【サンプル付】相続放棄申述書の書き方|必要書類と提出先も紹介
この記事では、相続放棄申述書の書き方をサンプル付きで解説します。必要書類や提出先、提出後の流れについても説明している…[続きを読む]
相続放棄に必要な書類を、相続人のパターン別(配偶者/子・孫/親・祖父母/兄弟姉妹)に詳しく解説します。
目次
相続放棄の手続きを行うには、家庭裁判所に「相続放棄の申述書」を提出します。その際に、決められた必要書類を添付する必要があります。
必要書類には、全員共通のもの(下図の(1)~(5))と、被相続人と相続人との関係によって異なるもの(下図の(6)~(11))があります。
※上記の「戸籍謄本」には、除籍謄本、改製原戸籍謄本も含みます。
それぞれの必要書類の詳細内容と、準備方法、注意点などを解説していきます。
全員共通の必要書類は5つあります。
相続放棄することを申請するための最も重要な書類です。
裁判所のホームページからPDFファイルでダウンロードすることができます。
「成人用」(18歳以上)と「未成年者用」(18歳未満)にページが分かれていて、それぞれ書式と記入例があります。
※民法改正で、2022年4月1日から、18歳以上が成人となっています。
PDFファイルを開けなかったり、印刷できなかったりする方は、やや面倒ではありますが、家庭裁判所に赴いて直接もらうこともできます。
相続放棄する人(「申述人」といいます)と被相続人の情報について、本籍は戸籍謄本、住所は住民票に記載されているものを記入します。
申述人本人(未成年者などの場合は法定代理人)の署名と押印をします。押印は実印である必要はなく認印でもOKです。
「申述の趣旨」欄には、「想像の放棄をする。」と記載します。
「申述の理由」欄は最も重要な箇所で、この情報を基に相続放棄の審査が行われます。「放棄の理由」は選択式ですので、最も近いものを選択します。
相続放棄申述書の書き方の詳細は、下記をご覧ください。
住民票除票とは、転出や死亡などで除かれた住民票のことです。
被相続人が亡くなったときに、住民票が置かれていた市区町村の役所で取得できます。
戸籍附票とは、本籍地の市町村で戸籍の原本と一緒に保管している書類で、その戸籍が作られてから(またはその戸籍に入籍してから)除籍されるまでの住所が記録されています。
被相続人の本籍地の役所で取得できます。
どちらの書類も手数料は1通300円程度です(自治体によって異なる場合あり)。
郵送でも取得可能ですが、やや時間を要します。郵送で取得するための方法は、それぞれの市区町村の役所にお問い合わせください。
申述人(相続放棄する方)の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)を取得します。
申述人の戸籍がある本籍地で取得できます。
手数料は1通450円程度です(自治体によって異なる場合あり)。郵送でも取得可能です。
相続放棄の手続きの手数料を、収入印紙を貼ることで支払います。申述人1人につき、800円分の収入印紙が必要です。
収入印紙はコンビニや郵便局で購入できます。
800円という額面の収入印紙はありませんので、200円×4枚、または、400円×2枚の収入印紙を購入して、(1)相続放棄申述書の収入印紙貼り付け欄に貼ります。貼った収入印紙に押印はしないでください。
相続放棄が受理されると、裁判所から審査にに対して「相続放棄申述受理証明書」という書類が郵送されます。その郵送費用として、切手を同封します。
切手代は地域の家庭裁判所によって異なりますので、それぞれ提出先の家庭裁判所のホームページを参照するか、直接お問い合わせください。
東京家庭裁判所の場合は、376円分の切手(84円×4枚+10円×4枚)を用意します。
被相続人と相続人との関係によって異なる必要書類です。
配偶者の場合、被相続人の死亡後、申述人本人の戸籍をそのままにしてあれば、申述者本人と被相続人は同じ戸籍に記載されていますので、共通書類である⑶申述人の戸籍謄本1通のみでOKです。
もし、被相続人の死亡後、復氏届(結婚前の姓に戻ること)を提出してその戸籍から抜けていていれば、別途必要ですので、被相続人の本籍地の役所で取得します。
さらに、その戸籍に誰も残っていない場合には、その戸籍は抹消されますので、「除籍謄本」を取得します。
配偶者の場合と同様に、被相続人の本籍地の役所で取得します。
もし、申述人が未婚で、被相続人と同一の戸籍に記載されている場合には、共通書類である⑶申述人の戸籍謄本1通のみでOKです。
被相続人の子が亡くなっていて、その子に子(被相続人の孫)がいる場合は、その孫が相続人となります。
これを代襲相続といい、被相続人の子を「被代襲者」、子の子(孫)を「代襲者」といいます。
まれなケースですが、孫も亡くなっていて、その孫に子(被相続人のひ孫)がいる場合は、その子が相続人となります。
子、孫、ひ孫、玄孫・・・は、「直系卑属」と呼ばれ、同様に相続人となりえます。
この場合、被代襲者(申述人の親に当たる者)が死亡していることがわかる書類として、「被代襲者の死亡の記載のある戸籍謄本」が必要になります。
被相続人に子・孫がいない場合や、子・孫がいても、その全員が相続放棄をした場合は、被相続人の親が相続人となります。
なお、子・孫が相続放棄をする際にすでに提出している書類と重複するものについては、改めての提出は不要です。
被相続人の親・祖父母が相続放棄する場合、子や孫がいないことを示すために、被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本が必要になります。
結婚・離婚や本籍地変更などで新たに作成されたり、戸籍の様式が変更されると、古い情報は記載されないため、出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本が必要になるのです。(戸籍の様式が変更された場合、その変更前の戸籍を「改製原戸籍」といいます。)
これらの戸籍は、それぞれの市区町村で保管されているため、各役所から取得する必要があります。過去の本籍地がわからない場合、戸籍謄本には、以前の戸籍(従前戸籍)の場所が記載されていますので、現在の戸籍から順にたどっていくことにより、出生時までの戸籍謄本を集めることができます。
被相続人に子・孫が過去にいたとしても、その全員が死亡していることを確認するために、その子・孫の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本が必要になります。
被相続人の親(父母)のどちらもすでに亡くなっている場合、被相続人の祖父母が相続人となります。被相続人の親(父母)が死亡していることを確認するために、被相続人の親(父母)の死亡の記載のある戸籍謄本が必要になります。
被相続人に子・孫や、親・祖父母がいない場合や、いてもその全員が相続放棄をした場合は、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。
すでに説明した親・祖父母の場合の必要書類(下記)がまず必要になります。
被相続人の兄弟姉妹が亡くなっていて、その兄弟姉妹に子(被相続人の甥・姪)がいる場合は、その甥・姪が相続人となります(被相続人の子の場合と異なり、その甥・姪が亡くなっている場合、その子は相続人になりません)。
この場合、兄弟姉妹(申述人の親に当たる者)が死亡していることがわかる書類として、「被相続人の兄弟姉妹の記載のある戸籍謄本」が必要になります。
相続放棄の必要書類は、被相続人が最後に住んでいた場所を管轄する家庭裁判所に提出します。提出方法は
のどちらでも構いません。
家庭裁判所によって、必要書類が異なる場合もありますので、事前に確認されることをオススメします。
共通の書類はこちら
ほかに、被相続人と申述人(相続人)の関係によって、必要になる書類があります。
必要書類のほとんどは、被相続人と相続人、および関連する人の戸籍謄本です。
必要になる過去の本籍地がすべてわかっていれば、役所に行けば即日で取得できますし、郵送であれば普通郵便で往復で1週間~10日間程度かかります。
必要になる過去の本籍地がわかっていない場合は、現在の戸籍謄本からたどっていきますので、それなりの時間がかかります。
相続放棄の手続きに印鑑証明書は必要ありません。
相続放棄申述書には押印欄がありますが、印鑑登録した実印ではなく認印でも問題ありません。