遺言の種類と特徴|3種の遺言のメリットと注意点、オススメを解説
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遺産分割については一度は聞いたことがあると思います。
実は、この遺産分割を一定期間禁止することができるのはご存知でしょうか。
この記事では、遺産分割禁止のメリットと方法についてご説明します。
相続人は、相続開始後はいつでも遺産分割を行うことができるのが通常です(民法907条1項)。
しかし、例外的に遺産分割を禁止されることもあります。
例えば、相続人になり得る胎児がいて出生を待つべきだったり、相続人が未成年で、遺産分割協議をできる成人を待つために用いられることが多い制度です。
その他にも、遺産分割をあえて遅らせることで争いを防止できるケースもあります。
基本的には、こうした時間経過によりスムーズな遺産分割が実現できると考えられる場合に、遺産分割を禁止するメリットがあります。
また、遺産の範囲や相続人の範囲に争いがあり、そのままでは遺産分割ができない場合などにも用いられます。
遺産分割の禁止には大きく分けて次の3つの方法があります。
被相続人が遺言により、5年以内の期間で遺産の全部または一部の分割を禁止することができます(民法908条)。
遺産分割の禁止は必ず「遺言で」行わなければならず、生前に遺産分割の禁止を指定することはできません。
また、一般的な遺言の条件を満たさず、遺言全体が無効な場合には、遺産分割の禁止も無効になります。
遺言書作成の際は十分にご注意ください。
相続人同士で遺産分割協議が進まない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。
このとき、家庭裁判所が遺産分割に適切な時期でないと判断した場合には、一定の期間を定めて、遺産分割の全部または一部を禁止することができます(民法907条3項)。
また、相続人の判断で遺産分割禁止の調停を申し立てることもできます。
いずれの場合も、遺産分割が禁止される期間は、遺言による禁止と同様5年以内とされています。
遺言や家庭裁判所による遺産分割の禁止がなくても、相続人全員が同意することで、遺産分割を禁止することができます。
この場合も、遺産分割を禁止できる期間は5年以内とされていますが(民法256条ただし書)、期間経過後、再度5年以内の禁止を合意すること(遺産分割禁止の更新)も可能です。
一般的にはあまり用いられることは多くない遺産分割の禁止ですが、相続人が未成年だったり、胎児で出生を待ちたいときなど、遺産分割を禁止するメリットがある場合もあります。
また、相続人が確定していない、遺産の範囲が確定していない場合など、やむをえず遺産分割を禁止し、争いのリスクを避けるケースもあります。
ただし、遺産分割を禁止しても、10ヶ月以内に相続税申告をしなければならない点は変わらないので、注意してください。
ご自分の相続の状況をしっかり確認し、必要に応じて遺産分割の禁止も検討してみましょう。
遺言書の作成、調停の申し立てなどでは弁護士のサポートを受けることをおすすめします。