電車に飛び込み自殺した場合、遺族の損害賠償義務はどうなるか?

★ お気に入りに追加
駅

家族が自殺してしまった場合、遺族はとても大きな心痛に見舞われます。
実は、自殺した家族が、他人に迷惑をかける方法で自殺してしまったら、遺族はその損害賠償債務まで相続してしまう可能性があります
たとえば、電車への飛び込み自殺や人身事故で、鉄道会社から多額の賠償請求をされる可能性がある、ということは皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。

このように、家族が自殺や人身事故で亡くなった場合に損害賠償まで背負わされてしまったら、過大な負担になりますので、適切な対処方法を知っておく必要があります。
この記事では、人身事故や飛び込み自殺で他人に損害を与えた場合の損害賠償責任と、相続にまつわる問題を解説します。

1.家族が自殺や人身事故で他人に損害を与えるケース

家族や親族が自殺してしまったら、突然の死に大変なショックを受けるものです。また、助けてあげられなかったという気持ちになって自分を責めてしまうので、さらに辛い気持ちになります。
そんな悲しみの中でも、自殺の方法によっては家族が賠償責任を問われる可能性があります。

1-1.電車への飛び込み自殺

自殺によって人に迷惑をかけると言われたときに、一番思いつきやすいのは電車への飛び込み自殺かもしれません。この場合、鉄道会社から損害賠償請求を受けるおそれがあります。
また、飛び込みによって乗客が死傷した場合には、乗客側からも賠償金を請求される可能性もあります。

請求の内訳としては、例えば電車の遅延による乗客への払い戻し、振替輸送代、線路や車両の修理費用、清掃等で対処に必要な人件費などです。
これらの損害賠償請求額を合計すると、実際には数百万から数千万円前半が多いようです。ラッシュ時か人の少ない昼間かでも変わります。
億単位で請求されるという噂もありますが、事例としては非常に稀で、基本的に億を超えるほどの高額になることは多くありません。

以上のように、電車へ飛び込み自殺をしたら多額の損害賠償義務を負うことになるのです。
しかし、本人は亡くなっているため、相続人が負担することになります。詳しくは後述します。

1-2.人身事故

人身事故についても、飛び込み自殺と同様の考え方ができます。
自殺のように意図的ではなく、踏切りなどで不幸にも事故にあって亡くなった場合などでも損害賠償請求はあり得ます。

例えば、JR東海と認知症の男性との事故にまつわる損害賠償請求を覚えている方も多いと思います(最高裁平成28年3月1日判決)。
このときの賠償金の請求額は720万円でした。

ただ、鉄道会社も社会的なイメージに影響しますので、実際には全ての自殺、人身事故について請求しているわけではありません。示談が成立することが多いため、訴訟にまで発展することも少ないです。

2.損害賠償債務は相続の対象になる

自殺や人身事故で家族が亡くなった場合、損害賠償債務は本来はその亡くなった人が負うものです。
しかし、本人は亡くなっていますので、相続人に損害賠償債務が相続されることになります。

そのまま相続してしまうと、莫大な額の債務を負うことになってしまいます。

3.相続したくない場合には相続放棄する

3-1.相続放棄とは

このように家族の損害賠償債務が高額で、遺産の中からも支払が難しい場合には、相続放棄を検討しましょう。
相続放棄とは、資産も債務も全て相続しないことです。預貯金や家などを相続しないかわりに、損害賠償債務も相続せずに済みます。

相続放棄は自分一人ですることができます。他の相続人がどうするかは、自分の相続放棄とは関係ありません。
相続放棄するには、家庭裁判所での手続が必要です。
詳しくはこちらの記事をお読みください。

関連記事
相続放棄とは~手続と費用・デメリットなどを解説!
相続が起こったとき、資産がプラスになることだけではありません。被相続人が借金などの負債を残して亡くなった場合には、相…

3-2.相続放棄の期限|3ヶ月の熟慮期間

相続放棄には期限があります。この期限を過ぎると原則として相続放棄できなくなってしまいますので、忘れないようにしましょう。
この3ヶ月間のことを「熟慮期間」と言います。

4.介護者に賠償義務が発生することもある

4-1.介護者の賠償責任

実は、相続人以外で、認知症の人などを介護していた介護者に責任が発生する可能性もあります。
認知症などで本人が責任を取れない「責任無能力者」の場合は、その監督義務者が損害賠償責任を負うことがあります(民法714条1項)。

先ほどご紹介した、JR東海と認知症の男性との事案は、まさにこのパターンでした。
この事案のときは、事故にあった男性を介護していた人は監督義務者に当たらないと判断されました。
ただ、介護する人の賠償責任は生活状況や介護状況などを総合的に考慮して決めるべき、ということも述べられているため、状況によっては介護者も責任を負うことがある、ということです。

4-2.賠償金を支払えない場合

介護者が賠償請求をされた場合、相続人ではないため、相続放棄で支払わないという手段は取れません。

この場合、どうしても支払えない場合には自己破産の検討もあり得ます。
ただし、とても難しい判断になりますので、自分一人で解決しようとせず、弁護士に相談しましょう。

まとめ

これまで見てきたように、家族が飛び込み自殺や人身事故で亡くなった場合、鉄道会社等から損害賠償請求を受ける可能性があります。
そして、その賠償金は実際には相続人が払うことになります。
損害賠償金が高額で、支払いが難しい場合には相続放棄を検討し、遺産の中から支払える場合には支払ったほうが良い場合が多いです。

ただし、介護者で相続放棄できないような場合や、それぞれの家族ごとの事情やその他の借金等で難しい判断になりますので、一度弁護士にご相談されることをおすすめします。

相続放棄置換文言

相続放棄を専門とする弁護士がいます

相続放棄手続は自分でも出来ます。しかし、手続きを確実かつスムーズに進め、更に後のトラブルを防止する上では、弁護士に相談して手続するのがオススメです。

弁護士であれば、以下のような相続の悩みも的確にサポートしてくれます。

  • 相続放棄すべきか否か、判断が難しい
  • 相続財産の全体が分からない、調べたい
  • どんな書類を用意すればいいか分からない
  • 親族その他、周りに迷惑をかけたくない

本サイトでは、相続放棄を専門的に取り扱っている弁護士を厳選して紹介しています。
相続放棄でお悩みの方は、ぜひご活用ください

相続放棄に強い弁護士を探す