相続に必要な書類の内容から取り方まで|戸籍謄本、抄本、除籍謄本…
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人が亡くなられたときには、「死亡届」を役所に届けなくてはなりません。
実は、死亡届は亡くなったことを知ってから7日以内に届け出ないと5万円以下の過料があるなど、厳密に義務づけられている書類です。
そんな死亡届についてですが、初めて書く方ばかりなのではないでしょうか。
本記事では、死亡届の書き方や、その記入例、注意点までわかりやすく解説します。
目次
死亡届は、その人が亡くなったことを公的に証明する書類です。
届出人は、死亡の事実を知ってから7日以内(国外で死亡したときはその事実を知ってから3ヶ月以内)に届け出る義務があります(戸籍法86条)。
死亡届を届け出る義務があるのは以下の人です(※)。
※同居している親族以外の親族や、後見人・保佐人・補助人・任意後見人の届け出も有効ですが、義務ではありません。
死亡届の紙は通常、役所(市役所、区役所等)でもらえますが、病院で常備している所も多いです。
死亡届をもらったら、必要事項を記入し、死亡した人の本籍地・死亡地の市町村役場、もしくは死亡届出人の住所地・所在地の市区町村役場に提出します。
死亡届の提出は、届出人にとっての「義務」です。
もし、正当な理由もなく前述の期間内に届け出をしないでいると、5万円以下の過料が課せられます(戸籍法137条)。
他にも、死亡届を提出しないでいると困ることはたくさんあります。
まず、火葬や埋葬ができません。火葬(埋葬)許可証を発行するのに死亡届が必要だからです。
また、死亡届を届け出ないと年金の受給停止や世帯主変更が行えません(※)。
特に年金の不正受給はしばしば報道されていますが、立派な犯罪です。
10万円の罰金が課されるほか、悪質なものは詐欺罪に問われることもあります。
※年金の受給停止…厚生年金受給者なら死亡後10日以内、国民年金受給者なら死亡後14日以内に支給停止手続きを行わなくてはなりません。
世帯主変更…死亡した人が世帯主だった場合には、住民票の世帯主変更届を14日以内に提出しなくてはなりません。期限を過ぎると5万円以下の過料が科されます。
実際に死亡届の記入例を見てみましょう。
まずはこの画像で全体像を掴んでから、次からの詳しい説明を読んでいただけると分かりやすいと思います。
(画像はクリックで拡大表示できます)
【引用元】法務省(PDF)
一般に「死亡届」と呼ばれているものは、左が死亡届、右が死亡診断書(死体検案書)という対になっています。
死亡診断書(死体検案書)が抜けていると受理してもらえないので、ご注意ください。
病院など医師の観察のもと亡くなった場合には医師が「死亡診断書」を、事件等に巻き込まれて亡くなった場合には警察が「死体検案書」を作成してくれます。
死亡診断書や死体検案書には、一般の方は手を加えてはいけません。
受け取る際にミスがないかよく確認しましょう。
もし死亡診断書(死体検案書)部分のみA4で発行されたら、A3サイズの死亡届の右側に直接貼ります。
死亡届の作成に手数料はかかりませんが、死亡診断書・死体検案書の発行には手数料がかかります。死亡診断書の発行手数料は医療機関が独自に決めるので一概にはいえませんが、1,000円~2万円程度といわれています。死体検案書はそれより金額が上がります。
死亡届に届出人が記入しなければならない必須項目は、下記の通りです。
「死亡届をこの日に提出しよう」と思っても、亡くなった後の忙しさで提出日がずれてしまうこともあります。
提出日や場所は当日に窓口で書くのがおすすめです。
以下、各項目のうち、特筆すべき点を列挙していきます。
死亡日時は、死亡診断書(死体検案書)に書かれている通りに書けばよいです。
夜の12時は午前0時、昼の12時は午後0時と記入します。
死亡した場所の住所を書きます。
亡くなった場所が病院であっても、病院名ではなく病院の住所を記載する点に注意しましょう。
本籍地は、その人の戸籍のある市区町村を指します。
単にその人が住んでいる場所を指す「住所」や「所在地」とは異なります。
本籍地がどこなのか不安なときは、事前に死亡した方の戸籍抄本や戸籍謄本を入手しておくとよいでしょう。
「筆頭者」は、あまり聞き慣れない言葉かもしれません。
筆頭者とは、戸籍の一番はじめに記載されている人の名前のことです。
筆頭者と混同しやすい「世帯主」は、その家(世帯)に住んでいる人たちの代表者であって、親族関係である必要はありません。
しかし、「筆頭者」は戸籍の代表者なので、大きな違いはここにあります。
国勢調査の年のみの記入です(※)。
職業名を書く欄ではないことに注意してください。
「産業と職業の分類コード表」をもとにコードを記入します。
不明の場合は何も書かず、そのままにして、役所で提出するときに確認しながら記入したほうがよいでしょう。
※5年に1度、国勢調査の行われる年度は、人口動態調査のために、各届書(出生届・婚姻届・死亡届など)に職業の記入が求められます。次回の国勢調査は、2020年10月に実施を予定しています(2020年5月現在)。
誤った記述を二重線で消し、その横か上下に正しい内容を書いて、打ち消し線の上や周辺に届出人欄の押印と同じ訂正印を押します。
ただし、自治体によっては訂正の仕方が異なる可能性もあります。
不安な際は提出先の自治体に確認するのが一番です。
国籍が外国にあっても、日本に住んでいる方が亡くなったときには、日本の戸籍法が適用されます。
書き方は日本人が亡くなった場合と、特に変わりはありません。
死亡届の「本籍地」欄には、国籍のみを記入すればよいです。
役所は死亡届の受理証明書を発行して、記載事項証明書などの交渉を進めてくれます。
記事冒頭の注釈で少し触れていますが、亡くなった方が世帯主の場合は、届出人が死亡の事実を知ってから14日以内に住民票の世帯主変更届を提出しなければなりません。
もし、この提出期限に遅れてしまうと、5万円以下の過料が科せられます。
世帯主がお亡くなりになって悲しみに暮れている方も多いかもしれませんが、こういった手続きは迅速に行わなければならないようです。
いかがでしたでしょうか。
本記事では、死亡届の書き方やその注意点をみてきました。
死亡届の記入項目に関する詳細や、意外とスピード感を持って記入・提出を行わなければならないことがお分かりいただけたでしょうか。
人生の中で、できれば書きたくない死亡届。
しかし、その記入は、故人と同居していた親族などにとっての義務です。
不安な箇所は自治体に確認をとりながら、故人のためにもミスなく記入をするようにしましょう。
また、記入した死亡届は所定の役所に提出する必要があります。