内縁の妻必見!相続できない事実婚の対処法

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Q.「長年一緒に連れ添ってはいるけれど、結婚はしていない」という場合、一方が死亡して相続が発生すると、遺産はどのようになるのでしょうか。

一般的にこのような関係を「内縁関係」や「事実婚」と言い、その女性のことを「内縁の妻」なんて言ったりします。
結論から言うと、内縁の妻には相続権がありません。ただし、「特別縁故者」「遺言」などを通じて遺産を受け取る方法はあります。

今回は、内縁の妻の相続と遺産の受け取り方について解説します。解説の前提として、婚姻と内縁の違いや、内縁関係における子供の取り扱い、年金を受け取れるかなども説明します。いわゆる「愛人」と呼ばれる関係の場合も参考になる内容なので、遺産相続が気になる方は是非読んでみてください。

1.内縁と婚姻の違い

内縁の妻は結婚している夫婦と同等に扱われる部分と違う取り扱いを受ける部分が出てきます。ここではその違いについて解説したいと思います。

婚姻と同様に扱われること

1:婚姻費用負担義務
生活費や医療費、子供の教育費などを男女で分担して負担する義務のことをいいます。

2:同居協力義務
結婚した夫婦と同じように男女が同居して暮らしていく義務があります。

3:扶養義務
夫が妻を扶養するように、内縁関係でも同等の義務が発生します。

4:貞操義務
夫婦がお互いに性的純潔を保つ義務のことをいい、わかりやすく言えば、浮気や不倫をしてはいけないということを言っています。

そのため、内縁の妻がいるのにも関わらずまだ結婚していないからという理由で浮気をすれば、内縁の妻は内縁の夫と浮気相手もしくは不倫相手の双方に対して慰謝料を請求できるのです。

違う扱いをされること

1:法定相続人にはなれない
内縁の妻には相続権がありません。どんなに長く連れ添っていても、これは変わりません。

2:子供が非嫡出子となる
結婚している男女間に生まれた子供であれば、父親が認知しなくてもそれは自分の子供です。内縁関係の男女間に生まれた子供は「非嫡出子」または「婚外子」などと言われ、母方の戸籍に入り、子供の親権も母親単独のものとなります

そのため内縁の夫と子供との間に父子関係を成立させるためには、別途認知の手続きが必要となります。

2.内縁の妻と、内縁の妻の子との違い

内縁の妻は法定相続人になれませんが、他方、内縁の妻の子供は法定相続人になれます。その違いはどこにあるのでしょうか。

内縁の妻は相続人になれないのか

法定相続人とは、読んで字のごとく法律で定められた相続人のことです。 故人の配偶者、直系卑属、直系尊属、兄弟姉妹が法定相続人となります。 直系卑属とは、故人から見て「子」や「孫」にあたる人たち、直系尊属とは、故人から見て「親」や「祖父母」にあたる人たちです。 このうち、相続において最も有利なのは配偶者です。

配偶者とは法律的に婚姻の届け出をしている妻または夫のことです。 たとえ結婚式を挙げていても、長年連れ添っていても、2人の間に子供がいても、婚姻届が受理されていない限り配偶者ではありません。 血が繋がっていないのに法定相続人となれるのは配偶者のみであり、内縁の妻や愛人は法定相続人と認められていません。

内縁の妻の子は相続人になれる

故人と内縁の妻の間に産まれた子は、法定相続人となることができます。 母方の戸籍に入っているとは言え、故人と血縁関係があるので、法定相続人となるのです。

しかしこれには条件があり、父親が子供を「認知」していなければなりません。 認知とは、父親と子の間に親子関係を成立させる手続きのことで、これを経てようやく内縁の妻の子は法定相続人となれるのです。

3.内縁関係でも大丈夫?遺贈と遺言書は効果的

遺言書

内縁の妻へ財産を残すには、必ず遺言書を書く!

では、内縁の妻自身が財産を相続するにはどうすればいいのでしょうか?

最も良い方法は遺言です。法的に有効な遺言を用意してもらえば、遺産相続で揉めることはかなり少なくなります。また、遺言により自分の子を認知してもらうこともできるので、自分の子にも遺産を相続させたい場合、とても有効な方法です。

遺留分に注意

遺言により内縁の妻が財産を相続する場合、問題となるのは「遺留分」です。 遺留分とは、一部の法定相続人に認められた最低限度の相続分です。 たとえ遺言に「全ての財産を(内縁の)妻に譲る」と書かれていても、遺留分が主張されると、遺留分に相当する額は内縁の妻ではなく遺留分を主張した相続人が相続することになります。

例えば長期間別居していて離婚協議中の妻がいて、内縁の妻と共同生活していたという場合に、「全財産を内縁の妻に譲る」という遺言を残してパートナーが亡くなられたとします。この場合、妻が遺留分を主張すれば、妻が遺産の半分を相続します。故人の遺志と違う結果になりますが、法律上認められた権利なので、ここは無視できません。

ただ、だからといって「遺言なんて無駄かも…」と思う必要はありません。妻が遺留分を主張しないか、相続そのものを放棄する可能性もありえます(離婚協議中などの場合は、妻も遺産を受け取りたい意思が強いケースが大半ではありますが)。また、故人の兄弟姉妹には遺留分が存在しません。仮に法定相続人が兄弟姉妹のみのケースで「全財産を内縁の妻に譲る」という遺言があった場合には、遺言の通り内縁の妻が故人の財産を全て相続することができます。

4.特別縁故者として相続できるケースも

法定相続人がおらず、法定相続人以外の人に財産を譲るという遺言もない場合、相続人なしとして遺産は国庫に帰属することになります。

しかし、法定相続人や遺言といった制度とは別に、一定の場合には「特別縁故者」に故人の財産の相続権を認めるという制度があります。 特別縁故者とは、法定相続人がいない場合に、特別に相続を受ける権利が発生した人のことです。 故人の世話を日常的かつ献身的に行ってきたような人や、法律的に婚姻はしてないけれど生計を同一にしていたという人などに認められています。

故人の法定相続人が既に死亡しており、代襲相続人(法定相続人の子など)もおらず、または法定相続人や代襲相続人の全てが相続放棄しているなどの事情で遺産が国庫に帰属されそうな場合、内縁の妻自身が家庭裁判所で手続きすることで特別縁故者として認められる可能性があります。

特別縁故者の要件

特別縁故者となるためには、以下いずれかの要件に該当していなければなりません。

1:被相続人と生計を同じくしていた者

婚姻届を提出はしていないが、夫婦同等の生活を送っていた内縁の妻や、事実上の養子の関係にある者がこれに該当します。

2:被相続人の療養看護に務めた者

被相続人の看護や介護にあたった者も特別縁故者として認められる場合があります。したがって、被相続人の看護にあたった内縁関係の妻は、特別縁故者として認められる可能性があります。ただし、業務として報酬を得ていた看護士、介護士、家政婦などは除きます。

3:その他被相続人と特別の縁故があった者

生前の被相続人との間に、①・②に準ずる程度の交渉があり、もし、遺言があったなら、相当な配慮をしただろうと思われる者です。

特別縁故者として認められたら?

特別縁故者として認められれば、無事に遺産を相続することができます。他に相続人がいないため、遺産「全額」の相続も可能です。
ただし、内縁の妻は法律上の配偶者ではないので、相続税の配偶者控除が受けられません。結果として多額の相続税が発生することもあるので注意してください。

5.内縁の妻でも賃借権は認められる

賃借物件
では、財産以外の権利についてはどうでしょう?賃貸物件に同居している内縁関係の男女がいるとします。物件の借主の名義が男性であるとして、その男性が死亡すると、財産は内縁の妻ではなく法定相続人に相続されることになります。

このとき、賃貸物件の賃借権も法定相続人が相続するため、内縁の妻にはその物件に住む権利がなくなってしまいます。この状態で遺族が内縁の妻に立ち退きを迫ったら、内縁の妻はどうすることもできないのでしょうか?

実際にこういったことが裁判で争われましたが、裁判所は法定相続人による立ち退き要求を権利の濫用として認めず、内縁の妻を保護する旨の判決を行いました。

これは法定相続人が賃貸人(大家さん)に変わっても同じで、内縁の妻は引き続き同じ物件に住むことが可能です。 「物件を借りている内縁の夫が亡くなったから、引っ越しをしなければいけない…」などと悩むことはありませんので安心してください。

6.内縁の妻と遺族年金の関係

年金手帳
それでは内縁の妻は遺族年金を受け取ることができるのでしょうか。

内縁の妻は遺族年金を受け取ることができるのか

原則論から言うと、遺族年金は法律上の妻である配偶者に支給される年金のため、原則として受け取ることができません

ただし、一定の要件を満たしている場合は、内縁の妻にも遺族年金が支給される可能性があります。

基本的には、内縁関係にあったということを役所に認めてもらうために、さまざまな書類を提出する必要性が出てきます。

【内縁関係を証明するための書類の一例】
  • 健康保険被保険者証の写し
  • 結婚式を挙げたことを証明する書類
  • 自らが喪主となって葬儀をあげたことを証明する書類
  • 住民票

とにかく内縁の事実の証拠となるものは、なんでも必要となります。なお、一番難しいけど有効なのは、住民票です。生前に同一世帯の住民票となっていれば、内縁関係として認められやすくなります。

本妻がいた場合、遺族年金は厳しい

これらの要件を満たしたとしても、本妻がいる場合には、内縁の妻が遺族年金を受け取れません

可能性があるとすれば、本妻と内縁の夫がすでに破綻していて、離婚届は出されていないものの10年以上もの長期間内縁の妻と同居しているような場合などは、遺族年金の「受給対象者から除外」されるかもしれない、という点です。

このような事実婚や内縁関係の状況になっており、遺産相続や今後の生活にお悩みの場合は、できる限り弁護士等に相談するのが良いでしょう。

相続に強い弁護士が問題を解決します

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