養子(養女)に相続権はあるか|法定相続分や割合、相続税対策を解説
「養子」は相続できるか?できるとしてもどのくらいもらえるのか?相続税対策としての知識もあわせてご紹介。[続きを読む]
「養子縁組をしたい!」と思っても、実際に養子に迎え入れるために何から手をつけたらよいのかわからないという方は多いのではないでしょうか。
どこに何を届け出ればよいのか? 費用はいったいいくらかかるのか?
本記事では、皆さまがどうすれば親子関係を結ぶことができるのか、わかりやすくご説明いたします。
目次
養子縁組とは、血のつながりのない者同士を法的に親子と認める制度のことです(※)。
養子縁組が成立すると、成立日から、血のつながった親子と同様の親子関係が法的に認められます(民法727条)。
※ただし、父親と血のつながった実子であっても、婚外子(非嫡出子)は、そのままでは法的な父子関係が認められないため、認知によらずに法的に親子関係を発生させる手段として養子縁組を利用することができます。
養子縁組には、「普通養子」と「特別養子」という2つの種類があります。
大きな違いは、養子と実の親の間に、法的な親子関係が続くかどうかです。
普通養子では、養子となっても、実親との法的な親子関係がなくなるわけではありません。
「養子と実親との親子関係」と「養子と養親との親子関係」が併存するのです。
他方、特別養子では、養子縁組によって、実の親との法的な親子関係がなくなります。
特別養子は、虐待された児童や棄て児など、子どもを保護するべき特別な事情があるケースを想定した制度です。
特別養子制度について詳しくは次の記事をご覧ください。
今回は、一般的な「普通養子縁組」の手続きについて説明します。
手続きについてご説明する前に、皆さまが検討されている普通養子縁組は本当に成立可能かどうか、以下の説明を読んで、チェックしてください。
□養親が成人していること。
□養子が養親より年下であること。
□叔父・叔母など尊属は養子にできない。
<未成年者の養子に対して>
□未成年の養子は家庭裁判所の許可が必要(孫や連れ子は例外)。
□既婚者は夫婦共同で未成年の養親となる(連れ子は例外)。
□15歳未満の養子は法定代理人の代諾が必要。
<それ以外のケース>
□既婚者の単独養子縁組には配偶者の同意が必要。
□後見人が被後見人と養子とするには家庭裁判所の許可が必要。
□外国人との養子縁組は家庭裁判所の許可が必要な場合もある。
いかがでしたか?それぞれの条件を満たしていたでしょうか。
次章からはいよいよ具体的な手続きの話に入っていきます。
ここからは、普通養子縁組の手続きの方法に関してです。
養子となる方が未成年者か否かで、読み始める箇所をお選びください。
未成年者のとき→「3-1.未成年者を普通用紙にする」からお読みください。
成年に達しているとき→「3-2.普通養子縁組の市町村での手続方法」からお読みください。
未成年者を普通養子にするには、原則として家庭裁判所の許可を得ることが必要です。
家庭裁判所の許可は、審判によって行われるので、養親となる者が申立人となって「養子縁組許可申立」を行います(家事事件手続法第39条、別表一の61項)。
養子縁組許可の申立ては、以下の2ステップです。
上記の通り、手続き費用として、養子1人あたり800円の収入印紙や、予納郵券を買うための料金がかかります。
予納郵券というのは、裁判所から書類を送ってもらうための切手のことです。必要な切手の種類や枚数は各家庭裁判所によって異なります(数百円程度です)。
不足していると、追加されるまで手続を進めてもらえないことがありますから、必ず提出先の家庭裁判所に電話をして確認してください。
養子縁組許可の申立てにかかる費用は、以上のような雑費のみです。
※戸籍謄本は、現在は正式名称を「戸籍全部事項証明書」といいます。
未成年の養子が許可されるためには、養子縁組を結ぶことが養子のためになるといえなくてはなりません。
そこで家庭裁判所は次の点を総合的に考慮し、判定します。
参考に、許可が下りなかったケースを以下に挙げておきます。
・実際には実親が養育し続け、養親の家名を承継するだけが目的の養子縁組(東京高裁昭和51年4月12日決定・判例時報817号71頁など)
・養親の老後の世話のみを目的とする養子縁組(金沢家裁輪島支部昭和35年6月4日審判・家庭裁判月報12巻9号192頁など)
・寺の後継者とすること等を動機としており、子どもの将来の職業を運命づけてしまい、憲法で保障された職業選択の自由を害する恐れのある養子縁組(新潟家裁昭和57年8月10日審判・家庭裁判月報35巻10号79頁)
家庭裁判所では、当事者の事情を詳細に調べるため、養子本人、実親などの養子の親権者、養子の未成年後見人の陳述を聴取することになっています。
したがって当事者は、家庭裁判所に呼び出されて調査官や裁判官からの質問を受けたり、不明点について書面で紹介をされたり、場合によっては生活環境確認のために住居を訪問されることもあります。
このような調査を経て、裁判官が、養子縁組が養子にとって妥当と判断したときに、未成年の養子縁組を許可する審判が下され、養子縁組許可審判書がもらえます。
養子縁組許可審判書がもらえたら、いよいよ市町村で戸籍を届け出ることができます。
普通養子の養子縁組は、戸籍の届出をすることで効力が生じます(民法799条、739条)。
未成年を養子に迎えるなどといった家庭裁判所の許可が必要なケースでも、家裁の許可を受けただけでは足りず、届出をしないと親子関係は認められません。
届出人となれるのは、養子縁組の当事者である養親または養子です(戸籍法66条)。
ただし、養子が15歳未満のときは代諾者による届出が必須です(戸籍法68条)。
届出先は、養親または養子が届出るときは、その本籍地の市区町村の戸籍係です(戸籍法25条1項)。
代諾者による届出は、その所在地の市区町村の戸籍係です(戸籍法25条1項)。
【PDF】「養子縁組届」はこちらから入手できます。
成人であれば両親や友人、誰でも証人になれます。
【PDF】「養子縁組に関する配偶者の同意書」はこちらから入手できます。
※外国によって養子縁組の取扱いは異なり、戸籍窓口も必ずしも精通しているわけではありません。外国籍の者と養子縁組をする際には必ず事前に弁護士に相談されることを強くおすすめします。
記事途中でも触れましたが、基本的に書類を提出するだけなので費用はかかりません。
但し、前述のとおり、家庭裁判所の許可が必要な場合は別で、収入印紙や郵便料に費用がかかります。
しかし、いずれも手続き費用は低額といえるでしょう。
養子縁組は2種類ありますが、今回は普通養子縁組の手続きについて説明しました。
養子にむかえる者が、未成年者か否か、さらに15歳未満かどうか等によって手続き方法が異なります。
ご自身の状況に合わせて正確に手続をすることが大切です。不安なときは、法律の専門家である弁護士に相談されることがお勧めです。
普通養子の養子縁組の場合、養親または養子になる人が、「養子縁組届」を市区町村の戸籍係に提出します。
未成年者を普通養子にするには、養子縁組届を提出する前に、原則として、家庭裁判所の許可を得ることが必要です。
大人同士の養子縁組であれば、市区町村の役場に養子縁組届を提出するだけですので、費用はかかりません。
未成年者を養子にする場合は、家庭裁判所での許可を得るために、手続き費用として、養子1人あたり800円の収入印紙と、返送用の郵便切手の料金がかかりますが、両方合わせても1000円ちょっとです。
普通養子と特別養子の大きな違いは、養子縁組をした後、養子と実の親との間に、法的な親子関係が続くかどうかです。
普通養子では、養子となっても、引き続き、実親との法的な親子関係が存続します。
他方、特別養子では、養子縁組によって、実の親との法的な親子関係がなくなります。
特別養子は、虐待された児童や棄て児など、子どもを保護するべき特別な事情があるケースを想定した制度です。