不動産の相続登記に期限はある?|書類の有効期限、一般的な目安など

souzokutouki kigen

不動産の相続登記はできるだけ早く済ませるのがおすすめですが、具体的な期限はあるのでしょうか。

今回は、不動産の相続登記に法律上の期限はあるのかということを解説した後、相続税申告の時期との関係について、また不動産の相続登記の中で必要になる書類の有効期限についても説明します。

比較的短い記事ですが、相続登記についてより詳しく解説した関連記事なども文中でご紹介していますので、必要に応じてご覧ください。

1.不動産の相続登記に法律上の期限はない

不動産を相続したら、所有権が被相続人から相続人に移ったことを公的に示すための手続き、いわゆる「相続登記」を行わなくてはなりません。

結論からいって、不動産の相続登記に、法律上の期限はありません。
したがって、相続して直ちに登記に済ませなければいけないという義務もありません。

実は、そもそも相続登記自体が義務ではありません。
事実、相続登記を行わずに放置されている不動産が急増しており、問題視されてきています。
とはいえ、義務でこそないものの、相続登記をしないと、様々なリスクが生じるので(後々不動産の売却や賃貸ができないなど)、早く行ったほうがよいです。

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さらに、不動産のうち、土地の相続登記に関しては、早ければ2021年中にも義務化(法律が改正)される予定です。詳しくは以下の記事をお読みください。

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2.「10ヶ月」が一つの目安になる

前述の通り、不動産の相続登記に法律上の期限はありませんが、実務的に考えた場合、被相続人が亡くなって10ヶ月以内が一つのめやすともいえます。

その理由は、相続税申告の期限が被相続人の死後10ヶ月以内と決められているためです。
通常、相続税申告の前に遺産分割協議をしますから、それと同時に不動産についても話し合い、相続登記を済ませることが一般的でしょう。

ただし、相続税申告の義務があるのは、被相続人の遺産額が基礎控除額よりも上回るときです。
基礎控除額は、3000万円+(600万円×法定相続人の数)です。

もちろん、相続登記はもっと早く行うに越したことはないのですが、相続税申告の手続きのことも考えると、10ヶ月という期限が事実上、一つの基準にもなっています。

3.不動産の相続登記をするには

相続登記は早く行ったほうがいいということは再三にわたり申し上げている通りです。

では、実際にどうやって不動産の相続登記をするのか、簡単に手順を確認してみましょう。

相続登記の流れ

  • ①被相続人の所有不動産の洗い出し
  • ②遺産分割協議などで相続人を決める
  • ③必要書類の収集
  • ④法務局で申請・相続登記の手続きを行う

上記の流れの中で、被相続人や相続人の戸籍謄本や除籍謄本、原戸籍といった戸籍関連書類をはじめ、不動産取得者の住民票など様々な書類が必要になります。

どんな書類が必要か、書類の内容や取得場所については、以下の記事でケース別にまとめていますので、ぜひご覧ください。

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それでは、これらの必要書類に有効期限はあるのでしょうか。

4.必要書類に有効期限はあるか

相続登記の必要書類には、基本的に有効期限はありません。

ただし、以下のことにご注意ください。

保存期間が5年の書類

住民票の除票や戸籍の附票は、市町村役場での保存期間が5年になっています。

そのため、被相続人の死後5年以上経過してから相続登記を行おうとしても、入手できない可能性があるのです。

住民票の除票や戸籍の附票がなくても、相続登記の手続きを行うことは可能ではありますが、その場合自分で登記するのが困難なので、司法書士などの専門家に依頼することになると考えられます。

発行時期が定められている書類

固定資産評価証明書など不動産に関する必要書類は、基本的に最新版(相続登記申請当時の年度のもの)が求められます。
さらに、戸籍関連書類については、被相続人が死亡した日以降に発行されたものに限られます。

ということは、必要書類だけ先に集めておいて、ずっと後になってから相続登記の手続きを行うということは不可能なのです。

やはり、被相続人が亡くなったらすみやかに相続登記を完了させるのが最善でしょう。

5.まとめ

本記事では、不動産の相続登記に期限はあるかどうかについて解説してきました。

相続登記に法定の期限はありませんが、早く行うに越したことはありません。

ただし、相続登記に必要な書類を集めたり、それを法務局に行って自分で提出したりするのは、意外と骨の折れる作業です。
特に必要書類に漏れや誤りがあっては大変です。

相続登記の手順に不安の残る方や、忙しくてどうしても時間に余裕がないという方は、ぜひ、司法書士や弁護士などの専門家に相談することも視野に入れてみてはいかがでしょうか。

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監修
弁護士相談Cafe編集部
弁護士ライター、起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)、行政書士資格者を中心メンバーとして、今までに、相続に関する記事を250以上作成(2022年1月時点)。
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