遺言書につける財産目録の書き方|パソコンで作れる簡単書式つき

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遺言書を書くにあたり、財産目録をどのように作成すればよいのかお困りの方も多いのではないでしょうか。

平成31年1月13日施行の民法改正で、自筆証書遺言につける財産目録がパソコンでも作成できるようになりました。

本記事では、財産目録の作成方法について、簡単にダウンロードできる記載例もご紹介しながら解説していきます。

追記

2023年10月法務省は、デジタル機器での自筆証書遺言の作成を解禁する方針を示しました。実現すれば、パソコンやスマートフォンなどで、自筆証書遺言自体を作成することができるようになります。

背景には、デジタル化が進みデジタル機器を扱う高齢者も増えたため、作成する際の手間を省いて遺言書の活用を促し、相続での紛争を防ぐ狙いがあるとされています。

今後、有識者会議により、デジタル機器で作成された遺言書をどのように本人確認するかや、家族がデジタル機器に代理で入力することの是非などが検討される予定です。

1.遺言書につける財産目録とは

遺言書につける財産目録は、一言でいえば、被相続人の所有する相続財産の一覧表です。

資産だけではなく、借金など、負の遺産を含めてすべて記載します
プラスの財産のみの記載では、相続人が誤解するおそれがあり、記載しなかった遺産について相続争いが生じやすくなってしまいます。

1-1.遺言書に財産目録は必要?

財産目録は、必ずしも遺言書に添付しなければならないわけではありません。

しかし、財産目録を作成することによって、遺産の全容がわかりやすくなり、遺産分割協議や相続税申告も円滑に行うことができます。

2つ目の理由として、財産目録は、相続財産の数が多い遺言者が、遺言を作成する際に役立ちます

というのも、遺言書で遺産について言及するときに、たとえば土地であればその地目や地積など、その遺産を特定できるよう詳しく書かなくてはなりません。相続財産が少なければ、遺言書で言及するのはさほど難しくありません。

他方、預貯金や不動産など遺産を数多く抱えている場合に財産目録がなければ、すべてを羅列しなければならず、遺言書自体が読みにくくなり、手書きする作業にも手間がかかります。その点、財産目録を別に添付することで、遺言書本体には「別紙財産目録の〇〇を~~に相続させる」と書くだけで遺言書がスリムになるほか、自書する手間も省力することができます。

2.民法改正によりパソコンで作れるようになった

平成31年1月13日施行の民法改正で、自筆証書遺言につける財産目録について、パソコンでの作成ができるようになりました(968条2項)。
それまでは財産目録まですべて手書きしなければならなかったので、遺言者の方にとってはありがたい改正となっています。

ただし、平成31年1月13日施行であり、同日よりも前に作成した財産目録はパソコンでの作成では認められません。

また、パソコンで作成できるのはあくまで財産目録だけで、自筆証書遺言自体は全文自筆でなければ、遺言書としての効力がありません

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3.遺言書につける財産目録の書き方と注意点

3-1.財産目録の書き方とダウンロード用の書式例

では、実際に財産目録はどのように作成するのでしょうか。

財産目録の書き方について法定の様式はありません
ただ、相続財産について間違いなく特定し、争いを防ぐため、それぞれの財産について詳細に記載しなければなりません
例えば、「居宅と土地」という記載では足りず、その家の所在や家屋番号、土地の地番や地積などの記載も必要です。

財産について書く

実際に財産目録に記載する財産には、所有の不動産や預貯金、株式、生命保険、借金、定期的な収入支出などが挙げられます。

不動産と預貯金については、わざわざ財産目録を作成せずに、「不動産全部事項証明書(登記簿謄本)」や「通帳のコピー」を添付するだけでもかまいません。

財産目録の書式例

参考までに、簡単な財産目録の書式例を掲載しておきます。
左クリックするとダウンロードでき、そのままご使用いただけます。

なお、画像はクリックすると拡大します。

書式ダウンロード

 

上記の書式はあくまで書式例なので、この形式に則る必要はありません。

遺言書と合わせてとじる

出来上がった財産目録を、遺言書本体に合わせてホッチキス等でとじます。
必須ではありませんが、遺言書と財産目録とを繋ぐことが法務省から推奨されています。

万一、遺言書本体と財産目録とがバラバラになってしまうと、自筆証書遺言としての要件を満たさない可能性があるため、一体のものとして保管しましょう。

3-2.財産目録を作るときの注意点

もしも財産漏れがあったら

財産目録から漏れていた財産が発覚しても、遺言書が無効になることはありません。

しかし、後から出てきた財産をどのように相続するか相続人が集まって協議しなくてはならず、大きな負担を残すことになります。
財産目録を作るときには、漏れがないかよく確認しましょう。

記載漏れが心配なときには「その他一切の財産については~~に相続させる」と包括的に定めてしまう方法もあります。

負の財産まで書く

財産目録に記載するのは資産だけではありません。
借金などマイナスの財産についてもしっかり書きましょう。

パソコンで作成する場合の注意点

自筆証書遺言に添付する財産目録をパソコンで作るときには、以下の3点に気をつけましょう。

➀財産目録の全ページに署名押印をする
財産目録が複数枚に及ぶ場合には、全てのページに署名押印をする必要があります。
両面印刷した場合にも、必ず両面に署名押印をしなければなりません。

②遺言書本体は直筆すること
繰り返しになりますが、パソコンで書いてよいのは財産目録のみです。
自筆証書遺言自体は直筆で書かなければなりません。

③財産目録は遺言書とは別紙で作成すること
改正によってパソコンでの作成が認められたのは、自筆証書遺言に「添付する」財産目録であり自筆証書とは別の用紙で作成される必要があります。

自筆証書遺言と同じ用紙で財産目録を組み込む場合には、財産目録についても自筆しなければなりません。

まとめ

本記事では遺言書につける財産目録について解説してきました。

近年の民法の緩和で、自筆証書遺言につける財産目録がパソコンでも作成できるようになりました。しかし、より手軽に作れるようになった分、思わぬミスに繋がる心配もあります。

また、遺言者お一人での作成は「自分の遺産はこれで全部なのか?」「書き方は間違いないのか?」「無効になったりしないか?」と不安になる方もいらっしゃるかもしれません。

自力で書く自信がない方は、公正証書遺言の利用や、弁護士に相談しながら作成することを検討してみてはいかがでしょうか。

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監修
弁護士相談Cafe編集部
弁護士ライター、起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)、行政書士資格者を中心メンバーとして、今までに、相続に関する記事を250以上作成(2022年1月時点)。
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