遺産分割調停を弁護士に依頼すべき理由と費用を詳しく解説

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遺産分割協議がもの別れに終わり、遺産分割調停をしなければならなくなったとき、費用をかけて弁護士に依頼するべきかどうか迷われることもあると思います。

結論から言えば弁護士に依頼するべきです。遺産分割事件の約8割は弁護士に依頼されていて、自分の主張を家庭裁判所に受け入れてもらうことは、弁護士抜きでは難しい場合が多いからです。

ここでは、遺産分割調停を弁護士に依頼すべきなのは何故か、その理由を解説し、弁護士に依頼する場合の費用についても解説します。

1.遺産分割調停を弁護士に依頼すべき理由

1-1.理由1|80%近くが弁護士に依頼している

まず、次の裁判所の統計をご覧下さい。
遺産分割調停を含む遺産分割事件で、当事者が弁護士を選任して代理人とした件数です。

平成29年では78.62%と8割近くが弁護士を依頼しています。弁護士を依頼しなかった遺産分割事件はたった2割強で、年々弁護士に依頼した割合が増えていることが分かります。

遺産分割事件に代理人弁護士が関与した件数とその割合(※)

年度 全国総数 弁護士あり件数 割合
平成29(2017)年 12,166件 9,566件 78.62%
平成28(2016)年 12,179件 9,361件 76.86%
平成27(2015)年 12,615件 9,277件 73.53%

【裁判所HP】PDFファイル:司法統計年報

このように、遺産分割事件では、弁護士に依頼することが当たり前となってきています。
相手方だけに弁護士がいると、後述するようにやはり一個人では難しいことが多いです。

では、なぜ、80%近くもの遺産分割事件で、弁護士が依頼されたのでしょう。

1-2.理由2|法的に無理な主張は受け入れてもらえない

遺産分割は法律問題

調停が話し合いだと言っても、遺産分割は法律問題です。

話合いを仲介する裁判官と調停委員は、各相続人にどのような法的権利があるか、どの点が法的争点なのかを常に考えながら調停を進行させます。
そのため、法的に無理な主張は受け入れてもらえません

例えば特別受益の問題では

例えば、遺産分割で問題となりやすい争点のひとつに「特別受益」の問題があります。

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よくあるのは「兄弟の一部だけが大学に進学させてもらい被相続人から特に優遇されていた。進学させてもらえなかった自分の取り分は5割増しだ」などの言い分です。
しかし、ただ不公平だと主張するだけでは裁判所に受け入れてもらえません

特別受益を主張したいのであれば、その進学先の当時の入学金や学費など、具体的な数字を調査し、裏付ける証拠資料をそろえて裁判所に提出しなければいけません。

このように、特別受益を主張する場合でも、証拠を揃え法的に納得してもらえるよう主張する必要があります。これは一個人には難しいことです。

例えば寄与分や不動産評価の問題では

他にも争いとなりやすい問題点として、寄与分や不動産の評価額があります。

例えば寄与分の問題では、特別な寄与行為によって被相続人の財産がどれだけ増加したのかが問われます。
不動産の評価額の問題では、路線価格や近隣取引事例を参考にして説得力のある評価額を主張する必要があります。

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いずれも法律的な問題点であり、裁判所に十分に理解してもらうには、主張を整理し、証拠で裏付けることが重要です。

話合いだから、そこまで厳密に考えなくても良いのではと思われるかもしれません。
しかし、調停が成立しなければ自動的に遺産分割審判となります。調停の段階で、しっかりとした法的主張をしておかないと、不利な判断となってしまう危険性もあるのです。

遺産分割調停の段階から、法律の専門家である弁護士を代理人として法的権利をきちんと主張することが必要であり、だからこそ8割近くの遺産分割事件で弁護士が選任されているのです。

1-3.理由3|調停で感情的になるのはマイナス

遺産分割調停であなたが裁判官や調停委員と話をする際、隣に弁護士が同席してくれるという大きなメリットがあります。

協議が決裂して調停となった時点で当事者の人間関係は悪化しており、調停の席で感情的になってしまうケースは珍しくありません。
裁判官や調停委員は当事者が興奮することには慣れていますから、ほとんどの場合、冷静に受け止めてくれます。

ですが、本人が感情的になってしまえば、言うべきことを言い忘れたり、伝えなければならないことがうまく伝わらなかったりする危険があります。
しかも、裁判官も調停委員も人間ですから、万一、感情を害することになれば、決して良い結果にはつながりません。

弁護士が同席することで本人も冷静に落ち着いて話ができますし、感情的になりそうな話や込み入った事情は弁護士から整理して説明してもらったり、書面にして提出してもらったりすることもできます。

1-4.理由4|遺産分割調停は時間がかかる

遺産分割調停は想像以上に時間がかかります
次の統計を御覧ください。遺産分割調停が成立するまでの期間の統計です。

遺産分割調停における調停成立までの審理期間(平成29年)

調停成立総数 6,736件 割合
1月以内 77件 1.1%
3月以内 586件 8.6%
6月以内 1,634件 24.2%
1年以内 2,352件 34.9%
2年以内 1,563件 23.2%
3年以内 374件 5.5%
3年超 150件 2.2%

【裁判所HP】PDFファイル:司法統計年報「平成29年遺産分割事件数」

このように、6ヶ月以内に調停が成立したのは33.9%しかありません。7割近くが半年超かかるのです。1年超かかったケースも30.9%もあることがわかります。
一般の方がこのような長期間に渡って裁判所に通うのは、精神的にも肉体的にも非常に辛いことです。

体調が悪いとき、どうしても仕事を休めないときなど、調停に欠席せざるを得ない場合でも、弁護士なら代理人として出席することができますので、調停期日を無駄にすることもありません。

このように、弁護士は法的アドバイスをするだけでなく、あなたに代わって裁判官、調停委員とやりとりをし、あなたに有利な主張をして調停を進めてくれるのです。

1-5.理由5|申立書の提出から解決まで頼りになる

遺産分割調停を弁護士に依頼すれば、申立書を作成し提出する作業から任せることができます

遺産分割調停では、調停が進み、新しい法的問題が出現するたびに、様々な資料、追加書類の提出を求められますが、これらの作業は全て弁護士が行なってくれます。

調停が成立した後も、出来上がった調停調書に基づく不動産の登記名義変更や、預金の名義変更など、最終的に遺産を手にするまでの各種手続まで弁護士に担当してもらうことができます

2.遺産分割調停を弁護士に依頼する場合の費用

ここからは、遺産分割調停を弁護士に依頼した場合の弁護士費用についてご説明しましょう。

2-1.旧報酬規定で算定するケースが多い

弁護士の費用は、平成16年まで、日本弁護士連合会と各地域の弁護士会による報酬規程が定められていましたが、規程が廃止された今ではオープン価格となっており、各弁護士が自由に価格設定することが許されています。

オープン価格ですので、遺産分割調停の費用も各事務所によって様々ですが、現在でも旧規程をそのまま事務所の報酬基準とする弁護士も多いので、ここでは一例として、旧規程(東京弁護士会「弁護士報酬会規」平成8年4月施行)にしたがって説明します。

2-2.着手金と報酬金

着手金と報酬金とは?

弁護士費用のうち、大きい金額を占めるのが着手金と報酬金です。

着手金は、事件処理を受任するときに支払います。一種の支度金と言えばわかりやすいでしょう。これは事件処理の結果にかかわらず返金はありません。

報酬金は、事件処理が一定の成果を挙げ、事件が終了した時点で、その成果に応じて支払います。

着手金も報酬金も、その事件の「経済的利益の額」を基準として計算します。

着手金・報酬金は「経済的利益」を基準に計算する

事件の経済的利益とは、その事件の事件処理によって依頼者が得られる利益です。

遺産分割の場合、経済的利益は、対象となる相続分の時価相当額です。
ただし、分割の対象となる財産の範囲及び相続分について争いのない部分については、その相続分の時価相当額の3分の1の額です。

この経済的利益を基準として次のように計算されます(税別)。

経済的利益 着手金 報酬金
300万円以下の場合 8% 16%
3000万円以下の場合 5%+9万円 10%+18万円
3億円以下の場合 3%+69万円 6%+138万円
3億円を超える場合 2%+369万円 4%+738万円
計算例

簡単に、次のような相続のときの費用を考えてみましょう。

被相続人 相続人 遺産
長男A、次男B 土地1筆(時価6,000万円)
株式(時価3,000万円)

Aは、株式3000万円は、税務対策でAが父親名義を借りていただけで、実際に資金を出して株式取引をしていたのはAだから、遺産ではないと主張しています。
そのため、次男Bが弁護士に調停申立を依頼しました。

このケースでは、土地は何の争いもない部分ですので、基準は2000万円です(時価の3分の1)。株式3000万円は遺産の範囲に入るか争いがあるので、時価のまま3000万円です。

合計5000万円となり、Bの法定相続分は2分の1ですから、この事件におけるBの経済的利益は2500万円となります。

先ほどの表から計算すると、着手金と報酬金はそれぞれ次のようになります。

着手金
2500万円×5%+9万円=134万円(税別)

報酬金(Bが2,500万円の相続に成功した場合)
2500万円×10%+18万円=268万円(税別)

相続財産の「時価相当額」とは?

この場合の不動産の「時価相当額」は実勢価格ということです。
ただ、遺産分割調停で不動産評価額が争いの種となるように、不動産の実勢価格をいくらと評価するかは難しい問題です。

着手金を決める段階では、まだ実勢価格を正確に明らかにすることができません。
そこで、この段階では、公示地価や路線価を参考にして、弁護士と依頼者が協議して一応の価格で計算して着手金を定めるしかありません。

遺産分割調停で正確な金額が判明し、報酬金を支払う段階で過不足を調整する場合もあれば、特に調整をしない場合もあり、どのように扱うかは弁護士次第です。

相続問題の弁護士費用については、基準も算定方法も各弁護士によって幅がありますので、法律相談の段階でよく説明を受けておくことが大切です。

2-3.実費と日当

遺産分割調停の弁護士費用は、着手金と報酬金以外に、実費と日当がかかります。

実費は必要経費であり、収入印紙代、予納郵券代、コピー代などです。通常、受任時に数万円程度を預かり、事件終了時に精算します。

日当は、出張などの場合に、着手金とは別に発生する手数料です。日当を設定するかどうか、その条件と金額も弁護士によって異なります(前出の旧規程では、半日3万円以上5万円以下、1日5万円以上10万円以下とされていました)。

3.まとめ

遺産分割調停は8割近くが弁護士に依頼しています。弁護士に依頼すれば、1年以上の長期の調停でも安心して任せることができますし、自分の負担も軽くできます。
また、自分の主張を法的に整理して主張してくれますし、証拠や書類の提出も任せることができます。

遺産分割調停をスムーズに進め、ご自分に有利な相続を望むなら、弁護士を代理人とすることをおすすめします。

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