遺産分割審判にも不服|即時抗告の手続きと抗告状・理由書の書き方

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「骨肉の争い」といった言葉がありますが、親族間の争い、特に遺産分割がもめてしまうと厄介です。それは遺産の問題だけでなく感情的な齟齬が一気に吹き出してしまうからではないでしょうか。

遺産分割は、まず、相続人間の話し合いから始めますが、まとまらない場合について、調停や審判が法定されています。では、遺産分割調停を申し立てたものの不調となり最終的に審判が下されたものの納得がいかない場合にはどのようにすればよいでしょうか?以下で解説します。

1.遺産分割審判までの手続き

遺産分割協議がまとまらない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てて、調停手続内で協議を継続します。調停手続きでも協議がまとまらない場合には、家庭裁判所が審判を行います。その審判について納得がいかない場合には、どうするかというのが今回のメインテーマです。

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2.遺産分割審判に不服がある場合|即時抗告

一般的に、遺産分割は審判までと思われがちですが、「即時抗告」という手続きによって、高等裁判所での裁判を申し立てることができます。
そこで、まずは即時抗告の手続方法と流れについてご説明します。

2-1.即時抗告

遺産分割審判は相当と認める方法で告知されますが(通常は審判書の形式で両当事者に送付されます。)、審判の内容に不服がある場合には告知されてから2週間以内に即時抗告という申し立てを行うことができます(家事事件手続法86条)。
この2週間の期間を「不変期間」と言います。

2-2.即時抗告できる審判

即時抗告はどんなときでもできるわけではありません(家事事件手続法85条1項)。
ただ、遺産分割審判については、相続人が即時抗告をすることが認められています(家事事件手続法198条1項1号)。

2-3.即時抗告の手続

①抗告状の作成

即時抗告は、審判を行った家庭裁判所に「抗告状」を提出して申し立てます(家事事件手続法87条1項)。
ただし、間違えがちですが、宛先は高等裁判所です。

なぜ、原裁判所に対し抗告状を提出するかといえば、下記の再度の考案の機会を与えるためです。
なお、手数料は1800円です。

【即時抗告状の例】

抗告状は基本的には自分で作成します(裁判所によっては審判申立書の書式を訂正して使うこともあります)。
抗告の趣旨と抗告の理由というものを書かなければなりませんが、正確に、説得力があるように書くのは難しいので、弁護士のアドバイスを受けることをおすすめします。

即 時 抗 告 状

○○高等裁判所 御中

平成○年○月○日
抗告人 ○○○○
被相続人 ○○○○
第1 抗告の趣旨
原審判を取り消す。
第2 抗告の理由
1 抗告人は,○○家庭裁判所平成○○年(家)第○○号名の遺産分割審判請求事件につき,平成○○年○月○日,「1 本件申立てを却下する。 2 手続費用は申立人の負担とする。」との審判を受けました。
2 しかしながら・・・・【略】

②抗告状の提出先|管轄

抗告の管轄は、家庭裁判所を管轄する高等裁判所になるのですが(当該高等裁判所を抗告裁判所といいます。)、管轄違いで家庭裁判所から却下された場合を除き、通常は管轄自体が問題になることはありません。なぜなら抗告状は、高等裁判所に対し提出するのではなく、当該審判を下した家庭裁判所に対し提出するからです。

③再度の考案

抗告上が家庭裁判所に提出された場合、家庭裁判所では審判の内容をもう一度検討します。このことを、再度の考案と言います。原裁判所に対しもう一度検討の機会を与えることにより、上訴審の負担を減らすことを目的とします。

原裁判所は、再度の考案の結果、審判を変更すべきと判断した場合には、変更することができます。この場合には、抗告手続は終了することになります。

なお、再度の検討の結果、審判に特に問題がないと判断した場合には、家庭裁判所は、抗告状と訴訟記録を高等裁判所に回付することになります。

④即時抗告期間

即時抗告期間は審判の告知から2週間の不変期間とされています。具体的には遺産分割審判は審判書の形式で告知されますので、当該審判書が当事者に送達された日の翌日から起算して2週間以内に、抗告状を家庭裁判所に提出する必要があります。

⑤抗告状を提出した後|即時抗告の流れ

即時抗告においては、抗告状と抗告理由書が受理されると抗告審が開催されるのですが、そこで審尋が開催されるかは抗告裁判所の裁量によります。開催されないケースがほとんどです。ただし、抗告裁判所が、審判を取り消す場合には、当事者の意見を聞く必要がありますので、審尋がなされます。

また抗告審は事実審であり、原審(家庭裁判所が行った審判)の続審であることから、家庭裁判所が行った審判の記録に顕れた事実及び証拠は当然に抗告審に引き継がれるとともに、当事者は、抗告審においても新たな事実主張や証拠を提出することができ、また、抗告審も審問や陳述の聴取を行うこともあります(これは抗告裁判所の裁量です。)。

そして、抗告裁判所は、即時抗告に対し決定をもって裁判をすることになります。具体的には、抗告裁判所が即時抗告を認容する場合には審判を取り消す内容の決定を行い、棄却する場合には棄却決定を行うことになります。

なお、事件の性質上、抗告裁判所が適当を認めるときは、事件を調停に付すことがあります(付調停といいます。)。

3.即時抗告に不服がある場合にはどうする?

即時抗告の決定に不服がある場合にはどうすればいいのでしょうか。

高等裁判所が判例に相反する判断がある場合や、その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、最高裁判所に対し許可抗告をすることができます
ただし、認められることは稀ですし、法律知識のない人が1人で行うのはほぼ不可能と言えるでしょう。

4.まとめ

以上のとおり、遺産分割審判に不服がある場合の不服申立の方法について解説してきました。

まず、遺産分割協議・調停がうまくいかないと思った場合は、弁護士など専門家に相談してみましょう。
遺産分割審判から先、特に抗告手続きになると、弁護士が代理人になることを想定された制度になっていて、自分ひとりで行うのは難しいです。

仮に手続きができたとしても、高度な法律知識が必要になる抗告審を有利に展開することは非常に困難です。
ぜひ弁護士のアドバイスを受けてください。

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