不在者財産管理人とは?選任が必要なケースと選任方法のまとめ
この記事では、不在者財産管理人について解説します。選任が必要な場面と条件、選任の手続き、報酬や費用なども解説するので…[続きを読む]
遺産分割協議は揉めやすく、最悪の場合、親族が絶縁状と化すきっかけにもなる手続きです。
一方で弁護士の仕事は、トラブルを回避し、依頼者が不利益を被らないようにすることです。トラブルになった遺産分割でも、法律や裁判例の知識を身につけた弁護士が介入することで、スムーズに解決できることがあるのです。
今回は、遺産分割を弁護士に依頼するメリット・デメリットや、遺産分割について解説します。
最初に遺産分割を弁護士に依頼するメリットについて考えてみましょう。
遺産分割をする際の前提として、相続人や遺産を確定する必要があります。遺産分割後に新たな相続人が現れた場合には、遺産分割協議が無効となり再度の遺産分割協議を、新たな遺産を発見した場合には、原則としてその遺産について遺産分割協議をしなければなりません。そのうえ相続人や遺産の調査には、手間と時間がかかります。
一方、弁護士に遺産分割を依頼すれば、相続人や遺産の調査を行い相続人や遺産を正確に把握して、相続関係説明図や相続財産目録を作成してもらうこともできます。
被相続人から贈与や遺贈により特定の相続人が特別の利益を得ていた場合には、他の相続人が特別受益を主張することで、特別受益を遺産総額に持ち戻して相続分を算出することができます。
また、被相続人の財産の維持・増加について特別の寄与をした相続人には、応分の遺産の増加が認められます。
ただし、遺産分割協議で相続人自身が特別受益や寄与分の主張をすると、紛争に発展する可能性が高まります。特別受益や寄与分は認められるのか、認めるとしたら一体いくらになるのかを巡って争いになるのです。
こうした場合に弁護士が介入すると、法律や裁判例に則って特別受益や寄与分があるかどうかを判断でき、正確にその額を算出することができるため、相続人全員が冷静に話し合うことで紛争を避けられる可能性が高くなります。
遺産分割協議は、相続人全員が参加しなければ成立しませんが、行方不明の相続人がいることがあります。
このような場合に弁護士に依頼すると、家庭裁判所に対して「不在者財産管理人」の選任の申立てを行ってくれます。「不在者財産管理人」は、「家庭裁判所の許可」を得ることで遺産分割協議などに参加できるようになり、遺産分割を進めることが可能になります。
また、相続人の中には未成年者や認知症の相続人がいることもあるでしょう。未成年者や判断能力を失った認知症の相続人には、遺産分割のような法律行為をすることができません。
こうした場合には、未成年者の代わりに法定代理人である親が、親も未成年者と同様に相続人である場合には特別代理人が未成年者の代わりに遺産分割協議に参加することになります。判断能力のない認知症の相続人には、成年後見人を選任することになります。
このような場合でも、弁護士は、遺産分割で直面する問題に臨機応変に対応することができます。
遺産分割協議を弁護士に依頼すると、依頼者の代理人として遺産分割協議に参加することができます。
最初から遺産分割を弁護士に頼めば、協議の着地点を見据えながらトラブルを回避して合意に至るよう協議を進めてくれるでしょう。
一方で、遺産分割がトラブルになった際に弁護士に依頼すれば、法律の専門家の介入によって協議の参加者が冷静に話し合いができるようになり、トラブルが解決される可能性が高まります。
残念ながらトラブルが解消されなかったとしても、調停や審判の代理を引き続きお願いすることができるため安心です。
被相続人の銀行口座の解約や、相続不動産の名義変更、相続税申告など主な相続手続きには、遺言書のない場合は基本的に遺産分割協議の提出が必須になります。遺産分割協議書には、特に法律上決まった記載方法はなく、相続人ご本人が自分で作成することもできます。しかし、万一不備があると、受理してもらえずに手続きができない可能性があります。
一方で、弁護士に依頼すると、正確で不備のない遺産分割協議書を作成してもらうことができ、相続手続きがスムーズに進みます。
ご自分で相続手続きを行わない場合は、不動産の名義変更には相続登記をするために司法書士に、相続税が発生すると申告のために税理士に依頼しなければなりません。
しかし、相続人自身がこれら士業を探すには、手間や時間がかかります。こうしたケースに備えて、他士業と連携している弁護士事務所は多数存在します。他士業と連携している弁護士に依頼すると、ワンストップで相続問題の解決が可能になります。
弁護士に依頼しても、残念ながら協議が合意に至らないこともあり得ます。協議が合意に至らない場合には、遺産分割調停に、調停でも合意に至らなければ遺産分割審判へと舞台は家庭裁判所に移ります。
こうした場合に、相続人自身が遺産分割協議に参加していると、改めて弁護士を探さなければなりません。しかし、遺産分割を弁護士に依頼していれば、引き続き代理人として依頼を続けることができます。
ここまでご説明した通り、遺産分割を弁護士に依頼すると、依頼者の代理人として様々ことを任せることが可能です。
遺産分割協議の交渉や遺産分割協議書の作成、遺産分割調停・審判まで、相続人は基本的に他の相続人と顔を合わせる必要がなくなります。
特に遺産分割がトラブルになっていると、トラブルの相手と顔を合わせること自体が、精神的・物理的負担となります。一方で、弁護士に任せてしまえば、そうした精神的・物理的負担から解放されることができます。加えて、法律の専門家に任せているといった安心感も得られます。
次に遺産分割を弁護士に依頼するデメリットを考えてみます。
遺産分を弁護士に依頼するデメリットとして最初に挙げられるのが、何と言っても弁護士費用でしょう。相続人ご自身が遺産分割をする場合には、一切発生しない費用だからです。
なお、遺産分割で発生する弁護士費用の相場については、次の記事で詳しく解説しています。
弁護士がすべて遺産分割などの相続問題の扱いに精通しているとは限りません。法律は多岐にわたり、それぞれ専門とする弁護士が存在します。相続問題をほとんど扱ったことのない弁護士も存在するのです。
遺産分割を相談・依頼するなら、相続に強い弁護士にすべきです。
遺産分割を弁護士に依頼するメリットは、次の通りです。
一方、デメリットには、次のものがあります。
初回の相談を無料で行っている弁護士事務所も多数存在します。
ご自分に弁護士が必要かどうか、一度無料相談を利用して検討してみるのも一案です。
遺産分割など相続に強い弁護士は、次のポイントを基準に選びましょう。
詳しくは、「遺産相続に強い弁護士とは?9つの選び方のポイント」をご一読ください。
ここまでご紹介した通り、遺産分割を弁護士に依頼すると多くのメリットを得られます。
相続でお悩みの方がいらっしゃいましたら、相続に強い弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。