すぐにわかる甥・姪(兄弟姉妹の子)の代襲相続|イラスト付解説

本来、お父さんやお母さんが相続するはずだった、おじさんやおばさんの遺産。
しかし、すでにご両親が亡くなっているケースでは、代わりに子どもが相続できるのでしょうか。

本記事では、兄弟姉妹の子ども(甥や姪)は代襲相続できるのか、イラストを用いながらわかりやすく解説していきます。

1.被相続人の兄弟姉妹の子どもも代襲相続できる

1-1.被相続人の兄弟姉妹の子供(甥/姪)も代襲相続できる

結論からいって、甥や姪も代襲相続することが可能です

【確認】「代襲相続」とは、相続人となるべき人が被相続人が亡くなるよりも前に他界しているときに、相続人となるべきだった故人の子どもが代わって相続することを指します。

そもそも「代襲相続」とは何か、基礎的なことを知りたい方は、以下の記事をお読みください。

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【図解】甥姪の代襲相続

では、イラストで確認してみましょう。

上の例では、①自分の親→②おじ(被相続人)の順番で亡くなっています。
生きていれば相続人であった親に代わり、私に代襲相続が認められます。

つまり、死亡したおじの遺産は、配偶者であるおばと、姪の私で分けることになります。

兄弟姉妹は相続の優先度が3番目であることに注意

なお、誰に相続権があるかは民法889条で定められています。

いかなる場合でも相続権が認められる配偶者のほか、
被相続人の①子、いなければ②直系尊属(親など)、それもいなければ③兄弟姉妹
の順番で、相続権が回っていきます。

あくまで「兄弟姉妹」の相続順位は3番目なので、上のイラストのような例で、もし被相続人の子や親など、兄弟姉妹よりも優先度の高い人物が生きている場合には、もともと親に相続権がありません。したがって、当然自分も代襲相続もできないことに注意してください。

1-2.代襲相続が認められるには

兄弟姉妹の子も代襲相続できることについてみてきましたが、そもそも、どのような条件が揃えば代襲相続が認められるのか確認しておきましょう。

代襲相続が認められるためには、

  • 相続人となるべき人がすでに亡くなっているか、
  • 相続人となるべき人が被相続人の遺言書を隠蔽するなどの不正(正式には「相続欠格事由」といいます)を行っているか、
  • 相続人となるべき人の非行などを原因に、被相続人によって遺言などで相続権を剥奪されているか(「相続廃除」といいます)

のいずれかの条件を満たすことが必要です。
相続人が相続できない事情がある場合、「相続人になるはずだった人の子」が代襲相続することができます。

ちなみに、相続放棄は代襲相続の成立要因には含まれません
つまり、父親が相続放棄したからといって、叔父の遺産を代襲相続することはできないということです。

2.被相続人の兄弟姉妹の子どもの代襲相続分

では、被相続人の兄弟姉妹の子ども(甥姪)の相続分はどれくらいでしょうか。
親に代わって相続するのですから、その相続分は親がもらうはずだった分と同じです。

すなわち、配偶者:兄弟姉妹=3:1(複数いる場合は人数割り)なので、例をあげると、以下のイラストのようになります。

なお、すべて、①父→②おじの順番で亡くなったものとします。

上の例では1000万円の遺産のうち、配偶者であるおばが750万円、代襲相続人である自分は250万円もらえます。

上の例では1000万円の遺産のうち、おばが750万円、おじと代襲相続人である自分はそれぞれ125万円ずつもらえます。

上は、自分に兄弟姉妹がいて、代襲相続人が複数になる場合です。

1000万円の遺産のうち、おばが750万円、おじが125万円、父の代襲相続人である自分と妹は62.5万円ずつもらうことになります。

 

相続人の範囲と相続分については、以下の記事で詳しくまとめています。

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しかしながら、兄弟姉妹の数が多かったり、遺産が分割しにくいものだったり、相続分を算出するのが困難な場合もあります。

正確な相続分はケースバイケースですから、気になる方は、一度弁護士に相談してみるのをおすすめします

3.代襲相続|再転相続や数次相続との違い

さて、多くの方が代襲相続と混同してしまいがちなのが「再転相続」や「数次相続」です。
これらの語句の違いについて、確認しておきましょう。

代襲相続と、再転相続・数次相続の主な違いは、相続人が亡くなる時期にあります。

代襲相続は、【被相続人が亡くなるよりも前に相続人が亡くなっていること】を必要とします。
いっぽう、再転相続や数次相続は、【被相続人が亡くなった時点では生きていたものの、】被相続人の相続手続きを終わらせようとしている間に自身も亡くなってしまった場合に生じます。

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4.必見!|兄弟姉妹の子の代襲相続に関する注意点

兄弟姉妹の子も代襲相続できるということについてみてきましたが、ここからは必ずチェックしてほしい注意点をまとめていきます。

4-1.兄弟姉妹の子(甥姪)には遺留分がない

まず注意していただきたいのが、兄弟姉妹の子(甥姪)には遺留分がないということです。

遺留分というのは、法定相続人が最低限受け取ることのできる遺産として、民法上保障されている取り分のことです。

第1042条1項
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。
一 直系尊属のみが相続人である場合 三分の一
二 前号に掲げる場合以外の場合   二分の一

ご覧の通り、民法は、兄弟姉妹以外の相続人についてのみ遺留分を認めています。
兄弟姉妹に遺留分がない理由は、親や子どもに比べて、比較的つながりが浅いといえるためです。

したがって、そもそも親に遺留分がないのですから、代襲相続する甥姪にも遺留分はありません。

4-2.兄弟姉妹の子(甥姪)は再代襲相続ができない

更に、兄弟姉妹の子どもは再代襲相続ができません

「再代襲相続」とは、代襲相続を行うはずだった人も亡くなっていた場合に、更にその子どもに代襲を認めることです。

平たく言うと、甥姪は代襲相続できますが、「甥姪の子」は代襲相続できない、ということになります。

5.まとめ

いかがでしたか。

親族間で複数人が亡くなっていると、誰に相続権があるか、権利関係が変動し、問題が複雑になってしまうことがあります。
また、被相続人の方と相続人の方の亡くなる順番の前後によって、相続の形も異なってくるので、代襲相続は特に正確な知識が必要な分野です。

そのいっぽう、民法上、相続放棄は3ヶ月以内にしなければならないという規定があるなど、遺産分割の手続きは迅速に行わなくてはなりません

相続人となるはずだった方が亡くなって、どうしたらよいかわからないときには、是非一度、気軽に弁護士に相談されることをおすすめします。

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監修
弁護士相談Cafe編集部
弁護士ライター、起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)、行政書士資格者を中心メンバーとして、今までに、相続に関する記事を250以上作成(2022年1月時点)。
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