遺産分割協議書の作成にかかる費用|弁護士・司法書士などの費用相場
遺産分割協議書の作成は自分で行うか、弁護士などの専門家に依頼するかの二つの方法があります。本記事では、それぞれの費用…[続きを読む]
遺産分割協議書の作成は、司法書士に依頼することもできます。
では、弁護士や行政書士などと比べて司法書士に遺産分割協議書の作成を依頼すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?
本記事では、司法書士に遺産分割協議書の作成を依頼するメリット・デメリットなどについて解説します。
目次
最初に、遺産分割協議書の作成を司法書士に依頼するメリットをご紹介します。
司法書士は、裁判所・検察庁・法務局などに提出する書類の作成や登記・供託の手続きなどを業務としており、相続登記は、専門分野の1つです。そのため、相続手続きに相続登記が含まれる場合には、手続きを他の士業に依頼したとしても、最終的には司法書士が行うのが通常です。
相続登記にも、戸籍謄本などの様々な必要書類の収集が必要になります。
そのため、遺産分割協議書の作成と共に相続登記を依頼すれば、相続人や財産の調査、必要書類の収集から法務局への登記申請まで、遺産分割協議書の作成と併せて滞りなく行ってくれるでしょう。
司法書士事務所では、相続登記手続きと遺産分割協議書の作成をセットで受任しているのが一般的です。
次に、遺産分割協議書の作成を司法書士に依頼するデメリットを挙げてみます。
司法書士は、依頼者の代理人として相続の紛争に介入し、解決することができません。弁護士でなければ、紛争に介入し、交渉を代理して行なうことは出来ないと定められているからです(弁護士法72条)。
民事訴訟では、訴額140万円以下の事件を代理できる司法書士が存在しますが、相続問題で訴額が140万円を超えないことは稀でしょう。したがって、遺産分割が争いになりそうになったとしても、その解決を司法書士に依頼することができません。
司法書士に遺産分割協議書の作成を依頼できるのは、遺産分割について争いのないケースです。
借金を相続したくない、相続争いから離脱したいといった場合には、相続放棄を選択することがあります。しかし、司法書士は、相続放棄の申述書を代行することはできますが、相続放棄の申述自体を代理することもできません。
司法書士は、書類の作成を代理する権限は有していますが、依頼者を代理することはできないのです(簡裁訴訟代理等関係業務における認定司法書士を除く)。
したがって、相続放棄の申述書を代行して作成することはできますが、申述の結果である相続放棄照会書や回答書は、相続放棄をした相続人に届き、司法書士事務所には届きません。さらに、回答書は、文案の作成を司法書士に依頼できたとしても、相続放棄の申述をした本人が自書しなければなりません。
遺産総額が、相続税の基礎控除を上回る場合には、相続税の申告をしなければなりません。しかし、司法書士には、相続登記を依頼することはできても、相続税申告を依頼することはできません。
相続税の申告を代理できるのは、税理士や国税局長に通知をした弁護士のみとなります。
ただし、依頼する司法書士事務所に提携する弁護士や税理士がいれば、ワンストップで紛争の解決や相続税申告をすることができるため、大きなデメリットとなることはないでしょう。
遺産分割協議書の作成を司法書士に依頼すべきケースは、遺産分割協議に相続人全員の合意が取れており、相続財産に不動産が含まれる場合です。
相続登記は、2024年4月1日から義務化されることになっています。不動産の相続を知ってから3年以内に相続登記を申請しなかった場合、10万円以下の過料の対象となってしまいます。
今のうちに、済ませておくのが賢明です。
先述した通り、司法書士事務所では、遺産分割協議書の作成を相続登記手続きとセットで行うことが多くなります。
相続登記を含めた司法書士の遺産分割協議書作成の報酬相場は、12万程度を上限として考えておけばいいでしょう(ただし、相続不動産の数や額、法定相続人の数になどによって報酬額は増減します)。
さらに、相続登記には登録免許税として、相続不動産の固定資産税評価額の0.4%が課税されます。
初回の相談を無料で行っている司法書士事務所もあります。いくつか事務所を回ってみて、ご自分が信頼でき、費用も納得できる司法書士に依頼するといいでしょう。
なお司法書士ほか専門家による遺産分割協議書の作成費用については、「遺産分割協議書の作成にかかる費用|弁護士・司法書士などの費用相場」をご一読ください。
ここまで、遺産分割協議書の作成を司法書士に依頼するメリット・デメリットを中心に解説してきました。
遺産分割協議書は、相続手続きには欠かせない書類ですが、ご自分の置かれた状況を踏まえて、適切な専門家に作成を依頼することが重要です。
遺産分割が争いになりそうであれば弁護士に、相続に争いがなく、遺産に不動産が含まれていれば、司法書士に依頼するといいでしょう。