしないと、預貯金がある口座はそのまま生き続けることになりますから、キャッシュカードと暗証番号、または、通帳と印鑑さえあれば誰でも現金を引き出せてしまいます。
すなわち、財産の使い込みが発生するのです

実際、相続財産の持ち逃げは相続の前後から口座凍結するまでの間に発生することが多いのです。そのため、もしも本人が死亡したら、できる限り早く金融機関に連絡し、誰もお金が下ろせないよう凍結してもらえば、持ち逃げを防ぐことができます。

5-1.死亡する直前にお金を持ち逃げされたらどうすればいいの?

最悪なことに、親族が「今夜が峠」というような状況の時に、キャッシュカードを使ってこっそり現金を引き出すような人がいるようです。確かに死亡する前であれば、口座は凍結されないためお金を持ち逃げされる恐れがあります。そのため、死期が近づいたら、キャッシュカード、預金通帳、印鑑などは安全な場所に保管しておくようにしましょう。

また、もしも口座凍結後に預金残高証明書を取得して、思ったよりも残高が減っている場合は、預貯金がある銀行に「取引履歴明細証明書」を発行してもらいましょう。これを見ればいついくら引き出されているかわかりますので、故人のお金が持ち逃げされているかどうかを確認することができます。

5-2.持ち逃げされたお金は返してもらえるの?

持ち逃げされた故人の預金は、不当利得となりますので不当利得返還請求により返還を求めることができます。仮に被相続人のお金を持ち逃げした人が法定相続人だとしても、法定相続分を超えて持ち去った分については不当利得ですので返還を求めることができます。

ただ、財産を持ち逃げするくらいですから、お金に困っている可能性があります。そのため気がつくのが遅れると、返還に時間がかかる可能性が高いです。故人の預貯金の持ち逃げが疑われる場合は早めに確認し、必要書類を集め対処するようにしましょう。

6.安全性が高い貸金庫の相続とは?

金庫ここ数年、申し込み数が大幅に増えている銀行の貸金庫というものがあります。高価な装飾品や宝石を預けるのが本来の目的ですが、高価なものだけではなく災害に備えて家族のアルバム等も預ける動きが広がっているのです。貸金庫の審査基準や期間はかなり曖昧ですが、それ相応の高額のものを預ける場合は比較的すんなりと審査は通るようです。

この貸金庫に保管されているものも銀行の預金と同じく凍結されます。盲点になりやすいので注意しましょう。
特に絶対に貸金庫に保管してはいけないのが遺言書です。遺言書は遺産分割について故人の意思が書かれた大切な文書であり、また、遺産の内容や所在が細かく記載されていることもあります。死亡後なるべく早めに内容を把握する必要がありますが、銀行の貸金庫に保管していると、金庫を開けるための手続きに時間をとられて遅れてしまいます。

遺言書が自筆証書遺言または秘密証書遺言の場合は、家庭裁判所での検認手続も必要です。遺言書は、貸金庫とは別の安全な場所で保管する必要があります。一番良いのは、公正証書遺言を作成することです。公正役場で遺言書を保管しますので、紛失も偽造の心配もありません。公正証書遺言の手続きも弁護士に依頼すれば行ってくれます。

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