遺留分侵害額請求を弁護士に依頼したほうがいい理由と弁護士費用
遺留分侵害額請求を弁護士に依頼しようか迷っているけれど、高額な費用が心配という方に。本記事では、遺留分侵害額請求を弁…[続きを読む]
相続問題で最もトラブルになりやすい「遺産分割」。
遺産をめぐって親族間で争うのは避けたいところですが、遺産分割の交渉などを弁護士に依頼した場合、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
高額な費用負担を心配されている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、遺産分割を弁護士に依頼した場合にかかる費用の相場をお教えします。
まず、「遺産分割」がどのような流れで行われていくかを簡単にご説明します。
どのステップから弁護士に依頼するかで費用も異なるので、①~③をぜひ抑えておいてください。
※なお、①と②は実際には並行して行われます。
はじめに、被相続人の相続財産をすべて洗い出す必要があります。
相続財産には、現金や預貯金だけではなく、不動産や株式、また骨董品・車等の動産も含まれます。
誰が法定相続人にあたるのかを調査します。
被相続人の出生から死亡までの戸籍を集め、遡りながら調べ上げていきます。
調べて判明した相続人同士で、誰が何をどれくらい相続するかを話し合います。
すんなり決着がつけばよいのですが、協議で揉めることが多く、遺産分割協議でまとまらないときは調停に、それでもだめなら審判を行います。
調停は家庭裁判所の調停委員の仲介で行われる「話し合い」ですが、裁判は当事者同士の主張をふまえて裁判官から審判を下されるもので、この審判には基本的に異議を出せません(即時抗告は除く)。
続いて、どうして遺産分割を弁護士に依頼したほうがよいのかをご説明します。
「そんなことより早く弁護士費用を教えてよ!」という声が聞こえてきそうですが、費用については3.で詳述するのでご安心ください。
弁護士に依頼するメリットや必要性を先に知っていただくことで、この後ご紹介する費用についての理解も深まるはずです。
たとえば被相続人の相続財産の把握に漏れがあったら、相続税の修正申告をしなければなりませんし、他の相続人の存在が後から発生したら、遺産分割協議そのものをやり直す必要があります。
やり直しになってしまうと、その分手間も時間もかかりますし、ご家庭によっては全員で集まって話し合う機会がなかなかない場合も考えられます。
遺産分割において、ミスなく確実にステップを踏んでいくことはとても大切です。
一般の方だけでは不安が残りますが、これまで多くの遺産分割を見てきた弁護士であれば、その方法も熟知していますから、遺産分割後に不測の事態が生じるリスクを格段に下げることができます。
遺産分割では、次のような期限が設けられています。
特に3ヶ月なんて、もたもたしていたらあっという間に過ぎてしまいます。
そうして時間が経てば経つほど、相続人の選択肢が狭まっていったり、決められた期限を過ぎてしまったりする可能性があります。
右も左もわからないまま手探りで遺産分割を行うよりも、その道の専門家である弁護士に相談したほうがずっと効率的といえるでしょう。
さらに、遺産分割では、素人同士でもめるとお互いに感情的になりやすく、トラブルが悪化しがちです。
弁護士は依頼者の一番の味方でありながら、第三者として冷静に相手に意見を述べてくれるので、相手も素直に受け入れやすくなります。
よく「弁護士を入れたら警戒される」と思われる方もいらっしゃいますが、専門家である第三者だからこそできる交渉もあります。
感情と利益の対立が複雑に入り乱れる遺産分割は、弁護士の仲介によるメリットが大きい分野だと言えるでしょう。
親族間で後腐れない解決を図るためにも、ぜひ、弁護士の力を借りることがおすすめなのです。
それでは、いよいよ弁護士の費用について見ていきます。
一般的な相場をご紹介しますが、事案によっても変動するため、報酬等で具体的に何にいくらかかるのかは、相談時に弁護士にご確認ください。
依頼をする前、相談する時点でかかるのが相談料です。
30分5000円~で設定している法律事務所が多く見かけられます。
相談は30分~1時間が一般的なので、概ね1万円程度を考えておきましょう。
また、「初回相談は無料」「初回30分は相談無料」などの特典を設けている事務所・弁護士も多いです。
まずは相談してみたいとお考えの方は、ぜひチェックしてみてください。
弁護士費用には「着手金」と「報酬金」の2つがあるので、それぞれご説明します。
着手金は、弁護士が業務に取り掛かるのに支払う報酬です。
依頼が成功してもしなくても、返金はされませんのでご注意ください。
遺産分割協議から調停に進んだ場合、追加料金をとらない法律事務所は多いですが、弁護士が何度も裁判所に出向く必要がある場合などは、別途日当が必要なこともあります。
なお、調停から審判に移行した場合は、10万円~程度の追加料金が発生することが多いです。
完全成功報酬制の弁護士・法律事務所もありますので、料金について確認してみてください。
報酬金は、弁護士が業務を行ったことで依頼者が得た利益をもとに請求されるお金です。
したがって、「得た利益の〇%+〇万円」という風に定めているのが一般的です。
なお、多くの法律事務所が日弁連の旧報酬基準に準じていますので、以下の表が大体の目安になります。
経済的利益の額 | 報酬金 |
---|---|
300万円以下 | 16% |
300万円を超え3000万円以下 | 10%+18万円 |
3000万円を超え3億円以下 | 6%+138万円 |
3億円を超える | 4%+738万円 |
遺産分割協議の前のステップについても弁護士に依頼する場合、以下のような費用がかかります。
被相続人の相続財産を洗い出す作業に加えて、不動産などの財産は遺産分割協議でもめやすいため、金銭的に評価する必要があります。
算定には不動産の知識が必要ですが、不動産業者と懇意にしている弁護士は多く、ワンストップで相談できるところもあります。
また、いざ遺産分割を始めようと思ったら、別の相続人が預貯金などを使い込んでいたことが発覚…というケースは珍しくありません。
相続財産について、他の人に使われた分が適切な支出であったかチェックするという意味でも、弁護士に相談するのはおすすめです。
法定相続人が誰かを調べるとき、戸籍謄本などの書類を収集する必要がありますが、とても手間のかかる作業です。
これを弁護士に代行してもらう場合は、手数料としておよそ5万円程度がかかります。
被相続人の遺産について相続放棄をする場合、家庭裁判所への申立て手数料として10万円程度がかかります。
なお、相続放棄は「相続が発生し、自分が相続人であることを知ってから3ヶ月以内」に申告しなければなりませんから、のんびりしないようご注意ください。
少し発展的な話ですが、ご自身の遺留分が侵害されてしまったときには、侵害額の請求を弁護士に依頼することをおすすめします。
費用相場については、別の記事で詳しくご説明していますので、以下をお読みください。
「とはいっても、何を基準に弁護士を選んだらよいかわからない…。」という方のために、弁護士の選び方のポイントをいくつかご紹介します。
本記事では、一般的な弁護士費用の相場についてご説明しましたが、料金体系は法律事務所によって様々ですから、事務所紹介ページなどを見ながら確認する必要があります。
気になる事務所があれば、相談に行って直接聞くことで、おおよその見積もりを出してくれるはずです。納得できる費用を提示してくれる弁護士を選びましょう。
また、弁護士に相談するには経済的に不安があるという方には、「法テラス」の法律扶助に対応している先生を探すこともおすすめいたします。
遺産分割協議の依頼を検討している場合で、大きく揉めることが予測される場合は、調停や審判に移行する可能性も考えなくてはならないでしょう。
前述の通り、弁護士が業務を行う上で、何度も裁判所に通う必要があるときには、別途日当などがかかることもあります。
日当が要るのは「裁判所が法律事務所の都道府県外の場合のみ」等としている事務所も多いですが、念のため、事務所の場所とアクセスは確認しておきましょう。
遺産分割の流れはご説明してきたとおりですが、中には、そのうち一部のステップのみを弁護士に依頼しようとしている方もいるかもしれません。
しかし、たとえば、「相続財産調査のみ」という依頼は受け付けていない事務所も存在します。
自分が依頼しようとしている内容について、本当に事務所が受け付けているか、直接相談して聞いてみましょう。
本記事では、遺産分割について弁護士に依頼した場合にかかる費用についてご説明しました。
人によっては、「そんなにかかるのか…」と感じてしまった方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、「できることなら早く、ミスなく、円満に遺産分割を終えたい」と願っているのは皆さま同じはずです。
この記事でご紹介したのはあくまでも相場ですし、相談したら意外とあっさり解決した、ということもあります。
ぜひ、弁護士にまずはご相談だけでもしてみることをおすすめいたします。