相続登記とは|登記の必要性や未登記リスク、手続をわかりやすく解説
相続登記とは、相続により不動産の所有権が移転した場合に、その不動産の所有権移転登記を行うことです。不動産は、登記する…[続きを読む]
被相続人の不動産を相続したら、「相続登記」をする必要があります。
本記事では、そんな相続登記にかかる費用の相場をご説明します。
必要書類の収集から法務局の申請までご自分で行った場合だけではなく、司法書士や弁護士などの専門家に依頼したときの費用についても解説しているので、これから相続登記を行おうとしている方はぜひ参考にしてください。
目次
被相続人の不動産を相続するとき、不動産所有者の名義変更(相続登記)を行わなければなりません。
なぜ相続登記する必要があるのか、放置してはいけない理由については以下の記事をお読みください。
相続登記にかかる費用は、下記の3つに大別できます。
これらの費用は一般に「その不動産を相続する人」が負担することになります。
以下、それぞれの費用相場について説明していきます。
まず、被相続人の不動産を調査するため、書類を集めるのにお金がかかります。
相続する不動産の数が多いほど費用もかかります。
名寄帳(なよせちょう)は、もともとは固定資産税の課税を目的に、土地や建物などの固定資産をその所有者ごとに一覧にしたものです。
名寄帳を取得することで、被相続人が所有している不動産を全て洗い出すことができます。
名寄帳は、相続する不動産がある市町村役場で入手できます。
一通あたり300円程度かかりますが、自治体によっては無料で取得できる場合もあります。
固定資産評価証明書とは、「固定資産課税台帳」に記載されている不動産の固定資産評価額を、公的に証明する書類のことです。固定資産評価額は、少なくとも3年に1度見直される仕組みになっています。
固定資産評価証明書は、後ほど必要になってくる登録免許税の算出にも使用します(4.で詳述)。
こちらも、不動産がある市町村役場で、数百円で取得できます。
不動産の現在の登記情報を確認するための、登記事項証明書も必要です。
法務局の窓口で、一通600円で申請・取得ができます。
ただし、申請のみインターネットで行うと、一通480円での入手もできます。
これまで「不動産の調査」に必要な書類の費用についてご説明してきました。
次は、「相続登記を法務局で申請するとき」のために必要な書類の費用についてです。
なお、相続登記の申請に必要な書類の詳細や取得場所については、以下の記事をお読みください。
書類の名前 | 費用 |
---|---|
被相続人の出生~死亡の戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍・原戸籍 | 戸籍:1通450円 除籍謄本・改製原戸籍・原戸籍:1通750円 |
被相続人の住民票(または戸籍の附票)の除籍 | 1通300円 |
被相続人全員の戸籍謄本 | 1通450円 |
不動産取得者の住民票 | 1通300円前後 |
不動産の固定資産評価証明書 | 市町村役場ごとに異なる |
登記申請書 | ― |
書類の名前 | 費用 |
---|---|
遺言書 | ― |
遺産分割協議書 | ―(※) |
相続人全員の印鑑証明書 | 1通300円前後 |
相続関係説明図 | ― |
相続放棄申述受理通知書(または証明書) | 証明書は1通150円 |
手続きを委任する場合:委任状 | ― |
書類を郵送する場合:郵送費 | 1件あたり500円前後 |
(※)遺産分割協議書はご自身でも作れますが、弁護士に依頼するのが確実です。
弁護士に依頼した場合の費用相場は5~10万円となることが多いですが、遺産分割協議書の作成のみの依頼は断っている事務所も多いです。詳しくはこちらをお読みください。
以上のことを見ていくと、自治体によって差はあるものの、法務局に申請するための必要書類を集めるのにかかる費用は、5,000円~20,000円程度が相場といえるでしょう。
上記の必要書類を集めた後は、いよいよ法務局で申請して、相続登記が完了します。
法務局で申請する際には、登録免許税を納付しなくてはなりません。
登録免許税の算出方法は、以下の式です。
「固定資産税評価額」は、2.でも述べた固定資産評価証明書で確認することができます。
なお、登録免許税は100円未満を切り捨てた額になります。
これまでご説明したように、相続登記する際には、たくさんの書類を集めるための細々した費用が積み重なっていきます。
相続登記は、ご自身で行う他に、司法書士などの専門家に依頼するという選択肢があります。
司法書士に依頼した場合、60,000円~100,000円ほどが相場だといわれています。費用にふれ幅があるのは、それだけ事務所によって料金体系も異なるからです。
高額だという印象を抱かれるかもしれませんが、印鑑証明書の収集を除き、ほぼ全ての作業を一任できますから、時間も労力もかなり削減できます。
また、もし、遺産分割協議の段階から揉めている、相続に不安があるという場合には、弁護士に相談するのがおすすめです。
以下の記事で弁護士に依頼するメリットや費用を詳しくご説明しています。
相続登記を専門家に依頼する最大のメリットは、ミスなく迅速に手続きを行えるという点です。
意外とよくある相続登記のミスが「私道を含めて登記するのを忘れていた」というケースです。
私道は、不特定多数が利用しているなど一定の条件を満たして「公共の用に供している」と認められると、例外的に非課税になります。
そのため、被相続人の所有不動産を割り出す際に使う「固定資産評価証明書」に記載されないうえ、「名寄帳」に記載されない自治体もあります。
結果として、私道部分が手続されないまま長年登記が放置され、相続関係がさらに複雑になって手がつけられなくなった例や、私道が含まれないことで道路に接しない土地となり、建物の再建築ができなくなる例が少なくありません。
また、非課税であっても私道は登録免許税の計算に含めなくてはなりませんし、なおかつ計算も複雑です。
専門家であれば、法務局が備えている公図を参考に、道路と思われる部分の登記事項証明書を調べてくれますので、私道漏れのミスもないでしょう。そしてこの作業は素人にはなかなか難しいです。
被相続人の所有している不動産の範囲などに不安がある場合にも、専門家の力を借りたほうが賢明だと考えられます。
いかがでしたでしょうか。
不動産の相続登記の際には、書類を集めるのに細かい費用がかかることがお分かりいただけたでしょうか。
費用相場は書類を交付してくれる自治体や、不動産の固定資産評価額にもよります。
書類収集にかかる費用以外にも、司法書士や弁護士に依頼すると値段は跳ね上がりますが、登記にミスがあっては結局二度手間になって後々面倒ですから、そのリスクを回避するための必要経費ともいえるかもしれません。
手続きに少しでも不安がある場合には、ぜひ、専門家もうまく活用していくことをおすすめします。