親族間の遺産分割協議でもつれたら?調停委員とは?

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遺産調停

亡くなった方に多くの相続財産がある場合、残された家族の間で財産をめぐるトラブルが生じることは珍しくありません。

亡くなった方が遺言を残していればスムーズに遺産分割が進むことが多いのですが、日本では遺言についての手続きが非常に複雑になっているため、実際にはたくさんの財産を持っている人が遺言を残さないまま亡くなってしまうケースが大半です。

その場合には、残された親族の間の話し合い(遺産分割協議)によって財産分配のルールを定める必要があります。

1.遺産分割協議がうまくまとまらないときは?

親族間でのお金の話し合いというのは感情がからんで冷静な議論ができなくなってしまいがちです。
故人の生前はあんなに仲の良い家族だったのに、お金の問題がからむとこんなに関係が悪化するなんて…というケースは本当によくあることなのです。

親族間での遺産分割協議がどうしてもうまくまとまらない…という場合には裁判所に間に入ってもらう方法があります。
具体的には「調停」といわれる手続きのことで、遺産分割協議についての調停の場合は「遺産分割調停」と呼ばれます。

ここでは、裁判所に遺産分割調停を申し立てた時に選任される調停員とはどんな人なのか?具体的な調停の手続きはどのように進めて行けばいいのか?について解説させていただきます。

2.調停委員とは?

裁判所に調停手続き開始の申し立てを行うと、裁判所は裁判官とともに複数人の「調停委員」という人を選任してくれます。
調停委員というのは裁判所に非常勤で所属しているスタッフのことで、トラブルになっている当事者間の話し合いがスムーズにいくように支援をしてくれる人たちのことです

調停委員になるための資格は、裁判所の規則である「民事調停委員及び家事調停委員規則」があります。
これによると調停委員として裁判所から選任される人は弁護士資格を持っている人や、民事事件や家事事件の解決に役立つ専門知識(医師や専門分野の研究者など)、社会経験が豊かな人たちです。

いずれの調停委員も裁判所内部で研修を受けることを義務付けられていますので、遺産分割調停をスムーズに進めるための知識を備えています。
なお、調停委員になることができるのは40歳以上70歳未満の人です。

3.調停委員になるのはどんな人?(遺産分割における場合)

遺産分割協議の時に実際に調停委員となってもらうのは基本的に弁護士資格を有する人です。

遺産分割の調停では、相続財産の調査や、法律上相続人となる人の要件などについて法律的な知識が必要になりますから、これらの実務経験がある弁護士の人が選任されることが多いです。
実際には、弁護士会に所属する弁護士の中から要件を満たす人が各地の家庭裁判所に対して紹介され、家庭裁判所が最高裁判所に対して推薦という形で候補をしぼります。

最終的に最高裁判所がその推薦に基づいて調停委員を決定します。

4.調停の申し立てに必要な費用は?

調停の申し立てを行うためには、裁判所に対して申し立て費用を支払わなくてはなりません。

調停の申し立て費用は、「被相続人(亡くなった人)1人につき1200円」と「裁判所から連絡書類を送るための郵便切手代」となります
申し立て費用は収入印紙を購入して納入する必要があります。
また、納める郵便切手代は各地の裁判所によって異なりますが、500円の郵便切手を4枚、100円の郵便切手を2枚…という形で合計3000円程度になることが多いです。

5.調停委員とはどう接すればいい?

調停委員はトラブルを解決するために裁判所から選任される人たちですので、提出を求められた資料等についてはきちんと対応するようにしましょう。
遺産分割についてのトラブルというのは、当事者間で意見が食い違っていることが原因で起きるものですから、双方が自分の主張を100%通してもらうことだけを考えていては解決しません。

調停手続きは刑事事件とは違いますから、「誰が正しい」ということを決める場ではなく、「どうすれば当事者全員が一番不満が少ない形で解決することができるか?」という視点で望む必要があります。
なお、調停は訴訟とは違いますので、調停手続きの中で過去に主張したことを後から撤回するということは法律上は問題ありません。

しかし、調停の目的はスムーズに遺産分割協議を解決することですから、調停委員から質問を受けた時には慎重に回答をすることが大切です(いったん持ち帰って後日回答するといことも認めてもらえます)
主張の重要な内容について訂正や取り消しを連発してしまうと、あなたの主張そのものの信頼性が低いとみなされてしまう可能性もありますので注意しましょう。

6.調停委員と意見が合わないときは?

とはいえ、どうしても調停委員と意見があわず、遺産分割調停がうまくまとまらないケースは少なからずあります。
裁判所での遺産分割調停がまとまらない場合には、次に「審判」という手続きに移行することがあります(遺産分割については「遺産分割審判」といいます)
遺産分割審判では、最終的に裁判官が職権でトラブル解決の方法について審判という形で解決方法を指事する形になります。

裁判所の審判は一度確定してしまうと後からくつがえすことはできませんから、当初考えていたよりも不利な条件で遺産分割を行うことになっても不満をうったえることができなくなります。

7.遺産獲得を有利に進めるには?

遺産分割調停や遺産分割審判が思うように進まないと、最終的に自分が得られる相続財産が減ってしまう可能性があります。
遺産分割についての手続きを少しでも有利に進めるためには以下のようなポイントに注意しておきましょう。

7-1.主張するべきことはしっかりと主張する

遺産分割協議は家族や親族の間で行われるものですから、「お金の問題についておおっぴらに話すのは恥ずかしい…。相手の機嫌を損ねてしまうかも…」と不安に感じてしまいますよ。
しかし、遺産分割協議や調停の時点でもやもやした感情を残してしまうと、その後の信頼関係をかえって損ねてしまう結果になりかねません。

遺産分割調停に進んでいる場合には、経験豊富な調停委員が当事者間の話し合いがスムーズに進むように調整してくれますから、どういう主張を議論のテーブルに乗せるのか?ということは各当事者が初期段階で明確にしておくことが大切です。

7-2.譲ることができる点と譲れない点を明確にする

故人との関係が濃厚だった人ほど、「誰がどの故人の財産をひきつぐのか」ということに対して感情的になってしまいがちです。

しかし、すべての当事者が「自分の主張を100%通す」という形での紛争解決はあり得ません(それができているケースなら裁判所での調停や審判まで進むことはありません)
利害が対立している当事者間の話し合いで、少しでも自分の利益を大きくなるように議論を進めていくためには、譲れる点と譲れない点を明確にすることが大切です。

例えば、
「相続財産のうちこの土地についてはどうしても譲れないけれど、その代わりに現金の分配は少なくても構わない」、
「最低でもこれだけの金額は相続したい。その代わりに不動産などについては放棄しても構わない」
といったように、譲れない部分を主張する代わりに、譲ることのできる部分を相手に伝えることが考えられます。

調停委員は、当事者のうちの誰がどの相続財産を欲しがっているかということを把握するよう努力してくれますので、あなたの希望を調停委員に伝えた上で交渉のあっせんをしてもらうようにしましょう。

7-3.弁護士に相談するのが安全

遺産分割の手続きは「何から始めたらいいのかさっぱりわからない…」という状況になってしまうのが普通です。
遺産分割協議にはタイムリミットがあり、多額の相続財産がある場合には、相続人の間で話し合いが解決していなかったとしても相続税の納付義務が発生することがあるということも認識しておく必要があります。
また、相手のことを子供の頃からよく知っているというような場合には、どうしても感情がもつれてしまってうまく話あいが進まないということも珍しくありません。

そのような場合には、最初から弁護士に遺産分割についての話し合いで間に入ってもらうことも検討してみると良いでしょう。
親族間での話し合いではまったくまとまらない…という状況でも、他人の専門家に間に入ってもらうとうまく進むということはよくあるものです。

弁護士に依頼していれば、当事者間での遺産分割協議でうまく話し合いがまとまれば、そのまま遺産分割協議書の作成を行い、スムーズに財産の分配や相続税の申告納付まですすめるというメリットもあります(相続税については提携している税理士の紹介という形になるケースもあります)

仲の良かった親族が遺産分割をきっかけに顔も合わせなくなる…こんな事態は絶対に避けたいですよね。
遺産分割協議の進め方についてわからない点や不安なことがある場合は、無理せずに弁護士に相談することも選択肢に入れてみると良いでしょう。

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