初めてのエンディングノート|書き方は?いつからはじめる?

はじめてのエンディングノート

2010年に「終活」が流行語大賞にノミネートしたことをきっかけに、近頃は、自分の死とポジティブに向き合う風潮になってきています。

本記事では、終活の一環ともいえる「エンディングノート」について、そもそもエンディングノートとは何かというところから、その書き方やメリットまでご説明いたします。

1.エンディングノートとは

1-1.エンディングノートは、人生記録

エンディングノートとは、自分の人生の終わりについて考えながら、自分の願いや身のまわりのことについて整理して綴っていくノートのことです。
人生の終わりに向かって活動する「終活」の一環として、「終活ノート」とも呼ばれます。

対して「遺言書」は遺産分割に関する法的な拘束力のある文書、「遺書」は死を目前にして自分の気持ちを述べる手紙なので、エンディングノートとは似て非なるものです。

1-2.エンディングノートはいつから書くか

エンディングノートを書き始めるのは何歳からでもかまいません

高齢者の方は特に書くことをおすすめしますが、若い人にだって、いつ何が起きるかわかりません

エンディングノートは、遺言書と違って修正も簡単にできます
書いた後に変化があればその都度アップデートしていけばよいだけなので、「今の自分を記録する」という軽い気持ちで書いてみてください。

2.エンディングノートの書き方

エンディングノートを書くときに考えるのは①何に書くかと、②何を書くかです。

2-1.何に書くか、ツールを決めよう

エンディングノートを書く際に何を用いるか、ツールは皆さんの自由です

「ノート」というくらいですから、もともとは紙のノートが一般的でしたが、最近ではアプリでの記録もできるようになってきています。

下で、それぞれのメリットとデメリットを比較しました。
どちらがご自分に合っているか、検討してみてください。

メリット デメリット
ノート ・手書きだと考えがまとめやすい
・レイアウトが自分で決められる
・閲覧するのにログインなど手間がかからない
・保管に注意しないと、第三者に見つかって紛失、改ざん、破棄されるおそれがある
・火事などの災害に弱い
・かさばる
アプリ ・スマホで簡単に記録できる
・持ち歩きできる
・火事で焼失等しない
・日常生活で紛失しにくい
・閲覧にパスワードが必要なのでいざというときに家族が見られない可能性がある
・パスワードが漏れると第三者に遠隔操作で不正アクセスされるリスクがある
・何らかの機械トラブルでデータが消失するおそれがある

2-2.何を書くか、内容を決めよう

書く内容や形式についても、もちろん自由です。テンプレートもありません。
しかし、一般的に書くべきといわれていることをまとめておきます。

自分のプロフィール

自分の名前、生年月日、血液型、住所などの基本情報を書きましょう。
誰のエンディングノートかが他者からみて明確になりますし、本人の気持ちからしても、ノートのはじまりとして「この記録の主人公は自分だ!」と宣言した気分になれるはずです。

自分が死んだときの希望

これがエンディングノートを書く醍醐味といえます。
自分に万が一のことがあったらどうしてほしいかの希望を書きましょう。

考えられる項目としては、以下のものがあります。

□ペットはどうするか
□通夜や葬式はどう執り行うか
ex.)「通夜は家族だけで慎ましく執り行ってほしい」
□納骨や埋葬はどうするか
ex.)「永代供養してほしい」
□臓器提供、延命治療に応じるか
□遺産分割について(ただしノートに書いても法的拘束力はないので自己整理用にとどめる、正式なものとしては遺言書を必ずのこすこと)
□遺言書はあるか、あるなら保管場所はどこか
□解約してほしいサービス・そのIDやPW

親しい人の連絡先

もし自分が亡くなった場合、誰に連絡してほしいかを書いておきましょう。
その人たちの名前や電話番号、住所等を綴っておくことで、きっと遺族の方が連絡をしてくれるでしょう。

現在持っている資産について

自分が持っている資産は、自分が一番よくご存知のはずです。
資産についてノートに整理しておくことで、後々ご遺族がずっと把握しやすくなりますから、遺される方のためにも記録しておきましょう。

□複数の銀行口座の預貯金
□不動産
□株式 など

お金や物の貸し借り

人にお金や物を借りたり、あるいは貸したりしている場合は、記載しておきましょう。
そうすることで、自分に万が一のことがあっても、借りっぱなしや貸しっぱなしを防ぐことができるかもしれません。

人生記録

遺族の方には直接の関係はないかもしれませんが、せっかくの自分の人生ノートです。
自分がどんな人生を歩んできたのか、この機会に振り返ってみるのもおすすめです。

書いているうちに、「そういえばこんなこともあったなあ」「自分はこんな人間だったんだ」という新しい発見もあるかもしれません。

記録の方法としては、自分の年表をまとめてみたり、あるいは日記のように、振り返って思いついたことをつらつらと書き並べてみたり、なんでもかまいません。

メッセージ

自分に万が一のことがあった時に、見てほしい家族や友人へ感謝の思いを綴りましょう。
普段は面と向かって言えないことも、文章でなら書けるかもしれません。

3.エンディングノートを書くメリット4つ

エンディングノートを書くメリットを、4点挙げてみました。

3-1.万が一のことがあったときのための備えになる(未来)

最大のメリットは、自分が万が一亡くなったときにどうしてほしいのか希望を伝えられることでしょう。

死後に自分の意思を反映できるだけではなく、遺された方々にとっても大変助かります

年をとるにつれて物忘れが激しくなっていくこともありえますから、覚えているうちに、「こうしてほしい」と思ったことはどんどん綴っていきましょう。

3-2.自分の人生の振り返りができる(過去)

自分が何者として生きてきたかを振り返るチャンスは、普段の生活ではなかなかありません。
しかし、エンディングノートを書くことで、これまで歩んできた道を思い返すことができます。

たとえば、受験のとき、入社したとき、結婚したとき、子供を授かったとき…自分の人生におけるターニングポイントについて書いてみるのはいかがでしょうか。

自分の生きてきた証がいっぱいつまった、素敵なノートになるはずです。

3-3.いまの自分の気持ちを整理できる(現在)

死はいつかは誰しもに訪れるものですが、とても恐ろしく、本来であれば目をそむけたくなってしまうものです。
しかし、エンディングノートを通じて自分の人生の終わりを想像することで、冷静に自分の死や、ひいては現在の自分とも向き合うことができます。

せわしない毎日を送る現代人にとって、「いまの自分はどんな精神状態か?」「死ぬことについて自分はどう思っているのか?」といったことを整理する貴重な機会になるのではないでしょうか。

3-4.遺された人へのメッセージが綴れる

死ぬ前に、家族や友人に感謝の思いを伝えたいと思われる方は多いはずです。

エンディングノートは、必ずしも死期を目前にしているわけではありませんから、遺書よりもずっとライトに、周囲の人への思いのたけを綴ることができます。

4.エンディングノートを書くときの注意点3つ

4-1.法的な拘束力はないことを忘れずに

前述したように、エンディングノートには法的な拘束力はありません

ですから、たとえエンディングノートに「〇〇には相続させたくない」と書いても、法的に定められた形式にのっとった遺言書ではない以上、無効になってしまいます。
決して、遺言書代わりにはしないように注意してください。

遺産の相続については、エンディングノートでご自分の財産について整理した上で、弁護士と相談しながら遺言書を作成するのが理想的といえます。

4-2.ていねいな字で書こう

いくらエンディングノートが自己整理のノートだといっても、いざというときに他の人が読解できなかったら、意味をなしません
特にID・パスワードやメールアドレスなどは、一文字違えば、せっかくの記録がなんの役にも立たなくなってしまいます。

あくまで自分の死後、家族の方などがノートを手にするということを想像して、きれいに書くことを心がけましょう。

あまり字に自信のない方は、アプリの使用や、ワープロを用いてみるのも良い手です。

4-3.エンディングノートの保管には十分注意しよう

エンディングノートは自分の利用するサービスのIDやパスワード、他人の連絡先など、細かい情報を記入する場合も多く、第三者に見られれば悪用される危険性があります。

個人情報の集積ともいえるエンディングノートが多くの人に目につくのは大変危険です。
かといって、いざというときに大切な人に見てもらうことを考えると、誰も見つけられないような場所にしまっておくのも賢明ではありません。

エンディングノートを書き終わったら、ぜひ一度、保管の仕方についても検討しましょう

・どこに保管するのがよいか?
・エンディングノートの存在を、あらかじめ信頼できる人には教えておくか?

上記の2点について、必要に応じてご家族等とも話し合いながら、決めてみてください。

5.まとめ

いかがでしたか。
近頃よく耳にするようになってきた「エンディングノート」が、自分の過去・現在・未来と改めて向き合うことのできる素敵なツールだということがお分かりいただけたでしょうか。

本記事で紹介した4つのメリットの他にも、遺産分割について弁護士に相談する際、エンディングノートを持参することで、話す内容が整理され、ぐっと相談しやすくなります。

ぜひ一度、気軽に書いてみることをおすすめします。

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監修
弁護士相談Cafe編集部
弁護士ライター、起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)、行政書士資格者を中心メンバーとして、今までに、相続に関する記事を250以上作成(2022年1月時点)。
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