初めてのエンディングノート|書き方は?いつからはじめる?
「『エンディングノート』ってよく聞くけど、何を書くのか、いつから書き始めればいいのかわからない…。」終活を考え始めて…[続きを読む]
近年ではネットバンク、電子マネー、仮想通貨(暗号資産)など、新たな財産の形が増えてきています。
従来は、現金や土地、銀行口座など、目に見える資産が多かった相続も、こうした「デジタル遺産」の問題が少しずつ増えてきました。
そこでこの記事では、仮想通貨などの所謂「デジタル遺産」の相続について簡単に概要をご説明します。
目次
現在のところ、「デジタル遺産」という言葉に公的な定義はありません。
一般的には、ネットバンクの預金、電子マネー、仮想通貨など、デジタル化された資産や、取引がインターネット上だけで簡潔する口座資産等のことを指します。
飛行機のマイルについても多くはデジタル遺産に含まれます。
実際に、JALとANAのマイルについては、一定期間以内に申請を行うことで相続が可能です。
JALでは月平均300件ほどの申請があるとのことです。
様々な種類のデジタル遺産があり、特にマイルなどの扱いは会社によって異なりますが、基本的にはどれも資産として相続の対象になります。
ただし、Tポイントのようなポイントについては相続の対象にならないものも多いため、規約を確認しましょう。
デジタル遺産は、従来の有体物である現金や不動産などとは異なり、法的なルール作りが追いついていません。
サービスによっては相続されることを想定していないものもあり、デジタル遺産の相続については基本的には個別に調査・対応していくしかないのが現状です。
最大の問題点は、デジタル遺産の存在を把握すること自体が難しいという点です。
ネットバンクの口座や仮想通貨などでは、書類などの記録が残ることが少ないため、相続人がデジタル遺産の存在に気づかないことがあります。
パソコンやスマートフォンにロックがかかっていれば、ブックマークやアプリの手がかりすら掴むことができません。
また、仮に口座があることを相続人が知ることができたとしても、IDやパスワードは通常本人しか知らないため、どの程度のデジタル遺産があるのかを把握できません。
例えばネット証券での投資信託や、近年流行りのロボアドバイサーなど、継続して信託報酬等の費用がかかるデジタル遺産もあります。
また、本人が積立設定をしていて、相続発生後も自動的に銀行口座からデジタル遺産へ積み立てられてしまうこともあり得ます。
そもそも把握できなければ、こうした追加の費用や積立も認識できません。
これはデジタル遺産に限ったことではありませんが、本人が認知症になってしまうと、デジタル遺産の適切な管理ができなくなります。
家族でも、適切に代理できないために、お金を引き出したり口座を畳んだりといったことができず、また成年後見制度を利用したとしても、デジタル遺産を特定できず、必要な管理ができないという問題があります。
これはぜひ最低限行ってほしい対策です。
仮想通貨やネットバンクなどのデジタル資産は、二段階認証が必要だったり、複数のパスワードを要求される場合もありますが、少なくとも相続人が存在を把握できるようにする、という意味では有効な対策です。
どこにどのようなデジタル資産があるかを相続人が把握できれば、それぞれの口座や会社に対して、適切に相続の手続きを行うことで処理できる場合もあります。
セキュリティの不安はあるかもしれませんが、これが最も確実と言えます。
先述した「どこに」あるかという情報とともに、それぞれのIDやパスワードなどのログインに必要な情報も記録しておくことで、相続人の負担は軽くなります。
ID、パスワードの記録方法としては、アナログにノートなどにメモする方法や、パスワードマネージャーを利用する方法もあります。
アナログのメモであれば、エンディングノートなどにまとめて記載する方法もおすすめです。
家庭によってはハードルが高いかもしれませんが、家族でどういうデジタルの資産を保有していて、今後どう対処しておくかを話し合っておくのも有効な対策です。
もちろん、こうした話し合いの過程で、仮想通貨などのデジタル資産だけでなく、相続一般について話し合っておくことで、相続全般の対策にもなります。
実は、仮想通貨の相続に関しては、国税庁が2018年11月に相続の手引きを公表しました。
相続自体の手続きは仮想通貨取引所によって多少異なりますが、相続税の申告に必要な手続きは、次のような流れで概ね統一されました。
なお、仮想通貨の課税評価については、活発な市場が存在するかどうかで分けられています(相続税財産評価通達4-3、5)。
基本的に、ポイント等を除けばデジタル遺産も相続の対象になります。
しかし、まだまだ新しい資産の形なため、被相続人も相続対策をしていなかったり、法整備も進んでいません。
現状では、個別のデジタル遺産について規約に従って処理していくしかなく、相続人としては第一段階として「どこに」デジタル遺産があるかを把握する必要があります。
被相続人の元気なうちに、家族でこうしたデジタル資産の扱いについて話し合う機会を設けるのも一つの対策です。
また、ただメモを残してもらうだけでも、相続の負担は大きく変わります。