土地相続登記が義務化!所有権放棄や罰則も?不動産相続の影響を解説

registration duty

近年、所有者の分からない空き地等が増えてきています。
これを解消するため、民法と不動産登記法を改正し、相続登記は2024年4月1日から義務化が開始されます。

しかし、そう言われても難しくて何のことだか分からない方も多いと思います。
この記事では、なぜ相続登記を義務化するのか、義務化によって相続はどう変わるのか、解説していきます。

1.相続登記を義務化する理由

法務省は、2020年秋の国会には改正案を提出したいようです。

では、なぜ今わざわざ相続登記を義務化するのでしょうか。
それにはいくつかの理由があります。

1-1.所有者不明の土地が増えている

実は、近年日本では所有者の分からない土地が増えており、今後も増加する見込みになっています。
一般財団法人国土計画協会の調査によれば、2016年時点で約410万ヘクタール(以下、全て統計的推計値)とされています。
ピンとこないかもしれませんが、九州本島よりも広い面積と言われると、いかに広大な土地が所有者不明になっているか分かると思います。

また、現在土地を所有している人は高齢者が多いこともあり、今後2040年までには約720万ヘクタールにまで増大する見通しです。
これは北海道本島の土地面積に近い大きさです。

1-2.所有者不明の土地が多いと何が困る?

所有者不明の土地は色々な弊害があります。

管理できず環境が悪化する

身近の分かりやすい問題は、土地の管理が放置されることで荒れ放題になり、周辺環境の悪化、衛生面での不安などがあります。
また、そうした問題を解決するために国や自治体等が対処しようとしても、使用者が分からない土地を勝手に管理したり利用したりすることは、現在の法律ではできません。

必要なときに利用できない

更に、国や自治体の観点から言えば、例えば土地の再開発や住環境の整備、公共事業での利用でも、やはり妨げとなります。
本来土地には固定資産税という税金がかかりますが、その徴収もできません。
また、そもそも国が所有者を探すこと自体のコストもかかります。

使えないこと自体が損失

機会損失という言葉がありますが、土地は本来であれば何らかの有効利用ができるはずです。
そうした有効利用ができず、所有者不明のまま荒れ放題になっていること自体が、言ってみれば「もったいない」状態ということです。

損失は年1800億円以上

上記のような様々な問題を総合すると、2016年時点での損失は年間で約1800億円にもなります。
2040年までの累積損失は約6兆円になると試算されています。

2.相続登記が義務化されるとどうなる?

2-1.所有者不明の土地が増えなくなる

これまでご説明してきたような理由から、法務省が民法と不動産登記法の改正を検討し、その中に相続登記の義務化も含まれています。

従来、相続が発生しても登記は任意であり、手続きが面倒といった理由から相続登記をしない人が多くいました。
実際に、相続の手続きが面倒で放置した結果、相続人が数十人にまで膨れ上がったり、土地の書類上の(登記簿上の)所有者の住所に満州国と書かれていたりと、土地等の不動産関連の相続は混乱しています。

相続登記を義務化することで、これ以上所有者不明の土地が増加しないようにするねらいがあります。
(登記官の調査権限など、その他の対策も検討されていますが、ここでは割愛します)

2-2.相続登記の義務化で相続人への影響は?

では、相続登記が義務化されると、私達の相続にはどのような影響が出るのでしょうか。

現在のところ、相続が発生しても、土地を始めとした不動産の登記は任意です。
つまり、現実的には土地を放置することも、相続しても登記はしないということができてしまいます。

しかし、相続登記が義務化されると、土地を放置することは許されず、相続したらしっかり登記もしなければなりません。
こう聞くと面倒にも思えるかもしれませんが、しっかり登記がされていれば、私達の相続で「誰か分からない相続人が数十人いる」といった事態にもなりません。
長期的に見れば、相続手続きの混乱を避け、トラブルを起きにくくする制度とも言えます

また、相続登記の義務化には罰則も検討されているため、相続開始から一定期間内に登記しない場合には罰則があり得ます。
罰金または過料で10万円以下や5万円以下が検討されています(懲役や禁錮ではない)。

2-3.義務化で相続登記の手続きは簡単になる

現在の原案では、ただ義務化するだけでなく、相続登記の手続を簡単にし、私達が利用しやすい制度にすることも検討されています。

例えば、現在では相続登記は全ての相続人の同意のもとで行う必要があり、戸籍等の書類も多いため、かなりの手間がかかります。
しかし、改正原案では、自分が相続人だと証明することで、とりあえずの登記ができる制度になっています。

3.相続登記義務化と検討されている改正ポイント

ここまでのご説明で、相続人からすると面倒になるだけのようにも思えますが、実は相続登記の義務化と併せて他の法改正も検討されています。
例えば、土地の相続登記義務化の他、土地所有権の放棄や、遺産分割の期間制限などです。

簡単に言えば、面倒で放置されていたり価値が低くて相続したくなかった土地について、しっかり相続登記をしたうえで、いらない土地として所有権を放棄できるようにする、という制度になるようです。

また、遺産分割も面倒だったり、他の相続人が分からなかったりして放置されてしまうことがあるため、10年という期限が設けられる見込みです。
この期限をすぎると、法定相続分に従って分割するという案が検討されています。

4.相続登記義務化のまとめ

相続登記が義務化される背景と影響を簡単にご説明してきました。

近年、民法の相続分野が改正されたり、戸籍法が改正されるなど、相続に関連する制度改革が進んでいます。
他人事と思わず、自分が相続するときのためにしっかりとアンテナを張っておきましょう。

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監修
弁護士相談Cafe編集部
弁護士ライター、起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)、行政書士資格者を中心メンバーとして、今までに、相続に関する記事を250以上作成(2022年1月時点)。
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