遺産分割協議書作成時の必要書類について一覧で詳しく解説!
被相続人の遺言書がない場合に、相続手続きに必要となる遺産分割協議書。 しかし、いきなり遺産分割協議書を書くわけにはい…[続きを読む]
ご親族を亡くされると、被相続人の財産を相続人の名義にするために、相続手続きをしなければなりません。
その際に必要になるのが遺産分割協議書です。では、提出する遺産分割協議書に有効期限はあるのでしょうか?いつまでに作成しなければならないといった期限はあるのでしょうか?
本記事では、そうした遺産分割協議書の基本的な疑問にお答えします。
目次
民法では、遺産分割協議をいつまでにしなければならないといった期限がありません。そのため、遺産分割協議書もいつまでに作成しなければならないといった期限は設定されていません。
また、一度作成してしまえば、遺産分割協議書には有効期限もありません。したがって、相続手続きをする際には、作成した時期に関わらず遺産分割協議書を受理してもらうことができます。
しかし、問題は、期限付きの相続手続きがあり、遺産分割協議書の提出が求められていることです。そこで、その期限内に遺産分割協議をして、遺産分割協議書を作成することになります。
主な相続手続きと期限について次表にまとめてみましょう。
銀行口座の相続手続き |
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生命保険金の受け取り |
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相続登記 |
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相続税申告 | 相続開始を知った日の翌日から10か月以内(相続税法27条1項) |
上記からお分かりの通り、相続開始から直近で遺産分割協議書の提出が必要になるのは、相続開始の翌日から起算して10ヶ月以内にしなければならない相続税申告です。
ただし、遺産分割協議を滞りなく行い、遺産分割協議を作成するためには、様々な書類を準備して調査をする必要があり、それなりに時間がかかります。
しかも、相続税は期限内に申告しないと、延滞税や無申告加算税といったペナルティが待ち受けています。相続税申告に間に合うように、相続人間でしっかりと調整する必要があるのです。
なお、遺産分割協議書作成のための必要書類については、次の記事で詳解しています。是非ご一読ください。
では、遺産分割協議書を作成せずに放置すると、どのようなデメリットがあるのでしょうか?
遺産分割協議書を作成しないと、次のようなデメリットが発生します。
被相続人の遺言書がなければ、原則として相続税申告や相続登記には、遺産分割協議書を添付しなければなりません。
前述した通り、期限内に相続税申告をしなければ、ペナルティの税金がかかります。相続登記には、2024年4月1日から3年という期限が設定されます。期限内に登記しなければ、10万円以下の過料が科せられる可能性があります。
こうした事態に陥らないためにも、遺産分割協議書の作成は必要になります。
遺産分割協議について相続人全員の合意が成立したことを証するために作成します。「そんな遺産分割に納得した覚えはない」といった相続人が現れて紛争が蒸し返されるのを防止するためです。
遺産分割協議書がなければ、こうした相続人が現れたときに、他の相続人には遺産分割協議に合意したことを証明するものが何もないために、紛争になってしまう可能性が高くなります。
遺産分割協議には、誰がどの遺産を取得したかを証明する書類となります。遺産分割協議書を作成せずに放置したまま相続が繰り返され、前項のような相続人が現れると、遺産を誰が取得したかの特定が難しくなってしまいます。
相続手続きでは、遺産分割協議書の原本の提出を求められ、原則としてコピーの提出はできません。
そのため、原本を提出する際に、原本還付請求をするといいでしょう。
遺産分割協議書の還付請求には、まず、遺産分割協議書のコピーを用意します。
還付請求は、コピーの余白に「原本と相違ありません」と記して、申請人が署名し、申請書に押印した同一の印鑑で押印したものを提出して行います。
遺産分割協議書が複数ページに跨る場合は、割印をします。
相続登記と相続申告は、次の所で行います。
相続手続きに遺産分割協議書の提出が不要なケースは、次の通りです。
遺産分割協議が紛糾しそうな場合には、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士であれば、依頼者である相続人の代理人として、遺産分割協議に参加することができ、交渉を任せることができます。
さらに、遺産分割協議書の作成をお願いすることもできます。
もし、遺産分割協議で揉めそうなら、相続に強い弁護士に相談してはいかがでしょうか。