親子が共同相続人となり、利益相反が生じた。どうする?

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遺産分割には、もともと利益相反が問題となる性質を有しています。一人の相続人の遺産が増えれば、その分他の相続人の遺産は減ることになるからです。

通常は、相続人それぞれが納得して協議書を作成すれば済みます。しかし、親とその未成年の子供がいずれも相続人になっているときは、特別な手続きが必要になります。

この記事では、親子間の利益相反について、どのような手続きをすればいいのか、何が問題になる行為なのかについて解説します。

1.利益相反行為とは

利益相反行為とは、一方にとって利益となり、同時に他方にとっては不利益となる行為のことです。
相続の場面では、主に親子間で利益相反になるケースがあります。

そこで、親族間で利益相反行為となるものを、いくつか具体的に考えてみましょう。

1-1.未成年の子供と親権者の利益相反

未成年の子供は、遺産分割や相続放棄といった法律行為を自分で完結させることができないため、親などの親権者が代理人として遺産分割協議などを行うことになります(民法5条1項)。

しかし、父が死亡して母が子供と共に相続人になると、母の相続分が増えれば、子供の相続分は減ることになります。
そのうえ、同時に母が子供の代理人になってしまえば、母が自分の利益を優先して、子供の代理人として子供の相続分を減らしてしまう危険もあります。

1-2.未成年の子供同士の利益相反

親などの親権者が、複数の子供の代理人になるときも、やはり利益相反の問題があります(民法826条2項)。

例えば、夫に先立たれた母親に育てられた3人の子が、父方の祖父の相続人となった場合には、子供は3人いるのに代理人は母親1人しかいないことになります。

このような状況では、母が目をかけている長女の相続分を増やし、長男と次男には殆ど相続させない、といったことになる危険があります。

1-3.未成年の孫が祖父母の養子となった場合の利益相反

相続税対策等のために孫が祖父母の養子となった場合にも、利益相反が問題となります。

例えば、未成年の子供が母方の祖父母の養子となり祖父が死亡した場合に、子とその母親は、祖父の共同相続人となります。このときの遺産分割については、母と子の利益相反が問題となります。

2.未成年者と親権者が利益相反にならないケース

しかし、未成年者が相続人になったとしても、その親権者が相続人にはならない場合には利益相反になりません
未成年者の相続分が増えても減っても、親権者の利害には関係ないからです。

2-1.未成年者と親権者が元々利益相反の関係にない

先ほどの例で言えば、祖父母の養子となった子の父親は、母方の祖父の相続人とはなりません。この場合、父が子を代理して遺産分割を行っても利益相反にはなりません。

ただし、父親に複数の子供がいる場合に、1人の子供の代理をすることはできますが、同時に複数の子供の代理をすると子供間の利益相反が問題となります。

2-2.親権者が相続放棄をした場合

相続放棄をすると、最初からその相続については相続人でなかったものとみなされます(民法939)。したがって、夫の相続について、妻が相続放棄をすれば、同じく夫の相続人である未成年を子の代理して、他の成人した子と遺産分割協議に参加しても利益相反とはなりません。

ただし、この親権者に複数の未成年の子がいる場合に、複数の子の代理をすると、同様に、子供同士の利益が相反してしまいます。

なお、未成年者の相続放棄については、次の関連記事に詳しくご紹介しています。

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3.成年後見人と成年被後見人の利益相反

父母子間と同様に、利益相反関係は、成年後見人と成年被後見人間でも起こり得ます。そこで、成年被後見人を保護するために、民法860条は、先の同法826条を準用して、成年後見人と成年被後見人間の利益相反行為を規制しています。

原則として、成年後見人と成年被後見人との利益相反については、父母子間の利益相反と同じ考え方を採用しているということになります。

ただし、成年後見監督人が就任している場合には、成年後見人と成年被後見人間の利益相反行為は規制されません。それは、成年後見監督人が、当該利益相反行為が成立する場合に、成年被後見人を代表する立場にあるからです。

民法851条
後見監督人の職務は、次のとおりとする。
(中略)
4号 後見人又はその代表する者と被後見人との利益が相反する行為について被後見人を代表すること

4.利益相反行為には特別代理人の選任が必要

利益相反行為と認められる場合には、家庭裁判所に対し特別代理人の選任を申し立てる必要があります。

民法826条1項
親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

ただし、子が成人した場合又は成年被後見人が能力を回復した場合に、これらの者が利益相反行為を追認したときは、その行為は有効となります。

なお、特別代理人の選任に関して詳しくは、次の関連記事を是非ご一読ください。

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まとめ

今回は、どのような場合が利益相反行為なのか、利益相反行為に該当する場合にどのように対処すればよいのかについて解説しました。

利益相反行為の判断は、高度の法律知識が必要となります。具体的な事案の検討及び実行については、弁護士等の法律の専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

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