相続放棄の期限はいつまで?期間を延長(伸長)も可能
相続放棄には期限があります。その期限を過ぎてしまうと、一部の例外を除いて、原則、相続放棄ができなくなります。 もし、…[続きを読む]
相続放棄をするときには、「相続放棄申述書」という書類を作成し、家庭裁判所に提出する必要があります。裁判所のホームページから、書式と記入例をダウンロードできますので、見ながら作成すれば良いのですが…
という方に向けて、相続放棄申述書の書き方を細かく解説していきます。提出先や必要書類、提出後の流れについても説明します。
目次
まずは、相続放棄申述書の書式と記入例(サンプル)を紹介します。
下記、裁判所のホームページからダウンロード出来ます。
書式は同じですが、成人(18歳以上)か未成年(18歳未満)かで、書き方が若干違います(法定代理人の項目がある)。
以前は、成人は20歳以上でしたが、民法改正で、2022年4月1日移行、成人年齢は18歳以上に変更されていますので、注意しましょう。
プリンタが用意できない人は、少し手間ですが、家庭裁判所に行けば直接貰うことも出来ます。
本籍地欄は、戸籍謄本記載のままで記入します。省略してはいけません。
住所欄についても同様で、住民票欄の記載のままに記入してください。
電話番号は、裁判所から日中連絡がつながる連絡先を記入します。携帯電話の番号や、自宅の固定電話番号などが良いでしょう。
「本籍地」欄も、戸籍謄本の記載のまま記載してください。
「最後の住所地」欄は住民票の「除票」の記載のまま記入してください。「死亡日」欄も同様です。
裁判所の相続放棄申述書には、すでに「相続の放棄をする。」との文字が印字されています。この書式では特に何もしなくて良いです。
ここは「申立てが熟慮期間内になされているか」を確認するために必要になります。基本的には被相続人の死亡日を記載します。遠方にいる等の理由で、死亡の連絡を受けるのが遅れた場合などは、連絡を受けた日を記入します。
どのようにして死亡の事実を知ったかを、1~4から選ぶようになっているので、当てはまるものに「〇」をつけましょう。
「なぜ放棄をしようと思ったか」を、1~5の選択肢の中から選びます。
数字を記載する欄が沢山あり、『正確には分からないんだけど…』と悩むところだと思います。
ただ、この部分は「だいたいの数字」が書いてあればOKです。
勿論、正確に書けた方が良いところではあるので、預金通帳や借金の明細など、細かな数字が分かるものがあれば、そちらを参照しましょう。
手元にそうした資料がない場合は、だいたいの数字を記載しましょう。
相続放棄は、家庭裁判所で申述する方法により行います(民法第938条)。
具体的には、家庭裁判所に対し、「相続放棄申述書」を提出して行います。
相続放棄の申述は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に行う必要があります(民法第915条第1項)。この3か月は「熟慮期間」といいます。
「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、基本的には相続人が相続開始の原因(被相続人の死亡など)を知り、かつ、自分が相続人になったことを知ったとき、とされています。
相続放棄の期限と、そのカウントのタイミングについては、下記の記事で詳しく解説していますので、ご参考ください。
相続放棄の管轄裁判所(相続放棄申述書を適法に提出できる家庭裁判所)は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所、すなわち被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
相続放棄申述書に貼付する収入印紙の額は800円です。これに加えて、連絡用に切手を予納する必要があります。予納する切手の額は、申立てをする家庭裁判所に確認してください(一般的に350~500円程度です)。
家事事件手続法施行規則第1条第1項は、「申立書その他の当事者、利害関係参加人又は代理人が裁判所に提出すべき書類には(中略)、当事者、利害関係参加人又は代理人が記名押印するものとする。」と規定しています。
そして、記名押印とは自署によらずとも有効であるとされていますので、まとめると以下の通りとなります。
なお、押印する印鑑は、実印(印鑑登録している印鑑)である必要はありません。認印で結構です。しかしながら、いわゆるシャチハタは使用できません。朱肉を用いた印鑑を使用してください。
なお、被相続人の直系尊属に死亡している方(相続人より下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合、父母))がいらっしゃる場合には、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本が必要です。
なお、被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合には、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本が必要です。
また、申述人が代襲相続人(甥、姪)の場合には、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本が必要です。
相続人が未成年者等の制限能力者である場合には、法定代理人が未成年者である相続人に代わって、相続放棄申述書を提出します(家事事件手続法第17条、民事訴訟法第28条、民法第5条参照)。この場合、相続放棄申述書の「法定代理人」欄に住所氏名を記載します。
相続人が未成年者である場合には、親権者等の法定代理人が相続放棄の申述を行うのですが、その親権者等も相続人である場合に、当該親権者等が未成年者の相続放棄の申述を法定代理人として行うときは、利益相反となります。
そうなると、この申述は無権代理となり無効となります。そこで、この場合には、特別代理人の選任を裁判所に申し立て、この特別代理人が相続放棄の申述を行うことになります。
相続の放棄の撤回は、原則としてできません(民法第919条第1項)。相続手続きの安定化を図る趣旨です。しかしながら、詐欺、強迫等の意思表示に瑕疵がある場合については例外的に相続の放棄を取り消すことができます(同第2項)。
ただし、詐欺・強迫等が止んだ時から起算して6か月間経過した時点で、この取消権は消滅します(同第3項)。
なお、相続の放棄の取り消しを行う場合には家庭裁判所に申述する必要があります(同第4項)。
下記、裁判所のホームページの「相続の放棄の申述」というページからダウンロード出来ます。
または、家庭裁判所の窓口で直接もらうことも出来ます。
「相続財産の概略」欄は、詳細な相続財産の金額がわからなくても、だいたいの数字が書いてあればOKです。