【サンプル付】相続放棄申述書の書き方|必要書類と提出先も紹介
この記事では、相続放棄申述書の書き方をサンプル付きで解説します。必要書類や提出先、提出後の流れについても説明している…[続きを読む]
相続放棄は、家庭裁判所に申述書を提出して行います。申述書には、必要書類を添付しなければなりません。
そこで相続放棄に必要な書類を、被相続人と相続人との関係別(配偶者/子・孫/親・祖父母/兄弟姉妹)に詳しく解説します。
目次
最初に相続放棄の必要書類をまとめておきましょう。
相続人全員に共通する必要書類(下図の(1)~(5))と、被相続人と相続人との関係によって異なる必要書類(下図の(6)~(11))とがあります。
※上記の「戸籍謄本」には、除籍謄本、改製原戸籍謄本も含みます。
裁判所でも相続放棄の添付書類一覧表を用意しており、以下からダウンロードが可能です。
【参考外部サイト】「相続放棄の添付書類一覧表」|裁判所
では、次項から必要書類の詳細や、どこでもらえるか、準備方法、注意点などを解説していきます。
相続人全員が共通して収集しなければならない必要書類には、次の5つがあります。
ちなみに、印鑑証明書は相続放棄の必要書類ではありません。
相続放棄することを申請するための基本的な必要書類です。
「相続放棄申述書」には、「成人用」(18歳以上)と「未成年者用」(18歳未満)とがあり、それぞれ書式と記入例を裁判所の以下のホームページからダウンロードすることができます。
【参考外部サイト】「相続の放棄の申述書(成人)」「相続の放棄の申述書(未成年者)」|裁判所
PDFファイルを開けなかったり、印刷できなかったりする方は、家庭裁判所に赴いて直接もらうこともできます。
相続放棄申述書には押印欄がありますが、印鑑登録した実印ではなく認印で押印しても問題ありません。
なお、相続放棄申述書の書き方の詳細は、下記をご覧ください。
住民票除票とは、転出や死亡などの理由で、住民登録が削除された住民票です。
被相続人が亡くなったときに、住民票が置かれていた市区町村の役所で取得できます。
戸籍附票とは、本籍地の市町村で戸籍の原本と一緒に保管している書類で、その戸籍が作られてから(またはその戸籍に入籍してから)除籍されるまでの住所が記録されています。
被相続人の本籍地の役所で取得できます。
相続人本人でなく代理人が取得する場合には、
どちらの書類も取得する際の手数料は1通300円程度です(自治体によって異なる場合あり)。
郵送での取得も可能ですが、やや時間を要します。郵送で取得するための方法は、それぞれの市区町村の役所にお問い合わせください。
申述人(相続放棄する方)の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)を取得します。
申述人の戸籍がある本籍地で取得できます。
取得する際の手数料は1通450円程度です(自治体によって異なる場合あり)。郵送でも取得可能です。
相続放棄の手続きには、手数料として、申述人1人につき800円分の収入印紙が必要です。
収入印紙はコンビニや郵便局で購入できます。
800円という額面の収入印紙は存在しないため、200円×4枚、または、400円×2枚の収入印紙を購入して、相続放棄申述書の収入印紙貼り付け欄に貼ります。貼った収入印紙に押印の必要はありません。
相続放棄の申述が受理されると、裁判所から「相続放棄申述受理証明書」が郵送されます。その郵送費用として、相続放棄の申述の際には、切手を提出しなければなりません。
切手代は地域の家庭裁判所によって異なります。提出先の家庭裁判所のホームページを参照するか、直接お問い合わせください。
東京家庭裁判所で相続放棄を申述する場合は、376円分の切手(84円×4枚+10円×4枚)を用意します。
被相続人と相続人との関係によって相続放棄申述書似添付する必要書類が異なります。
被相続人の死亡後、戸籍がそのままであれば、申述人である配偶者と被相続人は同じ戸籍に記載されており、上述した申述人の戸籍謄本1通のみを申述書に添付します。
一方、被相続人の死亡後、復氏届(結婚前の姓に戻ること)を提出して被相続人の戸籍から抜けていていれば、別途被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本が必要となり、被相続人の本籍地の役所で取得します。
さらに、その戸籍に誰も残っていなければ、その戸籍は抹消されるため、「除籍謄本」も取得します。
申述人が未婚で、被相続人と同一の戸籍に記載されていれば、上述した申述人の戸籍謄本1通のみを申述書に添付します。
一方、申述人が被相続人と別個の戸籍に記載されている場合には、被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本を、被相続人の本籍地の役所で取得します。
被相続人の死亡の前に被相続人の子供が既に亡くなっており、その子供に被相続人の孫がいれば代襲相続人となります。
この孫が相続放棄の申述人となる場合には、被代襲者(申述人の親に当たる者)が死亡していることがわかる書類として、「被代襲者の死亡の記載のある戸籍謄本」を被代襲者の本籍地の役所で取得します。
被相続人に子や孫がいない場合や、子や孫がいても、その全員が相続放棄をしていれば、被相続人の親が相続人となります。
子や孫などが全員相続放棄をしている場合は、子や孫が相続放棄をした際にすでに提出している書類を重複して提出する必要はありません。
親や祖父母が相続放棄する場合は、被相続人に子や孫がいないことを示すために、被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本が必要になります。
結婚・離婚や本籍地の変更などで戸籍が新たに作成されたり、戸籍の様式が変更されると、古い情報が新たな戸籍には記載されないため、出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本が必要になるのです。(戸籍の様式が変更された場合、その変更前の戸籍を「改製原戸籍」といいます。)
これらの戸籍は、被相続人が本籍を置いていた市区町村で保管されており、各役所から取得する必要があります。戸籍謄本には、以前、戸籍(従前戸籍)が置かれていた場所が記載されています。現在の戸籍から順にたどっていくことにより、出生時までの戸籍謄本を集めることができます。
被相続人に子や孫全員が死亡していることを確認するために、その子・孫の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本が必要になります。
被相続人の父母のいずれもすでに亡くなっている場合は、被相続人の祖父母が相続人となります。
被相続人の父母が死亡していることを確認するために、被相続人の父母の死亡の記載のある戸籍謄本が必要になります。
被相続人に子・孫や、親・祖父母がいない場合や、その全員が相続放棄をした場合は、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。
次の通り、上述した親・祖父母が相続放棄をする場合の必要書類が必要になります。
被相続人の兄弟姉妹が亡くなっており、その兄弟姉妹に子(被相続人の甥・姪)がいる場合は、その甥や姪が相続人となります(甥姪が亡くなっていても、甥姪の子は相続人になりません)。
甥・姪が相続放棄の申述人となる場合は、被相続人の兄弟姉妹(申述人の親に当たる者)が死亡していることがわかる書類として、「被相続人の兄弟姉妹の記載のある戸籍謄本」が必要になります。
相続放棄の必要書類のほとんどが戸籍謄本です。戸籍謄本などを役所で取得する際には、役所にある交付請求書に記入するほか、以下のものを持参する必要があります。
相続放棄をする本人が役所に赴く場合
本人確認書類として
運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、写真付きの住民基本台帳カード、在留カード、特別永住者証明書など
代理人に取得を依頼する場合
代理権限を確認できる書類(本人又はその同一世帯員から頼まれた代理人のみ)として
- 法定代理人:(親権者、成年後見人など) 戸籍証明や、成年後見登記事項証明書など
- 任意代理人: 委任状(※)(請求者本人から委任されたことがわかるもの)
※請求者本人の配偶者、直系尊属(父母や祖父母)、直系卑属(子や孫)など同じ戸籍に記載がある場合は、委任状の提出は不要。
先ほど少し触れた通り、相続放棄では、次の通り必要書類を省略できるケースがあります。
したがって、例えば被相続人の子供たち兄弟姉妹がまとめて相続放棄をすれば、必要書類にかかる負担は少額で済むでしょう。
未成年者や意思能力を欠く成年被後見人が相続人となることがありますが、利益相反の関係とならない限り、親権者や成年後見人が代理して相続放棄を申述することが可能です。
必要書類については、上記を参考にしてください。
また、相続放棄は、弁護士に依頼して手続きしてもらうことができます。
弁護士に相続放棄を依頼すると、必要書類の収集や、申述書の作成など煩雑な作業を代理してもらうことができます。
必要書類のほとんどは、被相続人や相続人、関連する方の戸籍謄本です。
戸籍を取得すべき本籍地が分かっていれば、役所で即日取得することができます。しかし、郵送で取得すると、普通郵便で往復で1週間~10日間程度かかります。
一方で、取得すべき戸籍の本籍が分からなければ、現在の戸籍から辿らなければならず、それなりに時間がかかってしまいます。
相続放棄は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内」に申述しなければなりません(民法915条1項)。相続放棄を決断したら、できるだけ早急に必要書類の収集を始める必要があります。
相続放棄の必要書類は、被相続人が最後に住んでいた場所を管轄する家庭裁判所に提出します。提出方法は以下のどちらでもかまいません。
家庭裁判所によって、必要書類が異なる場合もあるため、事前に確認されることをお勧めします。
ここまで、相続放棄の必要書類についてご説明しました。相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内」に行わなければなりません。
ほとんど方は、被相続人がお亡くなりになったことを当日にはお知りになるでしょう。相続開始から3ヶ月は、あっという間に過ぎてしまいます。そのため、多くの方は、多少費用がかかっても弁護士に相続放棄を依頼することを選択します。
相続放棄の期限が迫っている場合には、なおさらです。また、3ヶ月を超えてしまっても、相続放棄が認められるケースもあります。
相続放棄を検討している方は、ぜひ一度相続に強い弁護士にご相談ください。