遺産分割協議書の書き方と記載例(サンプル)

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遺産分割協議書

共同相続人間で相続に関する協議がまとまると、次は、それを遺産分割協議書という形で文書に残します。
この記事では、遺産分割協議書の作成は初めてという方にも向けて、遺産分割協議書の書き方について、若干の文例を加えながらわかりやすく説明をします。
印鑑や割印のことなど、多くの方が疑問に思うことにも、サンプル付きで紹介していきます。

1.遺産分割協議書の全体像

遺産分割協議書について具体的な文例を示しつつ、全体像を説明します。
下図のような相続人関係図をサンプルとします。

相続人関係図12670

遺産分割協議書の記載例(サンプル)

遺産分割協議書

【被相続人の情報】
被相続人 甲野太郎(平成28年9月6日死亡)
最後の住所地 ○○市○○町○番地
最後の本籍地 ○○市○○町○番地【遺産分割の宣言】
甲野太郎 の死亡によって開始した相続の共同相続人である甲野花子、甲野一郎及び甲野留子は、本日、その相続財産について、次のとおり遺産分割の協議を行った。

【具体的な財産の帰属】
甲野花子、甲野一郎及び甲野留子は、以下のとおり被相続人の財産を分割する。

1 甲野花子は以下の財産を取得する。
(1)財産目録記載の1の(1)の不動産を取得する。
(2)財産目録記載の2の(1)の現金を取得する。
(3)財産目録記載の2の(2)のアの預金を取得する。

2 甲野一郎は、以下の財産を取得する。
(1)財産目録記載の1の(2)の不動産を取得する。
(2)財産目録記載の2の(2)のイの通常貯金を取得する。

3 甲野花子及び甲野一郎は、甲野留子に対し、第1項及び第2項の遺産を取得する代償として金300万円を本協議書作成の後、速やかに支払う。

【分割後に発覚した財産の帰属】
4 本協議書に記載なき財産又は本協議書作成後に発覚した被相続人の財産については、甲野一郎が取得するものとする。

この協議を証するため、本協議書を3通作成して、それぞれに署名、押印し、各自1通を保有するものとする。

【遺産分割協議書の成立日時、共同相続人の署名押印】
平成29年9月7日
○○市○○町二丁目12番地  甲 野 花 子 ○印
○○郡○○町○○34番地   甲野一郎特別代理人
金 田 物 男 ○印
○○市○○町三丁目45番6号  甲 野 留 子 ○印

財 産 目 録

1 不動産
(1) 土 地
所  在  ○○市○○町一丁目
地  番 23番
地  目  宅地
地  積  123・45平方メートル
(2) 建 物
所  在  ○○市○○町一丁目23番地
家屋番号  23番
種  類  居宅
構  造  木造かわらぶき2階建
床 面 積  1階 34・00平方メートル
2階 12・34平方メートル

2 現金・預貯金
(1) 現金
150万円
(2) 預貯金
ア ○○銀行 △△支店 普通預金 口座番号123-4567
イ ゆうちょ銀行 通常貯金 記号123 番号4567

3 車両
自動車登録番号 大阪 あ 12-34
車台番号    ABC12-34

2.遺産分割協議書の各パートの説明

遺産分割協議書はおおよそ下記のパートから成り立っています。

2-1.「被相続人の情報」の欄

被相続人氏名

被相続人氏名は、住民票の記載どおりに書く必要があります。登記申請の際に厳格にチェックされますので、ご注意を。

相続開始年月日

相続開始年月日は、除斥謄本に掲載されている者と遺産分割の対象となっている被相続人との同一性を示すもので、登記申請の際にチェックされるものです。なお、相続開始年月日は相続税の申告期限の起算点となっていることに注意しましょう(相続開始日~10か月)。

被相続人の最後の住所地/本籍地

被相続人の最後の住所地と本籍地は、相続税の申告する税務署を決定する際に必要となり、また登記申請をする際に、被相続人と不動産の所有者との同一性を示すためにも必要となります。なお、氏名と同様に住民票の記載どおり正確に記載します。

2-2.「遺産分割の宣言」の欄

戸籍謄本の取得

ここでは、相続人の確定を確実にしてください。相続人を確定するためには、まずは、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本を取得して、相続人を確定していく作業を行います。
現在では、相続開始のために使うので戸籍謄本一式用意してくれといえば大抵の市役所は用意してくれます。

ただし、被相続人が本籍地を変えている場合には、前の本籍地の市役所で戸籍謄本を入手する必要があります。この相続人の確定は、戸籍謄本の読み方を理解しないと難しいので、弁護士等の専門家に任せることをお勧めします。

相続人に未成年者がいる場合

相続人の中に未成年者がいる場合は注意が必要です。

未成年者の親権者が相続人の場合に、遺産分割に親権者が相続人として参加しつつ相続人である未成年者の代理人として参加することはできません。民法上「利益相反取引」となり、未成年者を代理した行為の効力は、無権代理行為として効果が未成年者に帰属せず、遺産分割は成立しなくなります。

この場合には、家庭裁判所が「特別代理人」を選任し、この特別代理人が未成年者の代理人として遺産分割を行うことになります。通常この特別代理人は、未成年者の「おじ」や「おば」が多いようです。

【関連記事】相続人に未成年がいる場合

2-3.「具体的な財産の帰属」欄

構成と文体

構成は、相続人ごとに取得した財産毎に書く場合が多いです。
相続財産の順序は基本的には物件目録の順番にしたがうのが通常です。
文体は、「(誰)が、(どのような財産)を取得する。」というふうに書きます。契約書であるような「・・・・ものとする。」といった記載は、取得したかどうか不明確なので、避けます。

代償分割

代償分割とは、ある相続人が宅地等の相続財産を(全部)取得する代わりに他の相続人に対し、その相続人のその宅地に対応する相続分に相当する金銭を支払う分割方法をいいます。

代償分割が行われた場合の遺産分割協議書の記載例としては、
本例のように「甲野花子及び甲野一郎は、甲野留子に対し、第1項及び第2項の『遺産を取得する代償として』金300万円を本協議書作成の後、速やかに支払う。」というのが通例です。

特に、留意すべきは、単に「300万円を支払う」という文言のみでは代償分割を表現できないということです。『(特定の財産である)遺産を取得する代償として』という文言が必要となります。

【関連記事】換価分割と代償分割

なお、ある相続人がある遺産を取得する代償として他の相続人に交付した財産(代償財産)がある場合、相続税における課税価格の計算において、(遺産-代償財産)の金額が課税価格に算入されることになります。
ただし、代償財産が相続人の固有の財産である場合には、代償債務を消滅させるためにその不動産を譲渡したとみなされ(代物弁済といいます。)、譲渡所得課税がなされる可能性があることにご留意ください。

2-4.「分割後に発覚した財産の帰属」欄

遺産分割協議後に相続財産が発覚した場合、この条項がない場合には、未分割財産となってしまいます。したがって、法定相続分で案分されてしまいます。
現金などの分割が容易なものであればそれでもいいのかもしれませんが、不動産の場合ですと処分しようとしても再分割する必要でてきます。そこで、このような条項を入れておくことで再分割の手間を省けるのです。

2-5.「遺産分割協議書の成立日時、共同相続人の署名押印」欄

成立日時

遺産分割の成立日時は、通常は、最後に署名押印が完了した時点とされておりますので、遠方の相続人が最後の相続人がいる場合には、その相続人が署名押印した日時を記載することになります。
なお、この日時は、相続税を払いすぎたとき還付を受けるために行う相続税法上の更正の請求の起算点となるとされているといわれていますので、ご注意ください。

【姉妹サイト】相続税の還付を受ける方法

署名押印欄

相続人の署名は、通常は自署します。ですが記名(代筆、ワープロ打ち、ゴム印など自署以外による方法)でも構いません。
押印についても、基本的には実印である必要はありません。

しかし、相続税の申告が必要なケースでは、遺産分割協議書の提出が求められるところ、その遺産分割協議書には相続税の申告書と同様に自署+実印が求められますので、ご注意ください。

また、登記申請の際にも遺産分割協議書と印鑑証明書の提出が求められますので、実印で合わせておいた方が無難です。なお、単独では署名できない未成年者のような場合には特別代理人等が未成年者の代理人として署名押印することは上記のとおりです。

割印・捨印について

遺産分割協議書の作成が複数にわたる場合、遺産分割協議書の上部をずらしてもう一通の遺産分割協議書を重ねて印鑑を押す、いわゆる割印は必要です。通常は署名押印で用いた印鑑を使用します

また遺産分割協議書において加除訂正が必要になった場合、遺産分割協議書に署名押印したすべての相続人の押印が必要となります、しかし、面倒です。
そこで、あらかじめ遺産分割協議の冒頭の余白欄にすべての署名押印者の押印を押しておくのです。これを「捨印」といいます。通常は署名押印で用いた印鑑を使用します。

2-6.財産目録

不動産

土地の場合も建物の場合も、登記簿の甲欄のとおりに書き写します。省略したり、平方メートルは「㎡」とは記載したりはしません。現況が違っても、登記簿通りに書き写します。

土地の場合は「所在」「地番」「地目」「地積」の順で書きます。
建物の場合は「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」を順に記載します。

現金預金

現金

現金は、遺産分割時に存在する現金の額を記載します。

預貯金
銀行預金

銀行預金も遺産分割時の額を基準とします。
銀行預金の書き方は、①銀行名②支店名③種別(普通預金当)④口座番号の順に書きます

郵便貯金

郵便貯金の場合も基本的な考え方は銀行預金と同じなのですが、その書き方は①ゆうちょ銀行②種別(通常貯金等)②記号③番号の順に記載します。

車両

車両は、自動車登録番号と車台番号で特定するため、基本的には車検証の自動車登録番号と車台番号を書き写すイメージです。
なお、軽自動車の場合には自動車登録番号ではなく車両番号となります。

2-7.その他

遺産分割協議書には書式・紙質の指定はありません。ですが、専門家が起案する場合には、契約書と同じようなA4又はA3の大きさで起案します。

3.添付書類

3-1.戸籍謄本

被相続人

出生から死亡までの間の戸籍謄本が必要となります。なお本籍地の変更している場合には、変更前の市町村で申請をする必要があります。
さらに、除籍謄本も必要となります。最後の本籍地の市役所で申請してください。

相続人

相続人全員の戸籍謄本が必要となります。

3-2.住民票

被相続人

住民票の除票が必要となります。最後の住所地の市役所で取得してください。

相続人

住民票が原則として必要となります。

3-3.印鑑証明書

登記申請をする場合には、実印で押印することとなりますが、その場合に印鑑証明書(相続人全員)が必要となります。

3-4.その他の添付書類

登記申請をする際に、法務局に相続人関係図が提出した場合には、提出した戸籍謄本・除籍謄本を法務局の調査が終了した時点で返還されます。これらの書類は金融機関にも提出する必要がある書類ですので、再取得の手間や取得費用を考えると、登記申請をする際には、提出することをお勧めします。

4.最後に

遺産分割協議書の書き方を説明してきました。
わからないことがあれば、弁護士等の専門家にご相談することをお勧めします。

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