遺言書が無効となる5つのパターンと公正証書遺言が無効になるケース

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遺言書-無効

遺言書は非常に効果的な相続対策ですが、一つ間違えると遺言書自体が無効となってしまいます。
自筆証書遺言が無効となりやすい5つのパターンについてご紹介するとともに、その理由と対策も踏まえて解説致します。

遺言書が無効となるパターン1:遺言書に日付がない

非常に初歩的な事ですが、自分自身で遺言書を書くと遺言書に日付を書き忘れる人が多くいます。遺言書はいつそれが書かれているのかが非常に重要となるため、日付がない遺言書は「無効」となります。民法にも遺言書には日付を書かなければならない、とはっきり規定されています。

民法968条1項
「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」

ちなみに日付は、普通、年月日で示しますが遺言書を作った日付が特定できれば問題ありません。そのため、例えば「還暦の日」などでも問題ありません。ただし、よくあるミスとして「○年○月吉日」と書く人がいますが、これでは日時が特定できないため遺言書は無効となります。
いずれにせよ、遺言書にはそれを書いた日時をはっきりと記載するということを覚えておきましょう。

遺言書が無効となるパターン2:加筆/修正の手順間違い

遺言書を書いていて書き間違える方がいらっしゃいますが、この際に単に二重線を引いて書き直しただけではその効力が生じないため注意が必要です。遺言書を書き間違えた際の加除(加筆/修正)については、一般的な文書の訂正よりも非常に厳格なことが法律で要求されているため注意が必要です。詳しくは次のような手順となります。

民法968条2項
「自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない」

たとえば四行目の「山田花子」を「山田華子」に修正する場合は、まず「花」の字に二重線を引いて横に「華」と書き押印をします。さらに、遺言書の末尾や空きスペース等に「四行目一文字削除し一文字追加した」と追記し自筆で署名します。

これらの一つでも欠けると加除の効力が生じません。そのため、万が一遺言書を書いている最中に書き間違えた場合は、できる限り全部始めから書き直すことをおすすめします。

遺言書が無効となるパターン3:パソコンで作成した遺言書

これも意外にご存知ない方が多いのですが、自筆証書遺言は本人が全文を直筆で書くことが前提ですから、パソコンのワードなどで作成して印刷したものはすべて無効となります。これは、打ち出した用紙に署名押印したとしてもダメです。それくらい遺言書には厳しい要件があるのです。

「でも知り合いの人がワープロで遺言書を作っても有効だと言ってたよ」
なんていう人が時々いますが、それはきっと「秘密証書遺言」のことです。秘密証書遺言の場合は、ワープロで打ち出した遺言書を公証役場に持ち込んで所定の手続を経て作成する遺言書で、自分一人でも作成できる自筆証書遺言とは方式が異なりますので注意しましょう。
自分単独で作成する遺言書は、必ず直筆でなければならないということを覚えておきましょう。

遺言書が無効となるパターン4:不明確な遺言書

遺言書はそれをもって相続財産の名義変更手続を行なうため、分割内容を記載する際には、どの財産のことなのか誰が見ても明らかに分かるような書き方をする必要があります。

例えば、不動産であれば事前に登記情報を取り寄せて登記簿に記録されている所在、地番、地目、地積、家屋番号、構造、床面積などを正確に記載する必要があります。地番と住所表記は異なりますので、通常の住所表記で遺言を書いてしまうとどの土地や建物か特定できず無効になることもあります。

そのため、記載が曖昧で不明確な箇所がないように注意しましょう。

遺言書が無効となるパターン5:他人の意思の介在が疑われる場合

遺言書自体が有効なものでも、一部の相続人から「遺言無効確認の訴え」を起こされるケースがあります。たとえば、被相続人が死亡時にすでに認知症だったとします。もしも、自筆証書遺言が見つかった場合、このようなケースでは、遺言書を書いた時期によっては、その遺言書が本当に本人の正常な意思で書かれたものかどうか疑問をもたれる可能性が出てきます。
極端な話、一部の推定相続人が認知症の両親をうまくそそのかして遺言書を書かせたと疑われる可能性もあります。
遺言書がいくら適切な体裁を整えていたとしても、遺言書作成当時に本人に遺言能力がなかったのであればその遺言書は無効となります

このように、被相続人の遺言能力をめぐって相続人間で争いが起ると、これを証明することは容易ではないため、場合によっては長期戦になる可能性があります。

そこで対策として、一部の法律事務所では遺言書を作成する様子の一部始終を動画で録画し証拠として保管しておくという方法をとっています。
これにより、遺言書を書いている時、本人に遺言能力があったことを客観的に証明できる重要な証拠となります。

遺言書作成は弁護士に依頼するのが得策

これらのミスは、自分一人で遺言書を作成すると非常に発生しやすい傾向にあります。一生のうちに遺言書を書く機会というのはほぼ一度しかないわけですから、ミスが出て当然と言えば当然なのかもしれません。ただ、万が一無効となってしまえば、その後の相続人の人生がそれによって変わってしまうかもしれません。

大げさに思うかもしれませんが、遺言書が有効か無効かは、相続人からすれば死活問題なのです。ですから、遺言書を書く際には、多少、弁護士費用がかかったとしても、専門家である相続に強い弁護士に相談してリーガルチェックをしてもらうことを強くお勧めします。

公正証書遺言が無効になることも

自筆証書遺言は自分で書くため形式的に間違っていて無効となる問題が起きますが、最も確実な方法として用いられているのが「公正証書遺言」です。公正証書遺言は、公証役場において、公証人という元裁判官などの専門家によって作成される極めて確実な遺言書です。
その証拠に、公正証書遺言の場合は相続開始後に家庭裁判所の「検認」を受けることなく、即座にその内容を執行することができます。
そのため、確実に遺言を残したい人は、公正証書遺言を用いることとなりますが、実は公正証書遺言でもなんと無効となってしまうケースがあります
具体的にどんな原因によって公正証書遺言が無効とされてしまうのでしょうか。

公正証書遺言が無効になるケース1:遺言能力なき遺言書は無効

公正証書遺言は、作成の際に公証人のほか証人2名も立ち会うため、一見すると隙のない完璧な遺言書のように感じるかもしれませんが、実は一つだけ抜け道があります。
公正証書遺言の作成自体は、法律のプロである公証人が行なうため、それ自体に記載ミスが生じることはまずあり得ません。問題となるのは、その公証人が作成した遺言書の内容を遺言者に確認するときに生じます。

法律上は、遺言者が口頭で遺言書に記載したい内容を公証人に伝え、それを聞きながら公証人が遺言書を作成します。これを「口授」と言います。けれども、実際は当日の流れをスムーズにするため、事前に公証人と一度遺言書の記載内容について打ち合わせをして、そこでほとんどの内容を固めてしまいます。

公正証書遺言の作成を弁護士などの専門家に依頼をすると、ここの部分については全部弁護士が行なってくれるため、実務上は、作成日当日に関してはほぼ遺言書の素案が出来上がっている状態であり、その内容を公証人が遺言者に読み上げて確認し、これで問題ないかどうか訪ねる程度で終わります。
そのため、極端な話、遺言者が「はい」と言える能力さえあれば、公正証書遺言は作成できてしまうのです。
ここが最大の落とし穴です。

ということは、遺言者自身が認知症やアルツハイマーだったとしても、公正証書遺言が形だけ完成してしまうことがあるということなのです。
よって、将来的に遺言書が見つかってその作成日を知った相続人から「すでに認知症だった時期なのに、遺言書が書けるはずがない」などと言った反発が生じ、遺言無効確認の訴えなどが起るのです。
このようなケースにおいては、一部の相続人予定者が、遺言者を巧みに操り、公正証書遺言を作成させているような場合があります。
遺言書自体の体裁がいくら適切なものであっても、作成当時に遺言能力がなかったことが証明されれば、その公正遺言書は根底から覆り無効となってしまうのです。

そのため、より確実な公正証書遺言とするのであれば、必ず自分自身の口から遺言内容を公証人に伝える「口授」の手続を確実に行なう必要があるでしょう。

公正証書遺言が無効になるケース2:不適格な証人を立てると無効になることも

公正証書遺言を作成する際には、必ず2名の証人を自分自身で手配しなければなりません(弁護士に作成を依頼すると、弁護士が手配してくれることもあります。)

証人には特別な資格は必要ありませんが、次に該当する人は証人になれません

  1. 未成年者
  2. 推定相続人、受遺者、その配偶者、直系血族
  3. 遺言を作成する公証人の配偶者、四親等内の親族、公証役場の職員

万が一これらに該当する人を証人として立ちあわせて公正証書遺言を作成してしまうと、その時はバレなくても、将来遺言書を執行する際に、他の相続人から指摘され無効となってしまう場合があります。
そのため、自分で証人を手配する際には、絶対にこれらに該当しない人にお願いするよう心がけましょう。

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