遺産分割協議証明書とは|協議書と何が違う?<書式ひな形あり>

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遺産分割協議が成立した後、相続手続きを行うためには、成立した協議内容について証明する書類を作成しなくてはなりません。

この証明書類には「遺産分割協議書」と「遺産分割協議証明書」があります。

本記事では、後者の「遺産分割協議証明書」とは何か、協議書とは何が違うのかというところから、証明書を作るメリットや、実際の書式についても解説します。

遺産分割協議証明書を作成しようかと考えている方や、あるいは他の相続人から突然遺産分割協議証明書が送られてきてお困りの方は、ぜひご参考にしてください。

1.遺産分割協議証明書の効力|遺産分割協議書と何が違う?

1-1.遺産分割協議証明書とは

遺産分割協議証明書は、遺産分割協議の内容について対外的に証明する書類のことです。
相続手続きの際、相続税申告や遺産の名義変更などで必要になります。

効力としては、遺産分割協議書の効力と同じです。

遺産分割協議書との違い

遺産分割協議書との違いは、主に下記の4つです。

  • ①遺産分割協議証明書は1人の署名押印でOK
    相続人全員の署名押印が必要(ひとりでも欠けていたら無効)な遺産分割協議書とは異なり、遺産分割協議証明書は1人(自分だけ)の署名押印で足ります。
  • ②遺産分割協議証明書に記載するのは一部の協議内容でもOK
    遺産分割協議書は成立した協議内容全てを記載する必要がありますが、遺産分割協議証明書は署名押印する人が相続する財産のみについての記載でも有効です(ただし④に注意)。
  • ③遺産分割協議証明書は相続人数分必要
    遺産分割協議書は1枚で複数の相続人の手続きに使い回せますが、遺産分割協議証明書は相続人の人数分必要です。つまり、Aさんの署名押印による遺産分割協議証明書でBさんが相続手続きを行うことはできません。
  • ④自分の相続分だけを記載した遺産分割協議証明書では登記できない
    ②でご説明したように一部の財産のみを記載することもできますが、不動産の登記については原則として全員の書面内容が揃っている必要があります。
    そのため、相続財産に不動産が含まれている場合は、すべての協議内容を記載し、全員で証明書の内容を揃えるようにしましょう。

実際の相続においては、相続人の中の取りまとめ役が、各相続人に遺産分割協議証明書のひな形のデータをメール等で送り、プリントアウトして作成→返送してもらう、等の方法をとって利用されています。

なお、遺産分割協議書については以下の記事をお読みください。

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1-2.遺産分割協議証明書を作成するメリット

遺産分割協議書ではなく、あえて遺産分割協議証明書を作成するメリットとしては、以下が挙げられます。

  • 1人の署名押印で足りるので、遺産分割協議書よりも早く、簡単に作れる
  • 遺産分割協議書の回覧中に生じる可能性がある紛失や、対応が遅い一部の相続人による遅滞のおそれがない

1-3.遺産分割協議証明書が役立つケース

相続税の申告が必要なとき

相続税の申告が必要となる場合、遺産分割協議証明書(または遺産分割協議書)は、申告時の添付資料として必要になります。いっぽう、相続税の申告および納付は、相続発生から10ヶ月以内に完了しなくてはなりません。

遺産分割協議書では相続人全員分の署名押印を得るために、相続人間で回覧しなくてはならず、申告期限に間に合うかどうかが心配です。
この点、遺産分割協議証明書であれば個人が作成できるので、迅速な手続きが望めます。

相続人が多かったり、離れて暮らしたりしているとき

また、相続人の人数が多かったり、相続人同士が離れて暮らしていたりするケースも多いのではないでしょうか。
多数の相続人、あるいは遠方にいる相続人に遺産分割協議書への署名押印を求めるのは、面倒な作業です。先述の通り、回覧中に紛失したり遅滞したりするおそれがあります。

遺産分割協議証明書であれば、各自で作成・郵送してもらって集めることができるため、便利です。

連絡がつかない、あるいは対応の遅い相続人がいるとき

音信不通な相続人や、あるいは連絡はつくけれども対応が遅い非協力的な相続人がいる場合があります。

全員の署名押印が必要な遺産分割協議書では作業がストップしてしまうところですが、個人で作成できる遺産分割協議証明書であれば、とりあえずその相続人は後回しにして、他の人の分を回収することができます。

2.<書式サンプル付>証明書の書き方

2-1.遺産分割協議証明書の書式

それでは、遺産分割協議証明書はどのように書けばよいのでしょうか。
基本的な書き方は遺産分割協議書と同じです。

下に書式サンプルを掲載します。
サンプルなので、全くこの通りに書く必要はありません。
必要な項目をイメージしやすくするため、A~Gまでのアルファベットを振っています。

前述の通り、遺産分割協議証明書の作成には、➀協議内容すべてを盛り込むか、②自分の相続分についてのみ記述するかの2パターンがあります。

すべての協議内容について記述するとき

ひな形はこちらからダウンロードできます。

画像はクリックで拡大します。

遺産分割協議証明書

記載事項
A:「遺産分割協議証明書」というタイトル
B:被相続人の情報(氏名・死亡日など)
C:「相続人間で記載の通りの遺産分割協議をした」という旨
D:遺産分割協議で決まった内容
E:遺産分割協議証明書の作成年月日
F:作成者の署名(直筆)
G:作成者の押印(実印。作成者1人分だけでよい)

自分の相続分についてのみ記述するとき

ひな形はこちらからダウンロードできます。

遺産分割協議証明書

記載事項
A:「遺産分割協議証明書」というタイトル
B:被相続人の情報(氏名・死亡日など)
C:「記載の通りの遺産分割協議をしたことで相違ない」という旨
D:相続する遺産の詳細
E:遺産分割協議証明書の作成年月日
F:作成者の署名(直筆)
G:作成者の押印(実印。作成者1人分だけでよい)

2-2.遺産分割協議証明書作成の注意点

作成日付はばらばらでも問題ないが、合わせたほうがよい

遺産分割協議証明書を個人で作成すると、日付がばらばらになってしまうかもしれません。
日付が人によって異なっていても、実務上の問題は特に発生しません。
すべての遺産分割協議証明書のうち、最も遅い日付が遺産分割協議の成立日とみなされます。

ただし、日付にばらつきがあっても問題がないとはいえ、相続人間でいつ正式に遺産分割協議が成立したのか共通認識を持っておくためにも、取りまとめ役の人が日付を合わせてもらうなどしたほうが望ましいでしょう。

署名は直筆、押印は実印で

署名は直筆、押印は実印でなくてはなりません。

実印とは、市町村役場で登録している公的な印鑑のことです。

印鑑証明書の添付も必要

上記の実印に関連して、市町村役場で印鑑登録をすると、「印鑑証明書」が発行してもらえます。

相続手続きの際、遺産分割協議証明書の提出先(後述)では、証明書とともに印鑑証明書の提出もセットで求められます。
書類に押されている印鑑が真にその人のものであることを証明するためです。

したがって、相続人の代表者が各相続人から遺産分割協議証明書を集めるときには、同時に印鑑証明書も回収することが通常です。

捨印

署名押印のほか、用紙の右上など、欄外に「捨印」を押すこともあります。
捨印は、書類の記述内容に些細な誤りがあった場合に、訂正印としての役割を果たします。

必須ではありませんが、もしもミスがあったときに郵送し直すのが面倒だという方などは、押しておいたほうがいいでしょう。

ただし、内容を第三者に書き換えられるリスクはありますし、実際に捨印によってどこまで訂正できるのか、明確な範囲基準は設けられていません。
もっとも、捨印は誤字脱字や漢字のミスなど、軽微な誤りの訂正のためにありますから、遺産分割の内容自体など、相当重大な箇所までは訂正できません。そこはご安心ください。

3.遺産分割協議証明書の提出先

遺産分割協議証明書の提出先として考えられるのは、遺産分割協議書と同様です。
たとえば、以下の通りです。

  • 税務署…相続税の申告時に必要です。
  • 法務局…不動産の相続登記時に必要です。
  • 金融機関…預貯金の名義変更や払い戻しの手続き時に必要です。
  • 陸運局…自動車の名義変更時に必要です。
  • 証券会社…口座名義変更時に必要です。
遺産分割協議証明書のよくある疑問
  • Q.遺産分割協議証明書は何枚必要?
    先述の通り、遺産分割協議証明書は、遺産分割協議書とは異なり、手続きをするためには相続人全員分を集めなくてはなりません。

    つまり、問いに対しては、相続人分の遺産分割協議証明書の作成が必要だと答えられます。
  • Q.突然、遺産分割協議証明書が送られてきたら?
    突然、遺産分割協議証明書が送られてきて、署名押印が求められる可能性もあります。

    こういった場合、他の相続人と疎遠であまり面識がない場合など、勝手な協議内容で送られてきている可能性もありますから、安易に署名押印をしないようにしてください。一度署名押印をしてしまうと、後から取り消すのは困難ですから、ご注意ください。

    遺産分割協議証明書が送られてきたら、まずは内容の真偽と妥当性をよく吟味して、少しでも不服な点や不安なことがあれば、弁護士に相談することがおすすめです。

    自分が本来相続するべき相続分がどのくらいか算出するとともに、法的根拠に立って主張してくれます。

4.まとめ

本記事では、遺産分割協議証明書についてご説明してきました。
遺産分割協議証明書は遺産分割協議書と効力としては同じですが、個人で作れるという点で、相続人同士が各地に散らばっている場合などに便利です。

遺産分割協議証明書が突然送られてきたら、焦って署名押印をせずに、内容を精査して、困ったら弁護士に相談してアドバイスをもらうようにしましょう。

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