成年後見制度の問題点・できないこと・解任方法を解説!

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成年後見人と成年被後見人のトラブル事例~3つの落とし穴~

成年後見制度は判断能力が不十分となった人の財産や権利を保護するための制度ですが、実はこの制度を利用することで生じる問題点・デメリットもあります。

これを予め知らずに成年後見の申し立てをしてしまうと、あとから取り返しのつかないことになる場合がありますので、認知症や痴呆、精神障害、発達障害、神経障害などのご家族がおられる方は注意が必要です。
そこで今回は、この成年後見制度を利用する前に絶対に知っておくべき3つの落とし穴について解説したいと思います。

また後半では成年後見人の費用について、またどうしても成年後見人を解除したいという場合についても取り上げていきたいと思います。成年後見制度は難しくできるだけ弁護士にご相談されることをお勧めします。

なお、成年後見人はどんな仕事をするのかについては下記に掲載していますので、ご参考ください。
【参考】成年後見人の仕事内容のすべて:心構えから就任・終了まで

1.認知症や痴呆の方の課題。デメリットと相続税対策できないこと

成年後見制度の落とし穴その1:相続税対策が対処不能に陥る!

相続税対策の主な手法としては次のようなものがありますが、成年被後見人となってしまうと、これらすべての対策ができなくなります

ですから、できることなら成年被後見人になる前にできないことや問題点をしっかり見据え、以下の対策をしてください。

1:生前贈与

生前に自分の財産を家族に移転させることで相続財産をできる限り減らして相続税を引き下げます。

贈与には贈与税が課税されますが、贈与税には年間110万円の基礎控除枠や相続時精算課税制度、配偶者の税額軽減など贈与税を低く抑えることができる制度が複数あるため、これらを効率的に活用することで、贈与税の発生を最小限に抑えつつ、相続税を効率的に節税することができます。

〇成年被後見人になると生前贈与ができなくなるという問題点

そもそも成年後見制度は本人の保護を目的とする制度です。これに対し生前贈与とは本人の財産を「減らす」行為に該当します。

そもそも贈与とは売買とは違いタダで財産をあげることですから、成年被後見人である本人を基準に考えると、生前贈与をすることで本人には一切利益がありません

生前贈与を受けることで、将来的に相続税が節税できてトクをするのは本人ではなく相続人です。

成年被後見人の財産は成年後見人が管理しますが、成年後見人が好き勝手にできるわけではなく、その事務については家庭裁判所に定期的に報告し家庭裁判所の監督を受けることになります。

その際に、本人の財産管理状態を細かく報告しなければならないため、勝手に財産を生前贈与により移転することは許されません。
つまり、成年後見制度を利用して成年被後見人となると、生前贈与によって財産を移転することはできないことが発生するわけなのです。

2:生命保険契約

相続税の納税資金対策として生命保険の死亡保険金を活用するケースがありますが、これについても成年被後見人となると、納税資金対策としての生命保険契約は難しくなります

先程も言ったように成年後見制度は「本人の利益になるかどうか」という観点から裁判所が監督しますから、相続人のためとなる納税資金対策としての生命保険契約は認められない可能性が高いという問題点が発生します

3:養子縁組

養子縁組をすることで、相続税の基礎控除額の計算において、実子がいない場合は養子2人まででひとりあたり600万円、実子がいる場合は養子1人までで600万円分基礎控除枠を増やすことができます。ただ養子縁組は本来本人の意思が最大限尊重されるべき事柄のため、成年後見人といえども勝手にすることはできません。ましてや相続税対策としての養子縁組など家庭裁判所が認めるはずもありません。そのため、成年被後見人となると養子縁組による相続税対策もできなくなります。

このように相続税対策のうえで非常に重要となる3つの対策すべてが実施不能に陥るため、相続税対策を考えている人は、自分自身の意識がはっきりしているうちからどんどん実施していくことを心がけましょう。また、そのご家族の方は、ご両親が認知症や痴呆にかかってしまうと相続税対策ができなくなるということをよく問題点として覚えておきましょう。

2.成年被後見人の仕事・選挙権・株式はどうなる?印鑑登録は?

成年後見制度の落とし穴その2:一定の職に就けなくなる!

成年後見開始の審判を受けると、成年被後見人は自分自身で自分の財産を管理することはできなくなります

日常生活に必要な最低限の買い物は別として、それ以外の契約などの法律行為もできないことになります。これからの高齢化社会において大きなデメリットといえます。

つまり、まともに仕事や会社内で誰かに頼まれた課題に対処をすることができなくなるということなのです。そもそも判断能力が不十分な状態である認知症や痴呆の方が仕事をすること自体が難しいとは思いますが、審判によって成年被後見人となると法的にも次のような問題点・制限がつきます。

1:印鑑登録をすることができない。
2:選挙権および被選挙権がなくなる。
3:次の職に就くことができなくなる。
弁護士、司法書士、弁理士、行政書士、公認会計士、税理士、医師、薬剤師、社会福祉士、介護福祉士。
4:株式会社の取締役や監査役(役員)になれない

この中で一番厄介なのは株式会社の役員になれないということです。そもそも自分の財産が管理できない状態ですから、会社の運営を任せられるはずもないのですが、同族会社など家族で会社を経営しているような場合は、名前だけ取締役に入っている親族は多々いると思います。
もしも会社の取締役が成年被後見人となった場合は、直ちに役員変更を行わなければなりません。このように成年被後見人は取締役の欠格事由に該当するため、退任することになるのです。

ただし、保有している株式まで失うわけではありませんので、取締役としての地位は失っても株主としての議決権は依然として有している状態となります。この場合、「議決権は成年後見人が本人に代わって」議決権を行使しますが、成年後見人が親族以外の人間などが選任されていると、その議決権行使に対して異議を申し立てる関係者が現れることが懸念されます。

こういった状態を回避するためには成年後見の問題点をしっかり把握して、まだ元気なうちに株式を生前贈与しておくことをおすすめします。

3.成年後見人の報酬・費用は月2万円以上?申立る親族はどうする

成年後見制度の落とし穴その3:後見人報酬が発生する!

成年後見制度を利用して成年後見人が選任されると、その成年後見人に対して成年被後見人の財産から一定の報酬を支払うことになります。もちろん、親族が成年後見人に選任されてその親族が報酬の請求をしなければ費用は発生しませんが、成年後見人は決して楽な仕事ではありませんので、弁護士などの専門家が選任されれば毎月一定の報酬を支払うことになります。
なお、成年後見人の報酬については、家庭裁判所に申し立てた時に審判によって決められますので、当事者間で別途話し合うわけではありません。

金額については管理する財産の総額や諸般の事情によっても変わってきますが、東京家庭裁判所の報酬額の目安としては、基本報酬は月額2万円としています。
ただしこれはあくまで基本報酬であり、それ自体が管理財産の総額に応じて高くなることもありますし、本人の体調などを考慮し特別に困難な事情が認められるような場合は付加報酬が認められる場合もあります。

いずれにしても、専門家が成年後見人に選任されると、毎月数万円の費用がかかるということになり、財産が少ないご家庭にとっては大きな課題で、これだけでも大きな負担となります。

以上が成年後見制度を利用する際に、事前に知っておくべきデメリット・落とし穴です。
これらがあるからといって成年後見制度を使わないという選択肢は、本人の保護に反しますからできませんが、予めこういったデメリットがあるということを早い段階から知っておき、生前贈与や納税資金対策、養子縁組、役員変更、株式移転、などの対策を先に講じておくことが何より重要なのです。

4.成年後見人の解除方法~弁護士が必要な理由~

成年後見人は解任できるのか?

成年後見人は一定の事情に該当する場合は、本人の親族、検察官の申立てまたは職権で解任・解除することが可能です。けれどもただ気に入らないという理由だけでいちいち解任していては、後見業務に支障をきたしますので認められません。
では具体的にどんな事情があれば成年後見人を解任することができるのでしょうか。

解任事由1:不正な行為があった場合

たとえば、成年後見人が本人の財産を使い込んだような場合です。たまにニュースなどでインチキ弁護士などが逮捕されていますよね。こういった違法、不正な行為があった場合・問題点がある行為は解任事由となります。

解任事由2:著しい不行跡

非常に難しい表現をしていますが、簡単に言えば成年後見人としての品位に欠けるというようなケースです。たとえば素行が悪いなど、そもそも他人の財産を管理していける適性がないような人は解任することができます。

解任事由3:任務に適しない事由

後見業務をサボっていたり、家庭裁判所の命令に背いたりするような場合、さらには被後見人との関係が破綻しているような場合、後見人本人が犯罪を犯したような場合はすでに論外のため解任事由となります。
なお、解任するには家庭裁判所に成年後見人解任の申立てをする必要があります。なお、後見人を解任した場合は、新たな後見人を家庭裁判所に選任してもらうことになります。

成年後見の申し立てを行うと、その他のさまざまな部分に影響が出てきます。これらの課題事前に把握して適切に対処するためには、遺産相続トラブルに強い弁護士のサポートが必要不可欠です。万が一ご家族が認知症や痴呆になった場合は、できる限り早めに相談しましょう。

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