パソコンで書ける遺言書の種類と有効な書き方

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相続財産の数が多いときなど、遺言書を手書きで書くにはあまりに時間も労力もかかりそうなことがあります。
手書きではどうしても面倒になってしまうこともあるでしょう。

この記事では、パソコンで遺言書を書いてもよいのか(パソコンで作成した遺言書は有効なのか)、パソコンでの書き方、その際の注意点などを解説します。

1.パソコンで書いてもよい遺言書、だめな遺言書

まず、遺言書には下記の3種類があります。

  • 自筆証書遺言…被相続人が全文手書きで遺言書を書き、保管する。
  • 秘密証書遺言…遺言書を作成した後、証人・公証人の協力のもと、内容は見ずに「遺言書の存在」のみを証明してもらい、保管する。
  • 公正証書遺言…公証役場にて公証人の協力を得ながら被相続人が遺言書を作成し、公証役場に保管してもらう。

このうち、パソコンで書いてもよい遺言書は以下の2つです。

➀自筆証書遺言に添付する「財産目録」

自筆証書遺言に添付する財産目録は、パソコンでの作成が可能です(968条2項)。

財産目録とは、不動産や預貯金をはじめとする被相続人の相続財産を列挙したものです。
相続財産が多数に及ぶ場合などにおいて、遺言書自体にはそれらを書かず、別に財産目録を添付し、自筆証書遺言で「別紙財産目録記載の○○を□□□□に遺贈する。」と書くことがあります。

あくまでパソコンで作ってよいのは「添付する財産目録」の部分のみであり、遺言書自体は自筆でないといけない点にご注意ください。

厳密にいうと、この財産目録についても、平成30年の民法改正によって初めてパソコンでの作成ができるようになったもので、以前は自筆しか認められていませんでした。
新民法は平成31年1月13日施行だったため、同日より前に作成した財産目録については、パソコンでの作成だと無効になります。

②秘密証書遺言

秘密証書遺言は遺言書自体もパソコンでの作成が認められています。
秘密証書遺言は、冒頭でご説明した通り、「遺言の存在」のみを公証人に証明してもらう遺言書です。

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パソコンのほか、代筆でも有効ですが、その場合でも本人の署名押印は必須です。

さて、①自筆証書遺言に添付する財産目録と、②秘密証書遺言の2つはパソコンで作成してよいことがわかりました。
それでは、①、②の順番で、具体的なそれぞれの書き方を見ていきましょう。

2.自筆証書遺言に添付する財産目録のパソコンでの書き方・注意点

2-1.書き方

自筆証書遺言に添付する財産目録をパソコンで作成する場合、以下のような流れになります。

➀遺言書を自筆する

自筆証書遺言の書き方全般についてはこちらをお読みください。

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②財産目録をパソコンで作成する

財産目録はパソコンだけでなく他人による代筆でも可能です。
ただし、本人の署名押印は全てのページに必ず必要となります。

③遺言書と財産目録等をまとめてとじる

パソコンで作った財産目録のほか、「不動産全部事項証明書(登記簿謄本)」や「通帳のコピー」も添付することができます。

ホッチキス等でまとめてとじることは絶対ではありませんが、遺言書と添付資料との牽連性・関係性を保証するために法務省でも推奨されています。

④保管する

自筆証書遺言や秘密証書遺言は自分で、あるいは自己責任で他人に委託して保管しなくてはなりません。
しかし、令和に入って新制度が導入され、法務局での保管もできるようになりました。

保管場所について詳しくはこちらの記事をお読みください。

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2-2.財産目録をパソコンで作成する注意点

自筆証書遺言に添付する財産目録をパソコンで書くときには、以下のようなことにご注意ください。

遺言書とは別紙で作成する

パソコンで財産目録を作成する際は、あくまで遺言書(自筆証書遺言)本体とは別紙で行わなくてはなりません
遺言書と同一用紙で、財産目録の部分だけパソコンで書く、ということはできませんのでご注意ください。

両面に署名押印が必要

パソコン作成による財産目録が紙の両面に及ぶときには、両面に署名押印が必要です。
もちろん、片面印刷のときは片面だけでかまいません。
複数枚に及ぶときはすべてのページに署名押印をします

財産目録の内容を修正するとき

万が一財産目録の内容を修正したいときには、自筆による部分の訂正と同様に、内容を一部変更したということを変更箇所を明記した上で署名し、修正場所に印を押さなければ効力が生じません。

3.秘密証書遺言のパソコンでの書き方・注意点

次に、秘密証書遺言をパソコンで書くときの方法と注意点です。

3-1.書き方

秘密証書遺言は以下のように作成します(970条)。

  1. 遺言内容をパソコンで書いたものに、署名押印する
  2. 遺言書に使ったものと同じ印鑑で封印する
  3. 証人2人と公証役場に遺言書を持参する
  4. その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載したあと、公証人及び証人と共に署名押印する
  5. 遺言書を保管する(自分、あるいは誰かに委託して保管しなくてはならない。公証役場では保管してくれない)

遺言書に書く内容は書く人の自由ですが、法的効力を持って遺言書に書ける項目というのは決まっています。
詳しくは以下の記事をお読みください。

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3-2.秘密証書遺言をパソコンで作成する注意点

秘密証書遺言をパソコンで作成する場合は、以下のことに注意します。

証人に資格がないと判明したら無効になる可能性がある

前述の通り、秘密証書遺言を作成するには2人の証人が必要です。
ただし、以下のいずれかに当てはまる人は証人にはなれません。

  • 未成年者
  • 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者および直系血族
  • 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および使用人

秘密証書遺言を作成後、万が一証人に資格がなかったと判明した場合、遺言書は無効になります。
その他秘密証書遺言の細かい要件を満たさない場合も無効です。

このとき、遺言内容を自筆で書き自筆証書遺言の要件を満たしていれば、秘密証書遺言としては無効でも、自筆証書遺言とみなされて遺言書の有効性は保たれます
確実に遺言内容を実現させたい場合には、やはりパソコンではなく自筆で書いたほうが安全でしょう(※)。

※ただし、遺言書を無効にしたくない、信頼性を高めたいという方には、基本的に公正証書遺言をおすすめしています。
公正証書遺言であれば専門家(公証人)に遺言書の方式を精査してもらえる上に、公証役場での保管も行ってもらえるため、最も安全性・信頼性が高いです。

破棄や変更をしたいとき

前述の通り、秘密遺言証書も自筆遺言証書と同様、自分で保管するか、信頼できる第三者に預けて保管してもらいます。
破棄したいときは、破り捨てればよいだけです。

気をつけていただきたいのは内容を変更したい場合です。
内容を大変きく変更する場合は書き直さなくてはなりませんが、軽微なミスであれば直接修正できます。

修正方法は、2-2.でご紹介した財産目録を修正する場合と同じです。
修正したという事実と修正箇所を明記した上で署名し、変更したところに印を押します(968条3項、970条2項)。

4.まとめ

秘密証書遺言や、民法改正によって自筆証書遺言に添付する財産目録もパソコンで作成できるようになりました。

ただし、本人の署名押印は必ず必要であることや、自筆証書遺言自体は手書きでなければならないことなどに特にご注意ください。

パソコンで作成するのは大変時間短縮にもなり、便利ですが、いっぽうで使い方を誤ると遺言書が無効になってしまう可能性も高まります。
遺言書の内容や方式に少しでも不安のある方は、弁護士にご相談してみることをおすすめします。

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