遺言とは?遺言の基礎知識や遺書との違い、遺言の種類について解説

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「遺言」という言葉は知っているけど、実際にどのようなものが遺言に当たるのかを理解できている人は少ないのではないでしょうか。
「遺言」と「遺書」の違いや、「いごん」と「ゆいごん」という読み方の違いによる意味の違いはあるのかなど、疑問をお持ちの方も多いと思います。

そこで今回は、遺言に関する基礎知識から実用的な話まで幅広く遺言に関するあれこれを紹介します。

1.遺言とは?

そもそも、「遺言」とはどのようなものなのでしょうか。
まずは定義や法的効力を持つ場合について説明していきます。

1-1.遺言とは

遺言とは、人が自分の死後にその効力を発生させる目的であらかじめ書き残しておく意思表示のことです。
法的には、遺言は「被相続人の最後の意思表示」という定義で、その人の死に最も近接した時点でした意思表示のことを言います。

また「遺言」は、一般的には「ゆいごん」と読まれますが、法律的には「いごん」と読まれます。

被相続人が、自身の意図に基づいた遺産の相続をしてもらえるメリットがあるだけでなく、後に残される相続人にとっても無用な争いを最小限化できるというメリットがあります。

1-2.遺書との違い

遺言とは法律で定められた要件を満たせば法的拘束力を持つものです。
(詳しくは「1-3.遺言の法的効力」及び「4.遺言書が無効になる場合」で解説します。)

一方で、遺書は法律的な制約を受けない手紙のことを言います。
故人が伝えたいメッセージを書き残すもので、一般には死が迫っている人が書き残すものと言えます。
内容は自由であり、さらにどのような形で残すか(録音や手紙など)も自由です。

1-3.遺言の法的効力

遺言は、正しい書き方法律で定められた要件を満たして書かれたものに関しては、その内容に法的拘束力をもちます。

遺言の内容で法的効力が認められる主な事項としては

  1. 遺産分割方法の指定と分割の禁止(民法908条)
    (例)「〇〇県〇〇市△丁目☆番地▢号の土地をBに相続させる。また、預貯金はCに相続させる
  2. 相続人の廃除(民法第893条)
  3. 相続分の指定(民法902条)
    (例)「長女と長男にそれぞれ相続財産の2分の1を相続させる」
  4. 相続財産の処分(遺贈)に関すること
    (例)「法定相続人ではないが、お世話になったAにマンションを遺贈する」
  5. 後見人の指定
  6. 内縁の妻と子の認知に関すること
    (例)婚姻をしていないBとの間にできた隠し子Cがいる場合に、遺言者であるAは、Cを遺言で正式に自分の子であると認める(認知)ことで、Cは正式にAの子として相続人に加えることができる。
  7. 遺言執行者の指定または指定の委託
    (例)遺産相続の結果、相続財産の名義変更が生じる場合に、遺言執行者(遺産相続手続き上で必要となる手続きを行う人)を指定したり、第三者に指定を委任したりすることができる

などがあります。

2.遺言の種類

遺言には主に以下の3つの種類があります。

  • 自筆証書遺言
  • 秘密証書遺言
  • 公正証書遺言
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ここでは、それぞれの種類の定義と簡単な特徴を紹介していきます。

2-1.自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、代筆なく全文を自筆で書き上げる遺言書のことです(民法968条)。

もし仮に、自分以外の人(子や親族など)が代筆した場合には、その遺言書自体が無効になります。
また、本人の肉声であっても音声での遺言は認められていません

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2-2.秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、遺言の内容を誰にも公開せずに秘密にしたまま、公証人及び証人2人以上に遺言者本人が書いたものであることを証明してもらう形式です。

内容は秘密にすることができますが、内容に不備がある場合には無効になる可能性があります。

自筆証書とは異なり、本人が署名・捺印をすればパソコンや代筆でも認められます。

2-3.公正証書遺言

公正証書遺言は、証人2人以上の立ち合いの下で遺言書に書きたい内容を公証人に口述し、公証人がそれを書面を起こして作成する形式です。

偽造や変造の恐れがなく、さらに公証役場で保存されるため紛失の恐れがありません。
3つの遺言の種類の中でも最も確実なものです。

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3.遺言と遺留分の関係

ここでは、遺言と遺留分の関係について解説していきます。

3-1.遺留分とは?

遺留分とは、残された遺族の生活水準の保護を目的に作られた、特定の法定相続人に認められる最低限の遺産取り分のことを言います。

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3-2.遺言と遺留分の関係

遺言であっても、相続人の権利である遺留分を完全に奪うことはできません。

また、兄弟姉妹ではない法定相続人で、その相続において相続人に該当する人には、遺留分侵害額請求権が与えられえています。
これは、侵害された財産を取り戻す制度のことです。

仮に遺留分を侵害する遺言書があった場合であっても、遺留分侵害額請求権が優先されます。

4.遺言書が無効になる場合

遺言書は必ずその効力を発揮するものではありません。
ある一定の場合については、無効となってしまいます。

その基準の主なものは

  1. 意思能力のある満15歳以上であること
  2. 決められた形式に従っていること
  3. 内容の相当性

といったものが挙げられます。

では、上記3つについて詳しく説明していきます。

1に関しては、知的障害、精神障害、認知症等の成年被後見人は、常時判断力のない状態であれば遺言証書を作成することはできません。

ただし認知症で、一時的に正常な思考能力が回復する場合については2名以上の医師の立会いの下であれば遺言書の作成が認められています。
また、遺言書を作成した際に意思表示があれば、その後判断力がなくなったとしてもその遺言書は認められているのです。

2に関しては、記載内容が法定の方式を欠いていた場合や、証人などの立会人が欠けていた場合のことです。更に、自筆性が否定されたり、共同で遺言が作成された場合についても同様です。
自筆証書遺言では、よく形式が間違っているために無効になったり、無効が争われたりするため注意が必要です。

3に関しては、公序良俗に反する内容であったり、処分できない財産について遺言がなされていた時のことを言います。

5.その他遺言に付随する用語解説

5-1.付言とは

付言とは、遺言者が相続人に「贈る言葉」です。
自由に気持ちを述べることができ、遺言内容の理由や残る家族への気持ちなどを付言として記入します。

付言には法的拘束力はなく、あくまで遺言書の補足の役割です。

5-2.立会人とは

公正証書遺言作成の際に証人としてその場に居合わせてもらう人のことを指します。

立会人になることができない人としては

  • 未成年者
  • 相続が開始された場合に相続人になると想定される人
  • 遺言によって財産を受け取る人
  • 配偶者や直系血族の人
  • 公証人(事実の存否や法律行為の適法性等について証明したり認証したりする公務員)と関係のある人

が挙げられます。

信頼できる友人や、司法書士、弁護士などにお願いするのが良いでしょう。

5-3.財産目録とは

土地や建物、預貯金、有価証券といった相続財産を、種別ごとにリストアップし、評価額とともに表にしたものです。

遺言書を作る時に必要となる書類の一つです。
法的な作成義務はないので、書式は自由でパソコンで作成することも可能です。
ただし、パソコンを使用できるのは財産目録のみで、それ以外の書類に関しては手書きの必要があるので注意してください。

6.まとめ

今回は「遺言」とはどのようなものかについて解説してきました。

遺言書にはたくさんの効力がありますが、必ずしも有効となるわけではありません。

それぞれの形式によって注意すべき点は様々なので、しっかりと確認をしてから遺言書作成に取り組むことをお勧めします。

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